PowerBook 5300csにMkLinuxをインストール!

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長い間,押入れの中でお休みしていたPowerBook 5300csにLinuxをインストールしようと決意した.UNIXライクな環境が自宅にあるのも悪くないし,もちろん,せっかくのPowerBookを遊ばしておくのがもったいないと思ったからである.うまくいけば,現役の2台のPowerBook 1400のファイルサーバーにも使えるだろうし,ソフトウエアーの選択も広くなるだろう.それなりに使いごたえはあるのではないかと思った.

まずは,情報収集を行った.日本橋まで出かけていって,UNIX関係の書籍の前で,しばし夫婦会談を持った.”FreeBSDとLinuxではどっちが良いのだろう?”,”Linuxに勢いがあるようだから,Linuxにしようか.”,”Macに入るLinuxってどれだろう?”となって,Mac関係のLinuxをいろいろ立ち読みした.すると,現在(1999年6月)MacにインストールできるLinuxには.MkLinuxとLinux-pmacの2つがあって,どちらもPB 5300csをサポートしていないことが分かった.いきなりショックを受ける.が,以前,PB5300にLinuxを入れて使っているという人が,ウエッブでPCMCIAカードのことをぶつぶつ発言しているのを記憶していたので,やってできないことはないだろうと思い,その場はMkLinux Developper Release 3 (DR3)のCD-ROMの付いている本を買った.そのほか,参考になりそうな本を山ほど買い込み,重量オーバー承知でドイツへ飛ぶ飛行機に持ち込み,なんとか無事ドイツの我が家に持ち帰った.

そして早速,インストールに挑戦した.本によると,インストールはすごく簡単そうだった.ハードディスクに,UNIX用のパーティションを用意して,インストーラーを起動して,後は言われるがままに,OKボタンを押していく・・・.しかし,本のようにはできないことは読む前から分かっていた.PB5300には内蔵CD-ROMドライブがなく,我が家には外付けのCD-ROMドライブもなかったからである.だめ元で,MOにCD-ROMの内容をコピーして,そこからインストールを試みた.が,あえなく失敗.MOは認識されないようだ.そのため,インストーラーを動かす前の段階(ブートストラップを読みに行くところ)で,止まってしまった.この時点で,本は役に立たず,お先真っ暗になった.

次に,PB5300にMkLinuxをインストールするのに役立つ情報は落ちていないかと,ウエッブを調べてみた.他のマック,特にMkLinuxがサポートしているマシーンにインストールする話はごろごろしているが,PB5300にインストールする話はなかなか見あたらない.PB5300には入らないのか?そのとき,AppleのMkLinuxサポートページのハードウエアー情報に,妙な記述を発見した.DR3から,PB5300がサポートされたようだ.しかし,一方で,DR3のRead_meのリストから,PB5300は抜け落ちている.どういうこと?

有力な情報が得られなかったので,次の手段として,Linux-PPCのインストールの可能性を調べることにした.そう,ちょっと浮気してみたのである.そうするとすぐに,PB5300にはインストールできないことが分かった.Linux-PPCはPCIバスを持つPower PCマシンに対応していて,PB5300にはインストールできないそうだ.しかし,同じページで,MkLinuxに関する情報を見つけた.PB5300にMkLinuxをインストールすることは可能と思われるが,確認はされていないということだ.そこで,今一度MkLinuxのインストールの可能性を追いかけることにした.(というか,それしかLinuxをインストールする可能性がなくなっただけのことである.)

ウエッブをもう少し丁寧に調べてみたら,今度は,PB1400cにMkLinuxをインストールする話を発見した.PB1400cもPB5300と同じ境遇のマシンなので,参考になると思った.ふむふむ.この二つのマシンでは,SCSIがサポートされていないことを知った.SCSIのMOからのインストールができなかったわけだ.お薦めの方法は,一旦,内蔵HDのマック用にフォーマットされたパーティション内に,必要なファイルをコピーして,そこからインストールする方法らしい.(このほかにも,PB1400にMkLinuxをインストールするときのおまじないが書かれていたが,どうも,PB5300には関係なさそうだった.)さっそくやってみた.以前より少し進歩して,Red Hatインストーラーの起動に成功した.少し感激があった.が,感激はそう長くは続かなかった.日本で買ってきた本の通りに,インストールの手順を進めていくと,インストーラーが,インストール可能なコンポーネントを探し始めたところで,止まってしまった.エラーコードは,signal 11だそうだ.なぜに?ここでまた暗礁に乗り上げてしまった.

ウエッブを調べ直すことにした.ちょうどそのとき,T男くんから,MkLinuxのメーリングリスト(ML)に関する情報を得た.私の方も,MLに入会して,ログを調べようと試みてはいたが,ちょうどそのとき,メールシステムの調子が悪く,その作業は止まっていた.T男くんからの情報で,ウエッブにログを公開しているMLの存在を知った.これならブラウザーで見ることができる.調査の結果,PB5300に関する情報が6件見つかった.そのうち,2件までは,かなり初期の段階でトラブっている人のメールであった.これは役に立たない.次の1件は,私と同じ症状を訴えているものだったのだ.そして,この人物は,続くメールでインストールの成功を告げていた.俄然やる気が出てきた.ヒントになりそうだったのは,rootのパーティション・サイズだった.買ってきた本では,rootに100MB,swapに100MB,usrに300MBを割り当てるように書かれていたが,rootには300MBくらい当てておいた方がいいと書いていた.あっ,そうなの.

そこで,rootに350MB,swapに64MBをあてて,インストーラーを起動したら(と簡単に書いたが,要ははじめからやり直さないといけないので,結構時間がかかった),前にエラーが出ていたところを越えて,インストールコンポーネントの選択ができるようになった.本当に原因がこれであったのかどうかは定かではないが,先へ進むことができた.コンポーネントの選択では,とにかく欲張らずに,File Managerだけを選択した.途中,X-Windowsのfontファイルの組み込みに失敗するなどの不都合はあったが,この組み込みを止めるようにしたら,何とかインストールは完了した.やったー.

コンフィギュレーション・ファイルのブート・デバイスを書き直して,マックを起動すると,Linuxのログイン・プロンプトが出た.rootでログインして,コマンドラインから,いくつかのコマンドを入力すると,ちゃんと答えが返ってきた.最初の山を何とか乗り越えたと言うところか?しかし,いろいろ環境を整える必要があり,これからがまた一段と大変そうだ.

mklinux01.jpg
MkLinuxを
インストールした
PB5300cs

何せ最初の目論見は,ファイルサーバーなんだから.しかし,そんな話は,遙か彼方に思える.なぜなら,現状では,SCSIも(Etherカードを入れるための)PCMCIAも認識されないからである.Etherなけりゃ他のマックとお話しできない!SCSIなけりゃファイルサーバーになったとしても,内蔵HDにはファイルをおいておくスペースが残ってない!しかしこれを解決するには,自分でドラバーを書く,誰かがドライバーを書くのを待つしか無いみたいだ.先は長い.永久に目標は達成されないかも知れないとも思える.ふ〜.

でもまあ,とにかくMkLinuxが動き出したので,アプリケーションソフトをいろいろ集めて遊んでみようと思う.ということで,MkLinuxインストールの記録でした.

今回のインストール騒動では,大変多くの方のお知恵を拝借いたしました.ありがとうございました.




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