深田恭子「処女の淫肉祭〜18歳のエチュード」
■プロローグ■
今をときめくトップアイドル・深田恭子。
彼女の所属プロダクションの本社ビルで、幹部が集まって会議が行われていた。彼らは、難問に直面していた。
最近アイドルに「激似」、つまりよく似ているAV嬢を使った、アダルトビデオが流通しているのである。
深田恭子も、その例外ではなかった。
「フェラ顔がイイ!深田○子デビュー直前のウワサのビデオついに発売!今と同様のぎこちない演技だが、それがまたイイ!!!」
「井○晴美と深田○子が登場する夢の4Pビデオが流出!オトコ2人のチ○コを先を争い奪いあう姿はもうド淫乱なメス犬!!!」
深田恭子本人が読めば、気絶しそうな宣伝コピーとともにこれらのインディーズビデオは隆盛を極めていた。
「これはいかん・・・・・・。今年の夏休み映画も今ひとつ集客がよくなかったしなぁ」
「本物の恭子のイメージビデオよりも、こっちのAVのほうが売れ行きがいいらしいですよ」
「うーん、どうする・・・・・・?」
プロダクション本社の会議室は、重苦しい沈黙に包まれていった・・・・・・。
■第1章・「乙女の祈り」■
2000年11月2日。
深田恭子はマネージャーに伴われ、初冬の軽井沢に来ていた。
朝、東京から関越自動車道でノンストップである。
まだ11月だったが、高原の街・軽井沢はもう既にコートやジャンパーが手放せないほどの寒さだった。
夏とは違い、街に人気は少ない。
先程、昼食のためにホテルのレストランに立ち寄ったときも、恭子たちのほかには、この寒空の中でゴルフをしに来た物好きな客が一組いるだけだった。
マネージャーの運転する車は市街を離れ、白樺林に入ると一軒の別荘の前で止まった。
「あのぅ、田村さん、ここはどこなんですか?」
恭子は後部座席から声をかける。
「ん?ああ、ここは、ウチの社長の別荘だよ」
「ふぅん、凄い建物ですね」
長いまつげの目をしばたかせて、珍しそうに恭子はその建物を眺めていた。
別荘というよりは、小さめのホテルのような規模のコテージ風の建物だ。
来客を迎えるためだろうか、部屋数も多そうだった。
「ここで、今度のお仕事をするんですね」
「・・・・・・ああ」
すこし投げやりな田村の返事に、恭子は一抹の不安を感じた。
(どうしたのかしら、田村さん。なんか今日、怖い顔してる・・・・・・)
恭子の不安はそれだけではなかった。
いつも後部座席の隣に座っているはずの付き人の玲子が、今日はいないのだ。
どんな仕事のときにも必ずそばにいてくれる、姉代わりとも言える玲子がいない。
マネージャーの田村によると風邪のために休んだということだった。
(玲子さん、昨日まではすごく元気だったのに、変だわ・・・・・・)
朝、東京を出発する頃から、恭子は不思議に思っていた。
田村は車を再スタートさせると、徐行しながら屋根に覆われた車寄せに停めた。
「さあ、恭子ちゃん、降りて」
先に車を降りた田村が後部ドアを開けると、軽井沢の冷気と寒風が恭子の全身に襲いかかった。
「キャーッ!」
車から降りた恭子は、思わず身を縮こませた。
田村からは、この夏の映画のビデオ発売のためのプロモーションビデオの撮影と言われていた。
このため今日の恭子は、映画と同じブレザースタイルの制服の衣装を着ていたのだが、その姿では耐えられないような冷たい風だった。
強い風が、容赦なく襲いかかる。金ボタンのついた紺色のブレザーを、紺のトラッドストライプの柄のリボンを、グレーを基調としたチェックのミニスカートを、恭子の身体から引き剥がさんばかりに。
「やぁん、もう!」
「さ、恭子ちゃん、こっちだ」
玄関ホールまで、田村がかばうようにして恭子を連れていってくれた。
「ふぅ!なんか、チョー凄い風ですね」
恭子はそう言って、強風で乱れたセミロングの髪を手で直しながら田村のあとに続き靴を脱いだ。紺色のハイソックスの脚にスリッパを履く。
廊下を通り、リビングルームに向かった。
50畳近くあるその部屋は、片隅にリビングセットが置かれた以外はフローリングが施された広い空間になっていた。
部屋の一方は、テラスに繋がる大きなガラス戸。
残り三方のうちの一つの壁には、ほぼ全面にわたって大きな鏡が張られている。
スペースの一角にはピアノが置かれ、レッスンスタジオといった趣だ。いや、実際にその目的で使われているのだろう。
ミュージシャン系のタレントが合宿するのには最適だ。
部屋には、スーツを着たプロダクションの幹部社員と、撮影スタッフらしい10人程の男女が、恭子を待ち受けていた。
「おはようございます・・・・・・おはようございます・・・・・・よろしくお願いします」
恭子は、挨拶しながらも馴染みのない顔ばかりのスタッフに、少し緊張していた。
いつもそうなのだ。人見知りしやすい恭子は、新しい仕事のときはいつもナーバスになる。
「やあ、お疲れさん、深田君」
リビングのソファーから初老の男が立ち上がり、恭子を迎えた。
「あっ、しゃ、社長?・・・・・・さん!」
恭子の所属プロダクションの社長だ。
(ど、どうして社長さんがここに?)
ふだん恭子が、社長とこうして会う事はめったになかった。正月と夏のプロダクションのイベントで挨拶するくらいだ。
社長だけでなく、幹部社員の顔が見えた。
「今日は特別な日だからな。おい、アレを持ってきなさい」
指示を受けた男性秘書が、隣室に入ると火のついた蝋燭が18本立ったバースデーケーキをワゴンに乗せて持ってきた。
そう、この日は深田恭子の18歳の誕生日だったのだ。
「お誕生日、おめでとう。恭子ちゃん」
部屋にいた人全員が、拍手で恭子を祝福してくれた。
そう、この日は深田恭子の18歳の誕生日だったのだ。
「ハッピーバースデー」が歌われ、恭子は18本のローソクの火を吹き消した。
(そっかぁ。お仕事が忙しかったから、忘れてた。私、今日で18歳なんだわ。・・・・・・でも、何か変だわ。去年までだったら、マスコミ人たちやファンの代表の人達を呼んでイベントをやるのに。今年は仕事場で、それに社長さんまで呼んでお誕生日のお祝いだなんて)
祝福してくれるスタッフの明るさとはうらはらに、恭子の不安はますます高まってきていた。
ソファーに腰をおろした社長が、恭子に声をかけた。
「深田君、今日で君も18歳だ。『ある意味では』大人の仲間入りだね」
「えっ?あ、はいっ」
物思いにふけっていた恭子は、社長と向かい合う席に座りながら、あわてて返事をした。
「18歳だと、こういうものも見られるようになる・・・・・・」
そう言うと社長は、テーブルの上にあったリモコンのスイッチを入れた。
壁が左右に開き50インチの大型モニターが姿を現わし、画面がオンになった。
同時に、画面に女性の裸のバストが大写しになった。
(あっ!あああっ!な、何、これぇっ?!)
そのバストに男性の手が伸びゆっくりと揉み始めると、女性の呼吸が次第に荒くなり、やがてそれは喘ぎ声に変わっていった。
特注の高音質スピーカーから、淫らな女性の喘ぎ声が鳴り響いた。
(う、うそっ、まさか、これってアダルト・・・・・・ビデオ?!いやっ、いやよっ、ど、どうして私に、こんなものを!)
セクハラまがいのこの状況に、いたたまれなくなった恭子は、両手で顔を覆った。
「しっかり見るんだ、深田君っ。これは君のタレント生命にかかわる問題なんだぞっ」
「えっ?」
社長のその言葉に恭子は、指の隙間から画面を見た。
(あ、ああっ、これって!)
バストショットからカメラがパンアップされ、女性の顔が写った。
(わ、私?! 私なのっ?!・・・・・・い、いいえ、でも、よく似てる)
恭子が、いや、よく似た顔立ちの女性『恭子』が、男性の愛撫に恍惚の表情を浮かべて喘いでいた。
やがて画面が切り替わった。
男性の下半身が、大写しになった。
一応モザイクがかかってはいるが、ほんの申し訳程度のため、それはほぼモロ画像と同じだった。
「キャッ」
恭子が悲鳴をあげる。だが、その目は指の間からじっと画面に釘付けになっていた。
画面の男性器に『恭子』が顔を近づける。
カメラの方を見つめていた『恭子』が、目を閉じダラリと垂れ下がった男性器を手にとり、口に含んだ。
(ああっ、い、いやらしいっ!なんて事を・・・・・・!)
『恭子』の顔がゆっくりと前後に動き始める。
ビデオの視聴者を挑発するようにカメラ目線でジュパジュパと淫らな音をたてて、男性器を吸いたてていく。
『恭子』の口の中で、男性器が次第に硬度を増し、膨らんでいく。
(ああっ、す、凄いわっ)
大きくなったモノから『恭子』が唇を離した。
男性が『恭子』を押し倒し、下半身を結合させた。
『恭子』の顔が一瞬、苦痛に歪み、やがて歓喜の表情に変わった。
胸を愛撫されていた時と同じように、いや、それ以上の大きな喘ぎ声が高らかに室内に響き渡る。
そこでビデオのスイッチが切られ、画面がブラックアウトして音声も途切れた。
静寂が室内に戻る。
重苦しい表情で、社長は恭子に切り出した。
「・・・・・・どうかね。深田君、感想は?」
「ひ、ひどい!あんまりですっ。どうして、こんなものが出回っているんですかっ!どうして訴えないんですかっ!」
目に涙を浮かべ、恭子が叫んだ。
「このビデオのタイトルにも、内容にも『深田恭子』の名前は一切出とらんのだ。この宣伝文も伏せ字になっているから、とぼけられればそれまでだ。肖像権の侵害で訴える訳にはいかんのだよ」
例の宣伝コピーの載ったチラシとインディーズビデオのパッケージを、テーブルの上に置きながら社長が言った。
「じゃ、このままにしてるんですかっ?」
「もちろん、われわれとしても手をこまねいている訳ではない。幹部会議で結論が出た。偽者が出回っているなら、『本物』を作ればいいということになったのだ」
「えっ?」
「つまり、『本物』の『深田恭子』主演の『アダルトビデオ』を製作するということだ!」
「えーっ!?」
予想もしていなかった社長の言葉に、恭子の全身は凍りついた。
(い、いま社長、なんて、いったの? 私? 主演の? アダルト? ビデオ? アダルトビデオ! この私がアダルトビデオにっ! うそぉっ!)
社長の言った言葉の意味を反芻しながら、両手で自分の身体を抱いて恭子は震えた。
「わが社も以前に比べると、パワーが落ちてきている。店頭公開している株価もこの不景気のあおりを受けて、下降気味だ。だが、もし君のAVがでれば間違いなく大当たりだ。これはわが社にとって一石二鳥の起死回生の策なんだよ」
「で、でもっ」
「菅野美穂がヘアヌード写真集で演技派に転身しただろう。AVなら、それ以上のインパクトを与えることができる。清純派の君も、演技の新しい面を引き出せるいい機会だ。」
「そ、そんなっ」
「君はもう今日で18歳だ。アダルトビデオに出演できる年齢だ。君のご両親にも打診したが、君次第だと言う返事だった」
「ええっ?!」
(ひ、ひどいっ、お父さん、お母さん、あんまりだわっ)
「もう君の選択肢は二つに一つしかない。AVに出演するか、引退するかだ。どうするかね」
「そ、そんなっ」
選択というより脅迫に近い、あまりに残酷な悪魔の選択だった。
社長も、他の幹部社員も真剣な顔で恭子の顔を見つめ、回答を求めていた。
(嘘じゃないんだわ。ああっ、でも、でもっ、どうしたらいいのっ)
「深田君、どうかね」
「あ、あの、社長、30分だけ考える時間をくださいっ。失礼します」
恭子はそう言って立ち上がると、廊下に出た。
(こ、こんな時、相談できるのは・・・・・・)
携帯電話を取り出し、震える指で短縮番号をプッシュする。
ピッ、ポッ、パッ・・・・・・プルルルッ、プルルルッ・・・・・・!
(お願いっ、早く出てっ、私を助けてっ)
プルルルッ、プルルルッ・・・・・・!
(まさか、留守電? お願いよ、出てっ)
プルルルッ、プルルルッ・・・・・・プッ!
「はぁい、鈴木です」
「あっ、あみちゃん? わたしっ、恭子よっ」
「あー、恭子ちゃん。ウフフ、どうしたの?」
親友の鈴木あみだった。殺伐とした芸能界のなかで、恭子が唯一心を許せる友人だった。
「あみちゃん、私・・・・・・、私ね、アダルトビデオに出ることになったのっ」
「ええーっ、何それぇ!」
驚くあみに、恭子は今までの経緯を語って聞かせた。そして、もう選択の余地があまりないことも・・・・・・。
「ふぅーん、なるほどぉ・・・・・・」
「ねっ、あみちゃん、どうしよう?」
「出れば?」
「えっ?」
「出てみたらいいじゃん。そのアダルトビデオ」
「そ、そんなっ、あみちゃんまで!」
「いいじゃん、出てみたら? エッチすると考え方が変わって面白いよ」
「えっ?」
「恭子には黙ってたけど、私もこの前、・・・・・・しちゃったんだ、初エッチ。ほら、新曲のレコーディングで煮詰まってた時があったでしょ。その時、ファンの男の人と」
「うそぉっ!」
そういえば最近色っぽくなったあみの表情に、恭子も疑問を感じていたのだ。
「エヘへ。いいよ、エッチって。すごく気持ちいいの。ほんと、天国にいるみたいだったわ」
「あ、あみちゃん・・・・・・」
「ね、出てみたら?・・・・・・あ、ごめーん、リハが始まるみたいだから切るね。また電話してねっ」
「あ、あみちゃん!あみちゃんっ!・・・・・・」
「プツンッ!・・・・・・プーッ、プーッ、プーッ・・・・・・」
ピッ!
携帯のスイッチを切ると、恭子は窓から見える軽井沢の森を見つめた。
(あみちゃんまで・・・・・・。もう、私、戻れないのね・・・・・・)
その時、針葉樹の枝から小鳥が飛び立った。
(ああっ、私も、あの小鳥のように飛ぶ時がきたのかしら・・・・・・)
そろそろ時間だ。
恭子は天を仰ぎ、深くため息を吐くと、社長たちが待つ部屋に戻った。
「ふ、深田君・・・・・・」
社長以下のプロダクションの社員と撮影スタッフが、緊張の面持ちで恭子に注目している。
恭子は緊張に頬を引きつらせながらも、こう言いきった。
「社長、私、やらせていただきますっ!」
おおっ!というどよめきが、部屋中にあがった。
「いいんだね、深田君」
「はいっ、がんばりますっ。よろしくお願いします」
この瞬間、超人気アイドル・深田恭子主演のアダルトビデオ製作が決定した・・・・・・。
「・・・・・・そうか、ありがとう、深田君」
社長は深々と安堵のため息をつきながら、恭子に頭を下げた。
「じゃ、早速だが監督を紹介しよう。白戸・・・・・・雷太さんだ」
「どうも。白戸です」
ジーパンに革ジャン、Tシャツ姿の男が恭子に会釈した。
20代後半の売れない役者を思わせる男だ。渋めの表情のなかに、やさしさと危険な匂いとが同居しているようだと、恭子は思った。
「ふ、深田恭子です。よろしくお願いします」
恭子は深々と頭を下げた。
社長と幹部社員が席を立った。
「じゃ、われわれは本社に戻るからね。監督、あとはよろしくお願いします。田村君、頼むぞ」
社長はそう言って、マネージャーの田村と恭子、ビデオのスタッフを残し部屋を出て行った。幹部社員たちもその後を追う。
同時に、撮影スタッフが機材設営の総仕上げに動き始めた。
あわただしい喧騒の中で、何もすることがない恭子と監督はソファーに座った。
田村は、打ち合わせのためなのか、携帯電話を手に廊下に出て行った。
「あ、あのっ、監督さん、台本は・・・・・・?」
「ああ、今回はドキュメントタッチの作品だからね。まあ、こんなものかな?」
監督が、ワープロで印字されたA4のコピー用紙を数枚束ねたものを恭子に渡した。
台本というよりは、進行表という程度のものだった。
その先頭の行には大きく、『処女の淫肉祭〜18歳のエチュード/主演・深田恭子』と印字されていた。
恭子が主演した映画のタイトルをもじった、えげつないタイトルだ。
さらにその下には、「オナニー」「本番・1」「フェラチオ」「本番・2」という信じられない文字が見えた。
(ああっ、私にできるのかしらっ。でも、やらなくっちゃ。会社のために、いいえ、自分のためにも・・・・・・)
震える手で進行表を見ながら、恭子は自分にそう言い聞かせていた。
撮影準備が整ったようだ。
「監督、ファーストシーン、準備OKです」
ADの声に頷くと、監督が立ち上がった。
「じゃ、恭子ちゃん、始めようか」
「は、はいっ」
恭子は、スタッフが待つ広いフロアーに出た。いつの間にか部屋の隅にあったグランドピアノがやや中央よりに持ち出されている。
恭子は促されるままにピアノの椅子に座った。
ピアノと向かい合うように設置されたディレクターズチェアに、監督が腰をおろした。穏やかな声で恭子に声をかける。
「えー、まずタイトルバック用の、恭子ちゃんのピアノ演奏のシーンを撮ります。恭子ちゃん、いいね。この作品は恭子ちゃんのピアノ演奏をモチーフにしようと思ってるんだ」
「あ、はいっ」
「恭子ちゃんのレパートリーは、マネージャーさんから聞いています。1曲目、大丈夫ですね?」
ピアノの楽譜台には、最初の曲『乙女の祈り』の楽譜が置かれていた。
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、カメラが回ったら演奏を始めてください。はいっ、本番いきまーす」
「えっ、監督、リハーサルとかしないんですか?」
「恭子ちゃん、言ったでしょう。これはドキュメントタッチの作品なんだって。リハなしでオール本番撮りでいくからね。よし、いきます!・・・・・・本番っ、用意、スタートッ!」
監督の合図で、ADがカチンコを鳴らした。
恭子を三方向から囲む、高品位VTRカメラが回り始めた。
さらに監督の出したキューにあわせて、恭子の演奏が始まった。
『乙女の祈り』の格調高い、清らかなフレーズが流れ始める。
(あ、懐かしい。小学生の頃、よく弾いていたわ。この曲・・・・・・)
曲名の通り、可憐で美しい旋律だ。ピアノのエチュード(練習曲)として、またオルゴールの音楽でも有名なバダジェフスカ作曲の名曲である。
恭子の指先が細やかな高音のアルペジオの部分を奏でる。
(ああっ、このまま時間が止まってくれたらいいのに。AVなんて中止になってくれたらいいのに・・・・・・)
18歳の乙女、深田恭子の『乙女の祈り』が流れてゆく。
それは、メジャーな曲調にもかかわらず、どこか寂しげに聞こえていた。
恭子の切ない祈りを乗せた、5分弱の演奏が終わった。
「・・・・・・はい、それじゃ恭子ちゃん、こちらに移動してください」
監督が、恭子をフロアの中央にポツンと置かれた椅子の前に移動するように促した。
3台のカメラも恭子を追いかけるようにして移動した。
座る部分と背もたれにバラの刺繍の布張りが施され、全体にロココ調の彫刻が施された、肘掛付きの高級な椅子だ。
「そのまま座ってください」
「はい」
「これから、恭子ちゃんの『オナニーシーン』を撮ります」
『オナニー』という監督の言葉に、恭子の肩がビクンと震えた。
「恭子ちゃん、オナニーしたことはありますか?」
今までだったら、アイドル・深田恭子に対しては絶対にありえない質問だった。だが、今日からは答えなければならない。
「えっ?は、はいっ、あ、あり・・・・・・ますっ」
「感じちゃう方ですか?」
「え、あっ、よ、よくわかりませんっ」
「そうですか。じゃあ、今日はカメラの前で、ファンの皆さんに恭子ちゃんがいっぱい感じちゃってるところを見てもらいましょうね。もし感じないようだったら、ここにいる男優の篠塚君がお手伝いするからね」
監督の隣に、白のポロシャツと紺のパンツ姿のハンサムな青年が立っていた。
(この人が、私の相手役になるんだろうか?)
監督から声がかかった。
「じゃ、始めようか」
「は・・・・・・い」
恭子は、消え入るような声で答えるのがやっとだった。
「どうやってオナニーしてるんですか?」
「そ、それは・・・・・・」
「オッパイを揉んだりとかします?」
恭子は顔を赤らめ、頷く。
「じゃ、やってもらいましょう。まず、ブレザーのボタンを外して」
「えっ・・・・・・」
「ブレザーのボタンを外してください」
監督の声は穏やかなままだった。だが、その穏やかさがかえって恐ろしかった。
恭子は、言われるままにブルブルと振るえる指でボタンを外した。
「ブラウスの、ボタンも・・・・・・。あ、リボンはつけたままで、胸のところだけを開けてください」
「は、はいッ」
(ゆ、指先の震えが止まらないっ。いつもなら、いつもなら簡単なことなのに・・・・・・)
いつもの倍以上の時間がかかったが、なんとかブラウスのボタンを外した。
「じゃ、前を開けて、胸を見せてください」
(ああっ、は、恥ずかしいっ)
ブラウスの前に手をかけたものの、それを左右に開く勇気がなかった。
「恭子ちゃん、胸を、見せてください、まだブラジャーを着けているんでしょう? 水着の撮影と同じだよ。さあっ」
監督に促され、恭子は恥ずかしさに俯きながらブラウスの前を、自分で開けた。
Cカップのブラジャーに包まれた恭子のバストが現れた。
「おおっ・・・・・・」
予想外に大きい恭子のバストの大きさに、思わずスタッフから声が上がった。
白地に薄く小さな花柄のプリントが施されたブラジャー。そのブラジャーに包まれた恭子のバストが、激しくなる胸の鼓動とともにプルプルと揺れている。
ブラのカップに隠されていない部分からは、18歳の少女のきめの細かい肌が顔を出していた。
「きれいな胸ですね。恭子ちゃん」
「あ、いえっ、そんなっ」
「顔をそむけずに、こっちを、カメラの方を見て」
(そ、そんなっ、恥ずかしいっ)
恭子は心では抵抗していたが、4年間の芸能生活の習慣で自然にカメラに反応してしまっていた。
怯えたような目で、カメラを見た。
「うーん、いい表情だ!」
モニターで恭子の表情をチェックしながら監督は頷いた。恭子の方を見やると、再び指示を出す。
「では、そのオッパイをいつもやっているように揉んでみてください」
(ああっ、やっぱり、やるの? やるんですか?)
恭子は、確認をするように監督の顔を見た。
「さあ、ビデオを見ているファンの人たちも待ってるんですよ。さあ恭子ちゃんっ、オッパイを揉んでっ」
有無を言わさぬ監督の返事だった。
仕方なく恭子は、ブラジャーの布地越しに自分のバストを両手でつかんだ。
その瞬間、ビクンと身体が震えた。
(あっ・・・・・・。なんで・・・・・・?!)
緊張のせいか恭子の身体は、いつもよりも敏感になっていた。
そのまま恭子は、両手に力をこめてゆっくりと自分のバストを揉んだ。
「あうっ・・・・・・、ああっ!」
思わず快感に声が出た。
「いいぞぉ、いいよ恭子ちゃん。そのまま続けて」
「はぁあっ、うっ、ああっ・・・・・・」
(ああっ、だめっ、だめよ恭子、そんなはしたない声をだしちゃ)
恭子は自分をたしなめて、必死に唇を噛みしめ声が出るのを抑えようとした。だが、自分の身体に走る快感を、もう押さえることはできなかった。
「ううっ、あん、ああんっ!はああん!」
「胸だけじゃなくって、いつも、下も触ってるんでしょ? いいんだよ、遠慮しなくても。触りたいんでしょ、アソコ」
監督の言うとおりだった。恭子は自分の下腹部が熱くなっているのを感じていた。
しばらくためらっていたが、思い切って右手をミニスカートの中に差し込んだ。
「ああっ、アアン!」
右手の指がブラジャーとおそろいの柄のパンティーの三角地帯に触れた。
(ああっ、ココもいつもと違う。ああっ、熱くなってるっ)
恭子の右手の指は大胆に上下に動き、激しく三角形の頂点を撫でこすっていった。
先ほどまでピアノから可憐な音を導き出した恭子の指は、今は恭子自身を淫らな楽器に変えてエッチな音楽を奏でていた。
「あうっ、アアアン、ああんっ!」
静まり返った室内に、恭子が奏でる喘ぎ声のエチュードが響きわたった。
閉じていたはずの脚が左右に開き、スカートが捲れあがった。
「はぁん、アアン、アアン・・・・・・!」
「ほらほら、恭子ちゃん、左手が遊んでるよっ」
監督の言葉に、恭子は左手を動かし右、左とバストを揉んでいく。
乳首が硬く膨らみ、ブラジャーの布地を突き上げているのがわかった。恭子の指先は、自然に乳首を探り当て愛撫していた。
「恭子ちゃん? ブラジャー取っちゃおうか? 篠塚君、手伝ってあげて」
「はいっ」
待機していた男優の篠塚が、恭子に近づいてきた。
「あっ、いやぁ、ダメッ、こ、こないでっ」
篠塚は、カメラの邪魔にならないように恭子の背後に回りこむと、ブラウスをめくり背中に手を差し入れた。
「ああっ、や、やめてくださ・・・・・・ああっ!」
篠塚の指が巧みに動き、恭子の背中のブラジャーのホックを外した。
さらに篠塚はブラのカップを恭子の首元に引き上げた。
「い、いやああああっ!」
プルン、プルンッ!
深田恭子のCカップのバストが剥き出しになった。
白く透き通るような肌。
そのバストトップには10円玉大の濃いピンク色の乳輪。
そして、その中央でぷっくりと膨らんだ小豆大の乳首が上を向いていた。
「ああっ、いっ、いやぁああっ!」
恭子は身をすくめ、バストを両手で隠した。
「ようし、篠塚君、パンティーも取っちゃおう」
「はいっ」
篠塚は恭子の前に回りこむとスカートを捲り上げ、パンティーを一気に足首まで引き下げた。
「いやあああっ、やめてえええっ!」
絶叫する恭子を無視して、篠塚は強引に恭子の足首から白い布を取り去った。恭子が履いていたスリッパが吹っ飛んだ。
「い、いやっ、何するんですかっ」
そのまま、紺のハイソックスを履いた恭子の脚を抱えあげ、左右の肘掛に膝の裏側を乗せた。
M字型に開脚した状態である。
「あああっ、いやぁっ」
篠塚は再び恭子の後ろに回りこむと、スカートを胸の下まで捲り上げた。さらに恭子の両手首を掴んで後ろ手に引っ張り、恭子が抵抗できないようにした。
それは、超人気アイドル・深田恭子深田恭子が乳房と陰部をカメラの前に剥き出しにさらけ出すことを意味していた。
「ああああっ、い、いやあああっ!」
正面にあるカメラの望遠レンズが作動し、恭子の剥き出しの股間をアップで捉えた。
フサフサと生い茂った濃い目のアンダーヘア。
その下には肌色のふっくらとした二つの丘。
そしてその丘の谷間からはピンク色の可憐な花びらが、顔を覗かせていた。
「や、やめてっ、撮らないでっ、撮らないでぇええっ!」
「大丈夫だよ、恭子ちゃん、モザイクかけるから。ほら1カメ!アップで撮って!」
無情な監督の指示で、カメラマンは恭子の股間めがけてカメラを近づけてくる。
「いやっ、イヤイヤッ!やああああああああああああんっ!」
完全に泣き声になった恭子が、絶叫する。
その瞬間、それは起こった。
プッ、シャアアアアアアアアッ・・・・・・!
恭子の股間から、黄金色の液体が美しい放物線を描いてほとばしったのだ。
「う、うおおっ」!」
スタッフ全員がパニックに陥った。
まさか、アイドル深田恭子が放尿するなんて!
そのなかで、監督だけは冷静だった。
「カメラ、そのままだ!撮影を続けろ!」
その指示を受けて右から、左から、そして正面からのカメラが、恭子の放尿シーンを撮り続ける。
特に正面のカメラは、恭子の排泄物の飛沫を浴びながらの撮影だった。
シャアアアアアアアアアアアアッ・・・・・・!
恭子の放尿は止まることなく続いている。
朝一番に行ったのを最後に、トイレに行っていなかったのが仇となっていた。
10秒、20秒・・・・・・。
ビチビチビチビチ・・・・・・!
フローリングの床に音をたてて香ばしい香りが立ちのぼり、湯気をあげながら金色の水溜りができていく。
「ああっ、やあっ、もうやめてっ、いやああああああああん!アアッ、ウウウウウッ!」
恥辱の涙を流しながら、トップアイドル・深田恭子は黄金水を放ち続けていた・・・・・・。
(つづく)
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