秋のしるし
ひんやりとした風が肌を触って、朝の五時
高い青色の天には巻雲が三ツ肩を並べて泳ぎ
振り向けば窓越しの木の葉の緑は心なしやわらかく
秋のしるし
あっというまにそれらは通り過ぎて
気がつけば胸の中を刺すような空気
空はどこまでも澄んで
陽の光は黄色から橙色へ
このうえなく幸福な季節
円筒型のストゥブに火が灯り
ゆらめく炎は僕を溶かし
やかんの蒸気は君へのぬくもり
背を丸め小さくなって暖をとる
ああ何というあたたかさ
そしてそれもあっというまに通り過ぎて
空の青色が水色になってゆくころ
僕らはまた氷つき始めて
刺すような瞳を自然と持ちはじめてしまう
いかなる時にも溶けないそれは
また、来るであろう秋のしるしまで。