世界大会の一日


世界大会中、私たちはUBCの寮に泊まった。2人部屋と1人部屋があって、トイレとシャワーはみなで共有。だから、毎日シャワーを浴びるのが大変。部屋はけっこう広くて快適。まぁ、私と牧子の部屋には、窓辺に牧子の臭いスパイクがあり、お互いのスニーカーとビーサンが転がっていたりと、ちらかし放題だったけど、本人たちは気にしてなかったので、とても居心地良く過ごせた。なんせ二人とも、おおざっぱなO型だったからね。朝は、もちろん隣のA型部屋のなっちゃんと美香に起こしてもらってた。

早起きの美香は、とにかく用意周到だから、夜寝る時点で翌日のユニフォームを着てベッドに入っていたらしい。ユニフォームに着替えて洗面所に行くと、爆発した頭の瑞穂によく会う。かわいいのに、あの頭はけっこうすごい。牧子の「アラレめがね」に対抗するものがあると私は常々思う。

ばたばたと時間に追われて、一日の荷物を持って学食へ向かう。うをー!またもや行列。毎朝、カフェテリアに入るのにも、多くの選手で行列ができる。延々と並び、朝食にありつく。メニューは大抵、ヨーグルト・フルーツ・シロップでびちゃびちゃのパンケーキとポテトとソーセージ。そして氷を入れた牛乳。なっちゃんに「あんたほんと牛乳好きだよね」と言われ「うん、でも氷入れたら味うすくなってスキムミルクってかんじ」とわけのわからない返事をする馬鹿な私。頭悪い。私たちは日頃の貧乏症が出てしまい、その日の昼食用にと、フルーツや甘いパン・マフィンを余計にトレイに乗せて、包んで持っていく。はたから見ると結構すごい。しかも、ペットボトルにドリンクまで入れて持っていくから、もうすごいことになってた。そんなわけですごい荷物。でも選手に配られたモルソン・ドライの協賛品のでかバッグは何でも入る優れ物だから大丈夫。

そして、歩いて試合会場のグラウンドへ。朝から日差しはジリジリきてる。今さらってかんじだけど、ひたすらみんな日焼け止めを黒い体中に塗る。もうすでに焼けてるもんだから、日焼け止めを塗ると妙に白くなって、みんな地蔵みたいな有様になる。さいあく。ストレッチして、アップして、いざ試合。17点先取。60分ハーフの120分試合。なんだかんだと2時間がんばる。けっこう辛い。でも集中してるから、それほど長く感じないのが不思議だった。試合が終ると、きまって両チームが混ざって輪になり、おしゃべりをする。そして「Good game!」「Nice game!」とか言いながら全員と握手していく。さっきまでの、すごい顔した選手たちが笑顔になって「けっこうかわいいじゃん」とか思う。最後にお互い芸を披露したりして、写真を取って良い気分になって終り。

自分たちだけになると、急にしんとして今の試合の反省モードになる。輪になって反省。このいやな雰囲気といったらない。けど、私もみんなも反省すべきことばかりで、とりあえずシュンとするから暗くなるのも仕方ない。色々と反省点をあげて、次の試合ではこうしようと話す。たいてい誰か(なるetc.)が居眠りをするから、結構ひやひやする。

次の試合まで大抵結構休めるので、他の試合を見ながらゆっくりお昼を食べる。朝カフェテリアから持ってきたオレンジやリンゴやパンが結構おいしく感じる。すごいのんびりした気分になって、幸せになる。目の前ではかっこいい試合が行われている。しかし、当然眠くなる。コートの横で倒れたまま死んだように寝てしまう。太陽のあまりの熱さにガバッと起き上がり、木陰へ移動。「寝る!」と言い放って本格的に寝る。寒くなると無意識のうちに日向に移動し、そこでまた寝る。そうこうしているうちに、次のアップ時間になり、みな起き上がる。

2試合目は、昼寝の効果か、体も結構動く。白熱した試合を同じように終えると、その日も終りである。日はまだ高いが、実は7時半とかだったりする。スパイクからビーサンに履き代えて、疲れた足を一生懸命運びながら、学食へ。着替える時間はないので、汗臭い選手たちはそのまま行列に並ぶ。「あ〜おいしい物を食べに行きたい。」と言いながら今日もまた学食。ぶーぶー文句を言いながら結局すごい量の食事をたいらげる。「甘そう!」とか言いながら、激甘いケーキを食べる。疲れてるわりに、みなのギャグは割烈。

シャスワップ(寮)に戻って、順番にシャワーに入る。「中の声まるぎこえなんだよ!」とか言いながら、こりずにベラベラしゃべる。洗濯して、試合のビデオを見て、あれこれ話して、睡魔に襲われて就寝。「ああ、ここは本当にカナダなのかな、宇都宮(日本の大会はいつも宇都宮)と同じ生活じゃんよ」そうつぶやきながらベッドに入る。「あーつかれた、横浜なんちゃらの夢見て元気になろ」と私が言うと、牧子が「お!いいねー、私も横浜なんちゃらの夢見るから。じゃね、ゆみこバイバイ」と言って寝てしまった。おい、ふつう「バイバイ」じゃなくて「おやすみ」だろー。どうやらまきは私に話してる途中で、すでに夢の中で私に手を振って『横浜なんちゃら』の方に走っていってしまったようだ。

こうして世界大会の一日は過ぎてゆく。


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