ただ興味深いのは、和製の PGP フロントエンド、あるいは PGP をサポートしたソフトウェアの多くは複数キーをまったくサポートしていないのに、欧米のものでは必ずと言って良いほど複数キーをきちんとサポートしていることです。これは明らかに欧米の人たちと日本人とで、プライバシー、そして匿名化、匿名での発言・議論などに対する意識や考え方の違いを表わしていると言えます。
- Potato
- Private Idaho 以後登場した匿名リメイラー用フロントエンドの傑作のひとつ。詳細は Shoot the Pigeon! 内の Potato ページを参照。
- Jack B. Nymble
- Potato に GUI を付加したもので、欧米では現在かなり人気がある同じ作者によるプログラム。ただし Visual Basic で書かれているため、例によって日本語版 Windows95 などでの動作では画面関係で若干問題がでる。Coconut 自身は現在 Potato を愛用。
- Private Idaho
- Visual Basic 3.0 で書かれたPGPフロントエンドと Type-1 remailer、Mixmaster、nym server 利用のための MS Windows 用ユーティリティ（フリーウェア）です。一時期作者は32-bit化を計画していたようですが、結局 2.8b3 で開発はストップ、同じ機能を合わせ持つメールソフトウェアを開発予定であることを明らかにしました。 Private Idaho 自体の開発中止に伴い、 VB のソースファイルも公開済で、第三者によるメンテナンス・開発続行、他言語での書き換え、異種プラットフォームへの移植、 32-bit 化などを希望しているそうです。（その際は彼のサイトで配布を続行できるとのこと） ただし、彼のソースコードでは市販の商用 TCP/IP 用 VBX を使用しているため、その部分を生かすならその入手が、そうでないから該当部分をイチから書き直す必要があります。
Private Idaho は匿名リメイラーを利用してメール送信する際にやっかいなヘッダー類を自動的に生成する機能の他、 nym server に対しては nym account 登録作業やそのメンテナンス、オプション変更、mail2news ゲートウェイの利用、 Private Idaho からの POP3 サーバーへの接続とメール送信、同じく POP サーバーへ接続して PGP メールの検索と受信（PGP メールだけ受信し、復号化を即座に実行など）なども簡単にできます。 PGP フロントエンドとしても良くできており、 keyring ファイル自体の convention key での暗号化／復号化（keyring が第三者からアクセスされる危険性をさらに低める）や、その他 PGP キーメンテナンスも可能です。 2.8b2 では設定された表示用フォントのためにできなかった日本語での使用も、作者にリクエストしてみたところ 2.8b3 で改善してくれ問題なくなりました。
ノート：
Private Idaho を使用していて、突然タスクバーにアイコンが現れて動作はするものの、最大化したウインドウでしか使えなくなった（大きさを調節できなくなった）場合は、一度 Private Idaho を終了してから pidaho.ini ファイル中にあるウインドウ・サイズに関する数値（だけ）を削除して保存、起動しなおすと直ります。 - Private Idaho 32
- C.A.T.S. International がオリジナルの Private Idaho （Visual Basic 3 で書かれている）を、Visual Basic 4 で書き直して 32-bit 化したもの。現在βテスト中。作者は OCX 絡みでの不具合がまだあることを強調しているが、newsgroups で多くのリポートがされているように、現状では移植自体、プログラム自体にかなり問題／バグがある。作者は Delphi 2 を使っての新たなバージョンも画策しているようだ。現バージョンでもオリジナル版から追加された機能やインタフェースなどもあるようだが、設定ファイルをオリジナル版と同じファイル名にしているなど、作者のプログラム・デザイン自体にも問題がある。ただし、多くのユーザーが利用しているオリジナル Private Idaho の問題点（16-bit プログラムであることなど）を解決しようとした努力とその労力は評価、賞賛されてしかるべきだろう。
- AEgis Shell
- MS Windows 3.1/95/NT 用 PGP フロントエンドで、16/32-bit の２つがそれぞれ用意されています。最新版の v3.0 では、大幅な機能追加とバグフィックスが行われました。個人使用では無料でユーザー登録ができ、オンラインでのサポート、ユーザー用メーリングリストの購読なども可能です。和製ソフトウェアと違う点は、SJIS <-> JIS などの漢字コード変換機能を持たない点だけで、必要なら漢字コード変換を別なソフトウェアで行なうことによって、日本語メッセージ／メール用にも充分利用できます。
- John Doe
- 同じく PGP フロントエンド機能と匿名リメイラー、 nym server 利用を簡便に行なうためのユーティリティですが、こちらはシェアウェアです。
- ChainMail (for Apple Macintosh)
- Jonathan Rochkind による Macintosh で匿名リメイラーを利用するためのフリーウェアです。利用にはEudora、MacPGP、AppleScriptが必要です。
- premail
- UNIX で動作、通常のメール用ソフトウェアと連動し、匿名リメイラーの利用を簡単にできるようにするソフトウェアで、Perl 5 が必要です。 Type-1 remailer、Mixmaster remailer、nym server 利用についてすべてを管理することができます。
- Privtool
- PGP 対応、かつ Mixmaster もサポートしたメーラーです。
- mailcrypt
- premail と同じく PGP 対応で匿名リメイラー利用をサポートしたメールツールですが、 Emacs 内で動作します。匿名リメイラー情報を Raph's remailer list からダウンロードし、自動的に更新します。
匿名リメイラー、nym server 関係情報が入手できる場所
USENETニュースグループ（非技術系情報）
また、情報交換・議論用ではなく、暗号化された、あるいはそれをさらに匿名リメイラーと mail2news ゲートウェイなどを利用して特定個人宛てメッセージを投稿する場所（暗号化されたメッセージ専門の掲示板と言ってもよいと思います）として、 alt.anonymous.messages ニュースグループがあります。ここを相手との暗号化メッセージの交換場所として使うことで、誰と誰が交流しているかをも誰にも知らせることなくメッセージ交換を行なうことができます。この場合、普通は相手との間であらかじめ投稿サブジェクトを決めておきます。暗号化されただけのメッセージなら、普通のニュースリーダー・プログラムでもよいし、匿名リメイラーを使って投稿者情報も秘匿したい場合は、メールソフトウェアでメッセージを作成、匿名リメイラーと mail2newsゲートウェイ を通して投稿します。