別にアメリカが好きという訳ではない。 唐突過ぎて何のことやら分からないと思うけど、私は八歳の頃カリフォルニア州に引っ越して 来て、以来両親が日本に帰国した今も一人アメリカに暮らしているのだが、流れ流れて幾年月。 気づいたら在米歴十四年目。長い。結婚生活で言ったら倦怠期をとっくに迎えてる頃である。 「今日は遅くなるから夕飯いらない」という旦那からの電話に、かつては 「えぇー!・・・分かった。でもケンちゃんが帰るまで起きて待ってるから」などと可憐さを見せていた妻も、
もうこうなるとこの国が好きとか嫌いとか(も、もちろんあるが)以前に、「一番長く住んだ国だから」 という 事実が逆に私をどんどんアメリカ文化から引き離すのである。今人気のある歌手なんてのは よく知らないし、ましてや鼻歌で出てくるのはモー娘。とか宇多田とか黒夢だったりする。 アメリカの 流行の歌は歌詞はおろか歌手名すらもよくは知らない。要するに興味がないんである。 これは今に始まったことではないが、私には「興味」というものが欠落していて、例えるなら小室哲也 にプロデューサーとしての才能はあったが歌手としての能力は欠落しているくらいに欠けてる。 だから日本にいる人たちが「Jewelが好き」とか「Goo Goo Dollsが良い」とか HPで述べてるのを見ると「すごいねー、よく知ってるねー外国のもんなのに」とか自分が99%日本の しか聞かないくせに思ったりするのだ。いけませんな、私。もちろんその国に住んでることによって 音楽や流行以外のもの、つまり考え方や価値観があったりするんだろうが、それは掘り下げて初めて 見えるものであって、上っ面だけを見るならば、私よりも日本国内の人の方がよっぽどアメリカン だったりする場合があるのだ。でもそれはそれでいい。もしかしたらここを離れてから興味が出て くるのかもしれないし。もしかしたら「流行は遠くにありて思うもの」なのかもしれない。
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