今回用いた9つの評価指標
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GISを用いて計画案を評価する際には、図面上で定量的に測れる指標を用いる必要があります。今回の評価では、データの入手可能性、データの信頼性、地理情報システム(GIS)の演算処理能力などを考慮して、以下の9つの指標を用いました。
→A-D案の評価結果一覧はこちら

まちづくり指標1:開発された山の面積 (宮城地区の魅力:「手付かずの自然」を評価)
【定義】
新しい住宅開発が行われたところで、現在(従前)の土地利用が山である部分の面積を計算し、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
75.6ha 67.8ha 59.0ha 9.1ha
説明用の画像

●現況土地利用データの扱い

山=山林+樹林地 とした。


まちづくり指標2:空気のきれいさ (宮城地区の魅力:「手付かずの自然」を評価)
【定義】
緑が大気汚染物質を浄化する量を、新しい住宅開発の前後で差引し、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】(単位:kg)

 

A案

B案

C案

D案
SO2 -704 -583 -361 +553
NO2 -1701 -1063 -871 +1512
説明用の画像

●検討対象とする大気汚染物質

様々な大気汚染物質の中から、データ入手のし易さを考慮して、窒素化合物(NO2)、硫化化合物(SO2)についてのみ検討を行う。

●住宅開発によって増加した大気浄化量

住宅種別毎に緑被率を仮定して、以下の原単位を用いて計算する。

住宅種別による大気浄化量(kg/ha/年)
住宅
種別
仮定
緑被率
SO2
浄化量
NO2
浄化量
低層戸建 10% 0.79 1.92
低層長屋 15% 1.19 2.88
中層集合 20% 1.59 3.84
高層集合 30% 2.38 5.75


●住宅開発によって減少した大気浄化量

住宅開発で失われた山および田に関して、以下の原単位を用いて計算する。

土地利用による大気浄化量(kg/ha/年)
土地
利用
NO2
浄化量
SO2
浄化量
19.18 7.93
11.56 4.78

   参考文献:「大気浄化植樹マニュアル」
   発  行:公害健康被害補償予防協会
   編集協力:環境庁大気保全局


まちづくり指標3:広瀬川への行きやすさ (宮城地区の魅力:「自然との触れあい」を評価)
【定義】
新しく建てられた住宅のうち、広瀬川の水際から400m以内の距離にある住宅の戸数を、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
2510戸 2925戸 10130戸 2147戸
説明用の画像

●新規開発戸数の数え方(他の指標にも共通)

既存団地において虫食い状に存在する戸建て空宅地を開発する(注:インフィル)場合には、戸数=開発エリア内の空宅地面積×開発密度とした。
既成市街地において面的な再開発を行う場合には、戸数=開発エリア面積×開発密度とした。この場合、本来は再開発によって取り壊された住宅戸数を考慮すべきだが、戸数データが入手できないため、今回の検討では考慮しなかった。

●距離の測り方

細街路データが無く、歩行距離を道路に沿って測ることは不可能なため、直線距離で代用した。

●広瀬川岸への近づきやすさ

川岸への近づきやすさは地形や管理者によって異なるが、該当するデータが無いため考慮せず、水域端データを用いた。


まちづくり指標4:蕃山の眺め (宮城地区の魅力:「自然との触れあい」を評価)
【定義】
新しく開発された住宅で蕃山が見えるものの戸数を、宮城地区全域において合計した数値
【評価結果】(単位:戸)

 

A案

B案

C案

D案
山頂が
見える
12446 14132 21130 12633
一部が
見える
26666 24020 24508 23420
説明用の画像
説明用の画像

●蕃山の定義

蕃山は一群の山の総称であるため、無線中継塔のある西風蕃山を山頂とし、その周辺を面的に蕃山と定義した。

●蕃山の見え方

20mグリッドの地形データを用いて、左下図のような景観シミュレーション(ビューシェッド解析)を行い、蕃山山頂が見える範囲、および蕃山の一部が見える範囲をそれぞれ定めた。

●視線を遮るものの扱い

景観は建物や樹木などによって遮蔽される場合が多いが、建物の高さや樹木・その他工作物などのデータが無いことから、分析は地形データのみを用いて行った。



まちづくり指標5:開発された田の面積 (宮城地区の魅力:「実りと風景の田園」を評価)
【定義】
新しい住宅開発が行われたところで、現在(従前)の土地利用が田である部分の面積を計算し、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
145.5ha 160.1ha 83.2ha 67.5ha
(11.2%) (12.3%) (6.4%) (5.2%)
(%は地区全域の田の概算面積に対する割合を示す)
説明用の画像



まちづくり指標6:住宅・住民の多様性 (宮城地区の魅力:「人々との触れ合い」を評価)
【定義】
宮城地区全域において新たに建てられた住宅の、各建物種別(低層戸建/低層長屋/中層集合/高層集合)が、新規開発戸数全体に占める割合
【評価結果】(単位:%)

 

A案

B案

C案

D案
低層戸建 14.8 19.7 24.9 13.5
低層長屋 24.1 11.0 8.7 11.3
中層集合 15.7 38.4 23.4 31.9
高層集合 45.4 30.9 43.1 43.2
説明用の画像

●「住宅・住民の多様性」の考え方

建物種別と入居者/世帯の種別(単身/夫婦のみ/夫婦+子供/高齢者など)の間には、一定の関係がある。コミュニティの多様性の維持、変化のある景観、多様な住宅ニーズへの対応などを考慮すると、様々な住宅種別を混在させていくことは望ましい影響をもたらす可能性が高いと考えた。


まちづくり指標7:総合支所への行きやすさ (宮城地区の魅力:「住みやすい隣近所」を評価)
【定義】
新しく開発された住宅のうち、青葉区宮城総合支所まで道路に沿って5km以内の戸数を、宮城地区全域において合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
24925戸 18422戸 22258戸 22545戸
説明用の画像

●「行きやすさ」の考え方

自分で車を運転できない方を考慮し、自転車で15分以内を「行きやすい」と定義した。自転車の時速を20kmとすると、15分で到達できるのは5kmとなる。

●道路データの扱い

細街路データが無いため、幹線道路データ(MSR道路地図)を用いた。



まちづくり指標8:仙山線の使いやすさ (宮城地区の魅力:「便利な交通」を評価)
【定義】
新しく建てられた住宅のうち、JR仙山線の各駅から半径400m以内の戸数を、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
2919戸 1260戸 7950戸 296戸
説明用の画像

●「行きやすさ」の考え方

駅までの移動は原則的に徒歩と仮定し、パーク&ライドなどを考慮しなかった。気軽に歩ける時間を5分、歩く速さを分速80mと仮定し、駅への徒歩圏は400mとした。

●道路データの扱い

歩行距離は細街路に沿って測るべきだが、細街路データが無いため、直線距離で代用した。



まちづくり指標9:バスの使いやすさ (宮城地区の魅力:「便利な交通」を評価)
【定義】
新しく建てられた住宅のうち、バス停から半径160m以内の戸数を、宮城地区全域について合計した数値
【評価結果】

A案

B案

C案

D案
5950戸 4790戸 5900戸 5254戸
説明用の画像

●「行きやすさ」の考え方

バス停までの移動は全て徒歩とした。気軽に歩ける時間を2分、歩く速さを分速80mと仮定し、バス停への徒歩圏は160mとした。

●道路データの扱い

歩行距離は細街路に沿って測るべきだが、細街路データが無いため、直線距離で代用した。



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