消火器の訪問販売をする大曾根吾郎は、少年院上がり。そのことを常に影に引きずりながらなんとか生活をしていたところに、かつての少年院時代の仲間、小山内完次が現れ、借金の保証人にされてしまう。
過去を忘れて地道に生きようとする吾郎と、その気はなくともペースを乱してしまう完次であった。
毎月100万という高額の返済をすることになった二人。従来からの訪問販売に加え、夜は飲屋街で流しも始めた。
そんな吾郎には、恋い焦がれるバーのピアノ弾き、雪子がいた。
彼女に結婚を申し込み、家にまで行ってしまった吾郎は、彼女の父親が少年院時代の恩人であることを知る。
また、借金の取り立てをしている善福興行の社長 川西貴一朗は、雪子の働くバーのオーナーでもあり、彼も雪子に心引かれていた。
自分の過去が雪子に知られることを恐れながらも、借金返済のためにかつての金庫破りをしてしまう吾郎。
なんとか、毎月の返済を終える吾郎に貴一朗は親近感を覚えていく。
そうこうしているうちに、貴一朗達善福興業の元締めであるひまわり産業が、ゆき子の父親の運営するロバの家の土地に目をつける。
ひまわりの無茶なやり方に、憤りを感じていた貴一朗は吾郎、完次と組んでひまわりの金庫破りの計画を立てるが・・・。
第1話 タイトルなし 演出 久世光彦 | |
内容 |
大曽根吾郎は女性物下着や消化器,印鑑などの訪問販売で生計を立てている.そんな彼はある日,好意を寄せている女性,前島雪子の家に上がり込み,父親の前島公平に雪子との結婚の承諾を迫る.そこに,雪子が帰宅し,吾郎と結婚する意思がないことを告げる. 失意の中,アパートに帰宅すると,3年前にまじめになるまで会わないと言って分かれた友人,小山内完次が上がり込んでいた.完次は善福興業から800万円持ち出して,追われていた.地道に生きようとしていた吾郎は,そんな完次を迷惑がり追い出そうとするが,完次は吾郎が少年院上がりで金庫破りをしていたことを,雪子にばらすかも,と脅しをかける. そうこうしているうちに,善福興業が吾郎のアパートを探り出し,二人とも善福興業の頭,川西貴一郎の経営する,コットンクラブに連れて行かれる.そこはまた雪子の働くクラブでもあった. 貴一郎に詰め寄られ,完次は貴一郎の母のぶえと寝て,800万を取ったことを白状する.借金に関しては,吾郎が保証人となり,月々100万円(15日,月末で50万円ずつ)返済する誓約書にサインさせられる.その際,貴一郎の印鑑が金庫の中にあり,番号がわからずに取り出せなかった.そこで,吾郎は金庫破りの腕を発揮し,見事に善福興業の金庫を開けてみせる. アパートに戻った二人だが,吾郎は完次に自分の通帳を渡し,東京から逃げるように諭す.完次と一緒にいると昔の自分を思い出して,地道な生活が出来ないというのだ.翌朝,完次を送り出した吾郎だが,完次は善福興業につかまり,アパートに連れ戻されてしまう.ぼろぼろにされた完次を見て,吾郎は怒り,貴一郎にきちんと金を返すと言い放つ. 善福興業の面々が帰ったあと,吾郎は封印していた金庫破りの道具を取り出して善福興業に忍び込み,金庫を開けるが,前に吾郎の金庫破りの腕を見ていた貴一郎によって金庫は空にされていた. 仕方なく,訪問販売を続け,なんとか50万を捻出し,期限までに善福興業に駆け込む二人.長い返済生活の始まりであった. |
使用曲 | 特になし |
見所 | 小林薫,玉置浩二の会話の間がすばらしい.伝説の(?)コンビのスタートなので眼を皿のようにして見よう.この二人に柳葉が加わると,絶妙な間はさらに加速されてゆく.柳葉は始終バットを持ってかなりキレた演技をしているのだが,視聴者が引く前にすっと音楽が入って元のペースに戻すあたりは演出がうまい. 最近のドラマを見慣れていて,キツイを久しぶりに見ると,あまりの出来の良さに驚く.このテンションが最終話まで続いてゆくのだからたいしたものだと思う. 脚本的にも,説明くさいところがないのが良い.雪子と吾郎の出会いのシーンやお茶を飲むシーンなどはなく,いきなり結婚の許可を求めに行くところから始まるというのも面白い.凡ドラマならきっちりと時間軸に沿って,そういうシーンを入れていくだろう. 時間的に間延びしたシーンがなく,非常に密度が高い. |
第2話 タイトルなし 演出 久世光彦 | |
内容 | 相変わらず,借金返済に追われる吾郎と完次.吾郎はセールス,完次は昔関係のあった女達に電話して何とか金を作ろうとする. 吾郎は前島家を訪れ,雪子の父親,公平が自分が少年院時代の保護観察官だったことに気付く. 完次は貴一郎の母親から,借金の取り立ての仕事を紹介される. その夜,雪子の帰宅途中に(待ち伏せしていたらしい)吾郎は家まで送るが,その姿を梅と松に目撃される. 翌朝,吾郎と完次は善福興業まで呼び出され,吾郎は雪子と親密にならないように貴一郎から脅される.しかし,すぐに前島家に遊びに行った吾郎の所に,借金の借用書を持った完次が現れる.借金のことを知った吾郎は「ロバの家」を守ることを決心する. 翌日,完次は仕方なく借用書をのぶえに返す.吾郎は,借用書がなくなれば「ロバの家」が取り立てにあうこともなくなると考え,再び金庫破りの封印を破る.しかし,二人が忍び込んでみると借用書はなくなっていた.そのころ,コットンクラブでは,のぶえが貴一郎にその「ロバの家」の借用書を渡し,取り立て頼んでいた. |
使用曲 | 特になし |
見所 | 完次が借金をしに行ったときの のぶえ(吉行和子)の涙シーンは笑える.そんなに目薬ささなくてもいいでしょ!次の瞬間には涙なくなってるし... 借金の取り立てに来た完次の頭を,吾郎が3回ほどかなりの勢いで叩いている.近年の漫才でも見られないくらいの良いつっこみだ. 貴一郎の名ゼリフ「めしでも食事に行きませんか?」が最高! 第一話のテンションがそのまま持続している. |
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