※誤字脱字は、近日中に修正します
財前五郎と第一外科主任教授の東の対立が鮮明になり、はっきりと、互いの利害関係がはっきりして、敵対意識が激しくなり、選挙により、東教授の敗北が決定するまでが醍醐味です。
財前助教授と東主任教授の対立
退任後の病院長の行方
教授選考会での画策
最終教授選考会での画策
決選投票での画策
(山崎豊子、新潮社、1978年)読んでいない人はぜひどうぞ。医事訴訟裁判を舞台に、医療とは、人の命を預かる医師とは、などについて考えさせられる本です。大学のモデル化問題でも話題になりました。現在の医学界がこうであるわけではないでしょうが、今から20年前の一般的意識が伺われます。映画やテレビ化もされて、主人公役がはまり役だった田宮二郎さんは残念なことに…
■ものがたり 浪速大学第一外科助教授・財前五郎は若いながらも食道外科の第一人者として
高く評価されていた。財前は、恩師である外科部長・東教授(中村伸郎)が退官を一年後に控えており、その後任は自分しかいないと考えていた。しかし、東教授は野心家で派手な財前に不信を抱き、後任には別の人物を考えていた。
財前は、逸早く東教授の考えを知り、鵜飼医学部長(小潭栄太郎)を味方に付けようと彼に接近し、裏工作に奔走する。そんな財前に、友人である内科助教授の里見脩ニ (山本學)は、医師としての自分を見失わないよう忠告するのだが、耳を貸そうとしない。
そして、第一外科教授後任選考委員会が設けられ、浪速大学の財前、東教授が推す菊川教授(米倉斉加年)徳島大の葛西教授の三人から選出することが決定し
た。
しかし、選考の結果、財前も菊田も過半数を獲得することが出来ず、二人の決戦投票ということに決まる。そこで財前派も菊川派も、葛西教授の票を握っていた野坂教授(小松方正)らを抱きこもうと接近するのだか、野坂は両派を二股にかけており、そのおかげで、財前は晴れて教授への昇格を果たすのであった。飛ぶ鳥を落とす勢いの財前に、国際外科学会から招聘状が届き、世界への飛躍の゛チャンスに胸を躍らせる。そんな財前は、里見から頼まれた患者・佐々木庸平(谷幹一)に、ごく初期の噴門癌を発見する。しかし、手術前の胸部X線写真検査で影が見つかるのだが財前は結核の古い病巣と診断する。慎重な里見は転移した癌の可能性もあるとして断層撮影の必要を主
張するが財前は里見の助言を無視してしまう。
手術後、順調に回復するかに見えた佐々木は、一週間目に容態が悪化して呼吸困難に陥った。財前は術後肺炎と診断し、担当医・柳原(高橋長妬)に指示を与え、国際外科学会に参加するためドイツヘ出発してしまゞた。しかし佐々木の容体は日々悪叱し、検沓の結果癌性肋膜炎と診断され、胸の病巣は癌の遠隔地転移と分かる。だが、時すでに遅く佐々氷は勺いに的確な治療を受けることなく帰らぬ・人となった。
財前は今、人生の中で絶頂の時を過ごしていた。だが、帰国後の財前を待っていたものは名声ではなく誤診裁判であった。財前はただちに弁護士を雇い裏工作を開始するが、親友・里見は同じ大学の
沖問より、一人の医師として真実を述べその責任と原因を追及するため、たとえ大学を追われることになろうとも、原告側の証人として立つ決意を固めた。そんな里見の姿勢に東教授の娘・佐枝子(島田陽子)も彼の純粋さに魅かれ、協力を約束する。しかし、医学的には黒白はつけがたい状況であり、決めてとなるのはやはり柳原の証言であった。だが、柳原は財前の圧力に屈し、もはや財前の言うなりであった。
裁判の結果、財前の無罪は確定し、里見は大学を追われることになった。そんな矢先、財前は鵜飼医学部長から今度は日本学術会議の会員選挙に出ることを勧められ、財前は次なる野望へと意欲の炎は燃え上がるのであった。
だが、佐々木の遺族は判決理由に納得せず、控訴審での決着に望みを託した。控訴した原告側弁護士・関口(児玉清)は医学について猛勉強をし、財前側を圧倒する勢いであった。また元看護婦長・亀山君子(松本典丑)は柳原が財前に断層撮影の必要を提言し、財前がその必要を認めていなかったことを証言もあり、財前の立場はますます不利なものになった。そんな中、財前は学術会議会員選挙で圧倒的票を集め当選を采たす。
しかし、裁判ではますます形勢不利になり、追い詰められた財前は全ての責旺を柳原に押しつけようとする。しかし良心の呵責に耐えられなくなった柳原はついに真実を述べ、過去の裁判での偽証をも認めてしまう。また、さらにその事実
を裏付けるかの如く、選挙の犠牲で地方の大学へ飛ばされた、江川医局員(坂東正之助)が、当時財前が癌の肺への転移に気付いていないことを記録した調書を密かに浪速大学から盗み出し、法廷に資料として持ち出したため、決定的証拠と証言の前に、財前のこれまでの嘘がすべて露顕し、財前は敗訴する。怒りに震えながら上告申請を行う財前であったが、突然襲った苦しさに倒れこんでしまう。
財前は選挙と裁判の日々による過労からくる胃潰瘍ぐらいに考えていた。だが、大学へ運びこまれた財前を診断した金井助教授(清水)は胃癌のそれも、末期であることを知り、愕然とする。金丼はかなり深い潰瘍であると財前に告げ、すぐにでも手術の必要があると説得する
のであった。財前は潰瘍とはいえ、自分のこととなると少し不安となり、執刀を誰に以来するかに苦慮する。里見はそんな財前に東先生に依頼することを薦め執刀を仰いだ。だが、東がメスを持ったところで既に財前の癌はもう手遅れであった。財前は切除した胃を見せてもらうが果たして本当に自分のものであるかということに疑念を持つ。吐き気をもよおした財前が洗面所の鏡の前に立つと目の廻りに黄疸が現れ、明らかに抗ガン剤を使用していることを知る。狂ったようにナースセンターで自分のカルテを物色する財前だが、本物のカルテはいずこかに隠されていた。財前は死を目の前にして自分の間違いに気付き、自分の不名を深く反省した遺書を残し、里見らに見守られ
ながら静かに息を引き取った。
■スタッフ
原 作・・・・・・・・・・・山崎豊子
脚 本・・・・・・・・・・・鈴木尚之
音 楽・・・・・・・・・・・渡辺岳夫
サントラ盤・・・ポリドール・レコードプロデユーサー・・・・・・・今林俊一
企 画・・・・・・・・・・東条あきら
語 り・・・・・・・・・・・家弓家正
技 術・・・・・・・・・・・杉山久夫
美 術・・・・・・・・・・・藤森信之
照 明・・・・・・・・・・・本間利明
カメラ・・・・・・・・・・・伊藤滋雄
音 声・・・・・・・・・・・大河 真
映 像・・・・・・大野哲夫、野中正男
録 画・・・・・・・・・・・橋本武彦
美術制作・・・・・・・・・・江畑行彦
美術進行・・・・・村野三郎、水上啓光
大道具進行・・・・・・・・・高畑行彦
装 飾・・・・・・村木 隆、相馬 徹持
道具・・・・・・平井文郎、江田 博
衣 裳・・・・・・・・・・・海州弘ニ
メイク・・・・・・・・・・・尾首正幸
視覚効果・・・・・・・・・・福島信夫
音響効果・・・・・・・・・・石渡和正
タイトル・・・・・・・・・・川崎利治
方言指導・・・・・・・・・井上裕季子
演出補・・・・・・・・・・・舛田明廣
法廷場面指導・・・鎌倉利行、藤本勝哉
制作協力・・・・・・・・・・田宮企画 フジ・プロダクション
演 出・・・・・・小林俊一、青木征雄
制 作・・・・・・・フジテレピジョン
財前五郎 田宮二郎 田宮二郎
里見脩二 山本 學 田村高廣
東 教授 中村仲郎 束野英治郎
東佐枝子 島田陽子 藤村志保
花森ケイ子 太地喜和子 小川貞山美
鵜飼医学部長 小渾栄太郎 小潭栄太郎
財前又一 曽我廼家明蝶 石山健二郎
財前杏子 生田悦子 長谷川時r・
船尾教授 佐分利信 滝沢 修
佃 講師 河原崎長一郎 高原駿雄
岩田医師会長 金子信雄 見明凡太朗
今津教授 井上孝雄 下條正巳
葉山教授 戸浦六宏 須賀不二男
菊川教授 米倉斉加年 船越英二
里見三知代 上村香子 白井玲子
大河内教授 加藤 嘉 加藤 嘉
野坂教授 小松方正 加藤 武
東 政子 束恵美子 岸 輝子
金井助教授 清水章吾 杉田 康
安西医局員長 伊東達広 早川雄三
佐々木よし江 中村玉緒 村田扶実子
佐々木庸平 谷 幹一 南方伸夫
関口弁護士 児玉 清 鈴木瑞穂
柳原医局員 高橋長英 竹村洋介
河野弁護士 北村和夫 清水将夫
篠さんがいなければこのページはできませんでした。ありがとう、きちころ。