ロンドン歩きの白い女(ひと)



ロンドン歩きの白い女
いったいそんなに急ぐ必要がここにあるというのか
この平和で安全な暗い路に
きみには大事な人なんていやしないだろう
寒くて暗い部屋が待つだけだろう

ぼくのひざのシミ 小さな小さなシミ
シミは全てを知っているんだ
きみの白い太ももの内側も がさがさした腰も
みんなみんな知っている

だから少しはゆっくりしたらどうなんだい
明日になったってちっともいいことなんかありゃしない
起き出すための理由を必死になって30分も考えなくちゃならないだろう
ぼくのひざのシミはそんなことだって知っているんだ
もっとも、しゃべりはしないのだけれど

ねぇロンドン歩きの白い女
ちっとはふり向いたってかまわないだろ
ぼくとゆっくりお茶でも飲もうよ





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