◆児童買春禁止法が成立へ
国内外を問わず十八歳未満の児童を相手にした買春(かいしゅん)やポルノを処罰する「児童買春等禁止法案」(仮称)の修正案が十八日、明らかになった。買春行為の懲役刑を原案の「五年以下」から「三年以下」とするほか、児童ポルノの対象から「絵」を除く――などが特徴だ。与野党が修正案に合意したことから、同法案の今国会成立は確実で、海外での日本人観光客の児童買春、社会問題化している「援助交際」を規制する初の法律が誕生することになる。
今回の法案は、昨年の通常国会に自民、社民、さきがけ三党が議員立法で提出し、衆院で継続審議となっている原案を取り下げ、与野党が超党派で再提出するもので、与野党間の調整では、修正案を二十四日前後に参院に提出し、五月中をめどに成立させる方針で一致している。
修正案は、十八歳未満を児童と定義し、金品などの対償を与えたり、与える約束をした上で性交(類似行為を含む)したりすることを「児童買春」として禁止している。買春をした者には「三年以下の懲役または百万円以下の罰金」、仲立ちや勧誘行為には「三年以下の懲役または三百万円以下の罰金」を科すことにしたものだ。
また、「児童を相手にしたり、児童本人による性交」や「児童の全半裸の姿態で性欲を興奮させたりするもの」などを描写した写真・ビデオテープ類を「児童ポルノ」と定義し、これらの頒布や販売などの行為も処罰対象とした。原案で規制対象になっていた漫画やコンピューターグラフィックス(CG)を含む「絵」については、憲法が保障する「表現の自由」の観点から除くことにした。
このほか、被害にあった児童の名前や年齢、学校名などの報道を禁止する規定を盛り込んでいる。
現行の刑法では、強姦(ごうかん)罪などの疑いがある事件は被害者の訴え(親告)が必要で、海外の児童買春は事件になりにくかった。こうした点を踏まえ、新しい法案では、十八歳未満の児童に対償を与え、性交などをすれば、親告がなくても処罰できるようにしている。
今回の修正案をめぐっては、超党派の「児童買春問題勉強会」(座長・森山真弓元文相)が今年一月から検討を進めていた。
(3月18日14:55)
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