消された写真

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 こには、インターネットで恋人を探す、ごく普通の青年の姿がありました。彼は毎日のように恋人募集ページを徘徊し、かわいい女の子のページを見つけては頻繁に訪問したりメールを出していたようです。彼からICQで送られてくるホームページのアドレスは決まってそういったページでした。時には女性からのメッセージを見るにはパスワードが必要なページもありました。パスワードはJavascriptで書かれた単純なもので、ソースを見ればパスワードがそのまま書かれているものでした。私が解析(笑)して差し上げますと、たいそう喜んでいました。

 そんなある日のこと。私はいつものように、掲示板荒らしに荒らされているという、その掲示板を野次馬精神で訪れたのでした。カラフルで大きな掲示板の文字、とめどなく流れるラジオ体操の音楽、激怒する常連たち・・・。それはよくある日常の一コマ。けれど、ちょっとだけ違うところがありました。ページの中身に感銘を受けてしまったんです。忘れかけていた何か、けれど思い出したくない何かが重なって見えました。私はICQでページの場所を伝え、彼に感想を求めました。それが最初の出会いでした。

 「真♪心の鏡」という名の掲示板を造ったり、他にちょっとしたことをしたせいでしょうか。どうやら私は荒らしている人間の一派だと思われていたようです。警戒していると、人はどうしても良いところよりも悪い所に目が行く傾向にあるのは悲しいことです。実は、その掲示板を造った理由は別にあったのですが、予期せぬことが起こってダメになったんです。そのように受け取られているよ、と教えてくれたのは何を隠そう、彼でした。私の知らない間にいろいろ話していたそうで、仲良くなっていました。ICQとネットミーティングという便利な道具を有効に利用した、至極当然の結果と言えます。私もチャットに混ぜて頂いたことがありますが、なるほど、惹かれる方です。当時のチャットのログは記念としてHTMLで飾り付けして贈って差し上げましたっけ。

 しかし、このような蜜月も長くは続きませんでした。彼女と、とある有名な人物がオフで会うとの話が伝わってきました。彼にはそれが堪えたようでした。これが直接の原因というわけではなく、抗議メールの返事を読んで、「惚れちゃった(*^^*)」などと言っていた事がグサッと突き刺さったようでした。「そのうちオフしましょうね」と言われても簡単には会えない距離でしたから、やはり距離には勝てないとも思ったのでしょう。彼は「やっぱりネットで女の子を探すのはやめよう」と、改心したのでした。たまにICQでメッセージが届いても、乗り気ではなかったようでした。一時は「ダー○ン」「○ニー」と呼び合った仲でしたのに(笑)。

 「用済みだから」と彼から件の女性のネット未公開(?)写真を頂きました。大半は持っている人は持っているというものでしたが、確かに未公開な写真もありました。髪を短くした後の写真は希少価値が高い・・・そういう話じゃなくって、一見したところ訳ありの知り合いに似ているので複雑な心境でした。ちなみに、これはATXマザーボードと交換しました。取り込み画像だったので画像ビュワーで見れば良いことでしたが、例のごとくHTML化してありましたのでネスケで見ますと、一枚だけ画像が入っていないことに気がつきました。早速、ソースを確認し、画像のファイル名を調べました。もしかするとうまくリンクされていないだけかもしれないと思いましたから。どれどれ・・・・なるほど、送られてきたファイルにはその画像は含まれていなかったようです。そして、ファイル名を見て納得。彼には送れないわけですね。彼もそのことは承知しているけれど。

 そして・・・

 「紅顔の美青年」である彼はこの春から東京で一人暮らし。一昨夜もICQで会話したそうで、「携帯電話の番号を教えてもらった」と喜んでいました。良かったね♪

§1 とある有名な人物・・・ 日経ネット○ビになんかに文章書いている人です。
§2 オフで会う・・・ 当時この予定を知っていたのは、当事者たちと、§1の人に掲示板を置かせている方、そして彼だけでした。
§3 ネット未公開写真・・・ 彼女が公開したブックマーク、ローカルに保存してあるページまで記述してあったので、本来は非公開であったはずの写真掲載ページの場所がそれによって推測さればれてしまいました。彼もその隠れページを漁ったので「写真が欲しいのならあげるのに・・」と顰蹙を買ったとか。
§4 携帯電話の番号・・・ 彼は既に住所、氏名(漢字)を教えてもらっていました。というか、郵便物をやり取りしたそうです。私には一切教えてくれません。念の為。
(敬称略)
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