「ヨグと愉快な仲間たち」

「あらまし」

橘 光久は死ぬ際に、友人に頼んで呪文によって自分を「完全なる塩」にした。これは彼の事業が未だに成功をしていない為に、後の子孫に同じ志を持つものに復活させてもらおうとした為である。その為に、彼は自分の肖像画に魔術をかけ、ある一定の素質があるものに対して自分の復活に協力し、野望に力を貸すように促す効果をもたせた。6代後の子孫、橘 勝英は、幼少よりこの絵に何か惹かれるものがあった。最近になって書斎の隠し扉を発見し、光久の成し遂げようとした事を知り共感する(絵の影響もある。)

NPC

橘 光久(推定 28歳)

19世紀に存在した魔術師。表の顔は、古物商。80年近く生きている。見かけは30歳前後。数年ごとにうまく付き合いを変えているので、寿命の長さは悟られていない。(不信に思うものは何人かいたが確信には至っていない。)彼の目的は、ヨグ=ソトースとの接触である。一回実験を行なったが、失敗に終わっている。

STR 11 CON 14 SIZ 12 INT 19 POW 20
DEX 14 APP 12 EDU 21 SAN 0 耐久力 11

武器

ダガー35% デリンジャー70% 1D6 3m 装弾数1

経理15% 人類学30% 錬金術40% 占星術55% 化学60%

隠す60% 信用(勝英として)70% クトゥルフ神話29% 言いくるめ 65% 

ギリシャ語 65% ヘブライ語 45% 隠れる 45% 歴史 67% 

ラテン語 58% 図書館 55% オカルト 50% 説得 45%

薬学 20% 心理学70%

橘 勝英(26歳)

光久の6代あとの子孫。両親はすでに二人とも死去していて、妹と二人で暮らしている。親が残した財産を少しずつうって暮らしている。光久とはうりふたつ。彼の肖像画に幼少の頃から何か感じるものがあった。探索者に依頼がある数ヶ月前に、書斎から地下への隠し通路を発見する。地下で日記と資料を発見し、近くにある塔の意味を知り、彼を復活させてその偉業に協力しようとする。

STR 11 CON 10 SIZ 12 INT 16 POW 8
DEX 11 APP 13 EDU 16 SAN 15 耐久力 11

責任回避35% 詩を作る85% 信用75% クトゥルフ神話15% 文学を論じる60% 

歴史45% 想像力90% 甲斐田村の知識95% 図書館65% オカルト65% 雄弁75%

橘 馨(22歳)

勝英の妹。魔術的なこととは全く関係ない人。兄の最近の行動に関して心配している。

STR 9 CON 13 SIZ 8 INT 13 POW 15
DEX 15 APP 14 EDU 17 SAN 75 耐久力 11

言いくるめ35% オカルト40% 泳ぐ55% 回避50% 隠す25% 芸術45% 

ジャンプ55% 信用95% 心理学45% 生物学 25% 説得 45% 値切り 40%

博物学 60% 法律 30% 英語 30% 目星 50% 歴史 45% 合気道 80%

花道 70% 応急手当 50% 清楚に振舞う40%

略年表

1877 秋 長野県南部の甲斐田村にやってくる。

1880 夏 光久に墓あらしの疑惑が持ちあがる。

1885 秋 塔での怪事件が起こる。

1890   友人の家で最後を看取られる。墓自体は作られるが埋葬は例の地下室にされた。塩の状態で。

1996 3月 勝英が地下への通路を発見し、貴重な資料の研究に勤しむ様になる。

     6月 復活の為の死体を集める為に墓あらしをするようになる。

   6月半ば 墓あらし噂が持ちきりになる。

   7月 探索者が事件に巻き込まれる。

      墓荒らしを行ない、地下室で実験を行なう。

      塔で復活の儀式を行なう。

      光久との仲間割れ。

      塔でヨグ=ソトースとの接触を行なう。

「始まり」

探索者達は長野の山奥をバスで観光をしている。途中、雨が振り始める。雨は強くなり、途中の落石により立ち往生する事になる。その近くで車がぬかるみにはまって困っている橘 馨を助ける事により一時の宿を得るとともに事件に巻き込まれていく。

「探索者への依頼」

内容は、最近息子の行動がおかしいという事。書斎に閉じこもり何かに一生懸命取り組んでいるようなのである。兄は「化学的な実験をしているだけだ。」としか言ってくれない。特に根拠もないのだが、心配なので泊まっている間だけでも良いからスパイの役を演じてほしいとの事。

「勝英の家」

築百何年の家。明治期の洋館2階建て。1階は書斎、台所、居間、洗面所。2階は客室3部屋、私室が3部屋。山の中腹にある。麓の町までは自動車で5分くらいと不便。電気も電話も来ている。携帯電話だけは電波が山に阻まれて使えない。頂上に向かって徒歩10分くらいの所にある開けた所には高さ10mくらいの塔がある。塔は鎖で鍵がされており入る事はできない。雨が降っている時、その存在の確認は難しい。

・書斎

常に鍵をかけている。(両方からかけられる)正面に机と窓があり、両側は本棚になっている。机の棚にはハンドアウト1がある。たくさんの本が本棚にはある。多くは骨董美術に関する本である事がわかる。扉を背にして左側の本棚には地下への隠し通路が存在する。部屋に入って幸運、聞き耳に成功すると地下にいるおぞましき者の声がかすかに聞こえます。

・地下室

光久が実験に使っていた部屋である。戸棚、机、小さい牢獄がある。戸棚と机には資料やら薬品が置いてある。化学と法律に成功するとほとんどの薬品は合法的である事が分かる。また、目星、アイデアに成功すると白い粉が入った薬品ビンがすこし多いのに気づく。白い粉は化学で成功しても内容はすぐにわからないものである。机を探索するとハンドアウト3が見つかる。それ以外に復活に必要な薬品、呪文の書いた紙、塩に戻す呪文の類も見つかる。小さい牢獄は「くちにするのもおぞましき物」を捕らえておく為のものです。すでに1匹のおぞましき物が牢獄にいます。これを見たものは1/1D3の正気度を失います。医学or生物学成功すると、哺乳類の未発達状態のような存在である事がわかります。

・居間

壁には大きな光久の肖像画がかけられている。この肖像画を見たものは正気度ロールをする。成功したものは特になにも感じない。失敗したものは正気度を1失い。なにか圧迫されるような空気を感じる。芸術に成功するとそこそこの価値がある作品である事が分かるが、有名な作家のものではない事はたしか。馨は「これはこの絵に書かれている6代前のおじい様の遺言通りにここにかけられているの」という。

「町での情報」

村民からは断片的にしかこの情報は手に入らない。

・橘家について

橘 光久によりこの地で発展を遂げる。例の事件に関してはほとんどの村民が忘れてしまっているが、あの塔だけは近づかないように代々言い継がれている。

・橘 光久について(詳しいところは、郷土資料館で調べる。)

彼は古物商として偉大な業績をあげる。彼は近代的な化学にも興味を持ちいろいろな実験を自分の家で行なったようである。1880年に墓荒らしの汚名がかかるが、証拠不充分で不起訴。1885年に、塔への突入事件が起きる。これは近年に妙に大量の薬品を買いこんでいる光久に周辺の住民が不信感を買ったからである。80年の不起訴処分もあいまって、身辺調査に及ぶにいたったのである。調査に参加したのは、村長、村民二人、警官2名。この時の記録はここにはない。警察のファイルに保管されている。ハンドアウト4

「墓荒らし」

探索者が来る前にすでに2件の墓を、勝英は荒らしている。(それぞれ別の場所)地元の警察は、100年ぶりの墓荒しに当惑しているが、調査はしている。しかし、証言も少なくあまり進んでいない。ここの地域は土葬をまだしている。墓荒らしの内容としては、単純に死体を掘り出しているというもの。それ以外の中に収められた故人の身の回りの品には一切手をつけられていない。墓は掘り返されたまま。掘っているところの目撃者は今のところ居ない。探索者がやってきた次ぎの日の夜。勝英は一人外に車で出て行く。探索者がこれに気づいて追跡した場合は、墓の方までついていける。墓について行けた場合、彼には絶対ばれるので墓荒らしについて探索者は問い詰められる事になる。彼自身は墓の警備をしていたという。追尾を失敗、または気づかなかった時は死体を地下室へ持ち去り最終の実験につかう。

「復活の儀式」

墓荒らしの次ぎの日。そのまま、書斎から昼頃まで彼はでてこない。何度も探索者が呼んでも返事もありません。妹にこのことを聞くと、「いつも夜遅いようですから、きっとねているのでしょう」と言う。鍵を無理に空けた時には書斎には誰も居ない事がわかる。昼近くになって突然、あたりが暗くなります。一瞬にして夜になったような感じがします。そして、何かの呪詛のような腹の底から響くような音が聞こえてきます。これを聞いたものは正気度ロールをして1/1d6失います。この音は地下から聞こえてくるようであり、天頂から聞こえてくるようであります。聞き耳に成功すると地下から聞こえてくる事がわかる。この音は実際、数分なのですが、とても長く聞いたように感じます。これが終わると、明るさは戻ります。復活の儀式の後、すぐに勝英は出てきます。「すごい音だったね。」といいます。彼の傍らには一人のサングラスをかけてマスクをした男がいます。「彼は研究の手伝いをしてくれる。今も研究について話していたところなんだ。」と紹介します。彼が顔を隠している点について質問があると、「彼は目と肺を幼少から病んでいるそうなんだよ。しゃべる事もままならないんだ。」といわれる。紹介の後、また彼と話があるといって部屋の中に入ってしまいます。

「勝英との仲間割れ」

復活の儀式から数日、時間があります。その間は探索者の調査の時間につかいます。その間、二人の魔術師は塔の方の実験室にこもって何やらしています。書斎の鍵はその間、開いています。飯の時は、二人で下りてきて書斎で隠れて食べます。だいたい調査が進んだ頃、(過去の事件を知るあたり。)この事件を起こします。食事で下りてきた二人は、例のごとく書斎で食事を取ります。すこしすると罵倒が聞こえます。探索者達が書斎に近づくと声は小さくなります。聞き耳に成功すると二人の人間が争っているのが聞こえます。(断片的に聞こえる内容、「女は生贄・・。」「それはだめだ。」「門にして鍵」「過去の偉業」)探索者が中に返事を求めても何も返事がありません。少しすると男の悲鳴が聞こえます。聞き耳とアイデアに成功すると勝英のものである事がわかります。(吸魂をした)その後、外に勝英(光久)が出てきます。声が妙にかすれて低くなっているのが分かります。これについては「さっきの実験でのどをいためだんだ。」といいます。1/2の母国語、アイデアに成功すると彼の言動が少し古めかしい事が分かります。中には茶色の土のようなものがあるだけで、他に誰もいません。この土を調べる時、化学or地質学で成功したなら明確ではないが土ではない事がわかります。探索者が今の状況について尋ねると、「妙なうわごとをいったようだ。」といいます。もう一人について聞くと「先に塔に行った」といいます。粉については「土が入ったのかな?」といいます。このあと、すぐに彼は塔に向かいます。戻って研究を続けるのだそうです。この後はいつでも召還イベントに突入してもかまいません。

「塔の中」

塔は常に外と内から鍵がかけられている。(外は鎖、中は杭ね)塔の中の部屋は別れていない。1階と言える部分は、研究室。本棚が回りにおかれ、中央にはいくつかの棚とテーブル。目星を成功するとハンドアウト2が見つかる。その上には薬品やら書類やらがごちゃごちゃに置かれている。部屋の隅のほうには屋上へと続く螺旋階段がある。また、垂直に伸びた井戸みたいな物の鉄の蓋があり中には不完全な物が数匹いる。

「塔でのヨグ=ソトースとの接触」

上級呪文を参照。塔にはすでに魔術をかけ、召還に30%の成功をプラスできる。召還を始めると突然、稲光が周りを閃き始め、詠唱の文句は広い範囲で朗々と恐怖に満ちて聞こえる。召還に成功すると突然空が揺らぎ始め、荒らしが収まる。そして、視界いっぱいに球状の大きさが判別できない物体が現れる。術者がその状況で死んだとしてもそいつは居座り、生贄を一体さらっていく(ランダム、指差せば別)。生贄を貰うと、何か要求をしない限りそのまま帰っていく(地球は彼にとって居心地があまり良くない)。要求すれば気分に応じてなんかしてくれる。呪文が失敗した場合は、それ以外はなにも起こらない。

「全てにしてひとつもの」、「門にして鍵」について ハンドアウト1

「全てにしてひとつもの」、「門にして鍵」なる異形の神については、エドワード・ダービイが記した詩集、「アザトースおよびその他の神」の一説に出てくる。過去・現在・未来は彼の中でひとつである。彼との接触は、次元を超え、異次元を垣間見る力を得る事に等しい。

召還に関して ハンドアウト2

召還の為には高さが少なくとも10mある石の塔を築かなければならない。塔自身に魔力を込めることにより召還に力を与える事が出来る。召還に際して、彼に対して供物を捧げなければならない。供物は指差す事で彼に指し示す事が出来る。供物は彼の目の前にある必要はない。なぜなら、彼にとって空間という存在はないに等しいからである。

復活に関して ハンドアウト3

人の体は、本質的な塩とその他の化合物で構成されている。つまり、自分の体をそれに明確に分ける事ができれば死してもなおその体は朽ち果てることなく、永遠に維持できるのである。しかし、ここで気をつけないといけない事がある。区別し元に戻す際に、塩と化合物を一粒残さずそろえないといけない事である。これが成立しないと、得るものは「口にするのもおぞましきもの」のみである。

1885年の事件に関して ハンドアウト4

私は未だにこの事件に関して、状況が整理さていない。時が経てば真の姿が見えてくるかもしれない。もしかしたら、私の卑小な頭脳では理解できない事なのかもしれない。しかし、私は警察官としてその場に居合わせ、経験した事実をここに残さねばならない。この書類を見る者は私がまだ混乱している事を考慮にいれて拝見していただきたい。私と村長、以下数名が 橘 光久 邸を訪れたのは1885年9/19日のことであった。理由は橘氏にまつわる不信感をぬぐう為である。時間は夜の9時を回ったところであったと思う。屋敷に明かりはあったが、中には誰も居なかった。他の建物はあの塔しかないので、そちらに向かってみた。塔に向かう途中、突然、稲光があり私は身をすくめた。雷鳴は絶え間なく鳴り、それに加わって朗々とした身の内側を腐らせるような呪詛があたり一面に響き渡った。村人はそれに恐怖して腰を抜かしてしまったようだ。私と村長は、それがあの塔から発せられているものであると心のどこかでその時、何故か確信していたようで、まっすぐ塔へとその中を進んでいった。塔に着く頃には、例の音もなく雷もやんでいた。塔の中は何かの実験に使っていたようであった。いろいろな薬品やら書類やらが散在していた。奥には屋上へと続く階段があるようだった。その近くに橘氏は、何か暗闇に溶け込むように存在していた。彼は私に言った。「実験は失敗だった。君達の所為で実験を早めたおかげだ。まぁ、私にとって時間とは無意味なものであるから、何度も行なえば良い事なのだけれどね。」私は彼に何か言おうとした。しかし、その時、私の隣にいた村長の顔が真っ青に凍りついたのを私は見た。私も自然と村長の視線の先に目を合わせてしまった。そこには何かがいた。私の記憶はそこで途切れてしまった。気づいたのは山の中をあてもなく歩いているときであった。私は署に戻り状況を説明した。誰も私の言う事を信じてくれなかった。後に後輩が橘 邸に訪れたが、実験器具の類はあったが異様なところはなかったそうだ。村長は数日行方不明になっていたが、山の中で野犬に襲われて死んでいるところを発見された。これが、1885年の橘 邸でおこった真実である。信じるも信じないも閲覧者の自由であるが、私がこのようなうそをついてもなんら利益がない事をここに明記しておく。私はただこの異常事態に遭遇してそれを記さなければならない必然にとらわれただけである。