私が住む市の近くにNという町があります。
イチゴ狩りと温泉で有名な町です。
新聞の記事で、N町で新しく造るホールの柿落としでオペラを企画しており、
その出演者を募集しているのを知ったのは、昨年の11月始め。
N町は、源頼朝が鎌倉に入る前に八重姫という姫との間に子を為し、
北条政子と出会った地でもあり、その頼朝のオペラ、『頼朝』。
12月始めの説明会。
スタッフの紹介と共に、ソリスト希望者のオーディションの説明がされました。
年が明けて1月14日。歌曲でもポップスでも、3分程度。
何を歌うか。これが大問題だったわけです。
まぁ、何を歌っても、かまわないわけですから、とりあえず、
兄弟におうかがいをたててみました。勧められた曲は、
『川の流れのように』と『あなた』。はっきりいって、どちらも難しい。
特に、美空ひばりさんの歌は、とても難しい。『愛燦々』なんときいてごらん
なさい。メロディラインが難しいつくりになっているでしょう。
結局『あなた』を歌うことに。練習はしませんでした、ほとんど。
自信があったからではなく、伴奏のカラオケがてにはいらなかったのです。
2日だけの練習、それも仕事の行きと帰りに車で歌うだけ。
それで人の前で歌おうというのだから、人生なめきってますね。
小さめの体育館のようなところでオーディションは行われました。
はっきりいって、私はあがりません。本番開き直るタイプです。
歌い始めれば大丈夫なわけですが、審査員が7人もこちらをじっと見ている
ところで歌い始めるのは、けっこうきてましたね。
1コーラス歌い終わって、審査員の1人の一言。
「男役でもいいですか?」
一瞬言葉につまりました。
一応メゾソプラノまででますが、普段はとても低い声なので、
そう言われてもしかたがないといえばしかたがない。
けっこう響くところで気持ちよく歌えたのでそれはそれでいいのですが、
意外な展開、「それじゃあ宝塚じゃないか・・・・」と心では
思いましたが、それはそれで、楽しいかもしれない、と。
1カ月足らずで結果がきます。審査員の一言で結構楽しくなりそうですよ。
© 1996 【ま】
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