藤本美貴「美マンティック 淫らモード」


 ■第一部■

 その日、僕はいつものようにパソコンを立ち上げ、メールチェックをした。

 今日はメールマガジンが届く日なのだ。それは、僕が参加している藤本美貴ちゃんのファンクラブのメルマガだった。僕は、美貴ちゃん=愛称ミキティのデビュー前からの大ファンなのだ。ちなみにミキティというのは、美貴+キ×ィちゃんからつけられたニックネームだ。僕も、そしてもちろん美貴ちゃん本人も、お気に入りのニックネームだ。

 ミキティの最新情報は、いつもこのメルマガを参考にしている僕だが、今回はいつもと様子が違った。メルマガには「重大告知!」というタイトルがついていた。

 いったい何だろう。

 内容を見ると、美貴ちゃんの新曲、『ロマンティック 浮かれモード』のシングルCDを発売当日ファンクラブ事務局で直販するという内容である。

 それだけでは普通の案内通知だ。だが、内容を読むと、何かが変だ。

 それは、美貴ちゃんの新曲CDを、なんと個人で「五百枚」購入した人の中から、先着で「五十名」をシークレットライブに招待するというのだ。

 ご、五百枚〜!

 普通なら、こういうキャンペーンはファンクラブ会員だけでなく、一般ファンにオープンにされてCDにバーコードや応募券、応募はがきが付いているはずだ。それに当選人数ももっと多い。僕はファンクラブ事務局に問い合わせをかけてみたが、間違いではなかった。しかし税込単価で千二十円のCDを五百枚……単純計算で五十一万円だ。五百枚×五十人で二万五千枚を一気に売り上げる計算なのだ。

 最近の音楽業界は、苦境に立たされていた。レンタル全盛の今、CDの売上が伸び悩んでいるのだ。

 従ってこれも、美貴ちゃんの新曲を売上上位にしようという、事務所側の計算なのだろう。

 しかし、いくらファンでも五百枚も買うバカがいるのだろうか。

 半信半疑だったが、何かを直感した僕は、銀行にダッシュした! 

 バイトで貯めた貯金から現金五十一万円を下ろすと、ファンクラブ事務局に向かった。驚くべき事に、事務局前はすでに数十人の長蛇の列。僕みたいなバカが行列を作っていた。

 とても五十人の中に入るのは無理だと思ったが、奇跡が起こった。なんと、ギリギリ五十人目に間に合ったのだ。

「おめでとうございます! ちょうどあなたが五十人目です!」

 事務局の女の子からそう言われて、僕は現金五十一万円と引き替えに、藤本美貴ちゃんのシークレットライブの招待状を受け取った。CDは後日宅配便で届けてくれるそうだ……。

 

 シークレットライブ当日。

 僕は招待状に書かれた会場のある渋谷へ、朝一番に駆けつけた。ライブ開始は午後六時からだったが、五十人限定とはいえ指定席ではないから、早めに行っていい席を取ろうと思ったのだ。もちろん大学の授業などというつまらないものはサボった。

 カメラ、デジカメ、ビデオカメラ持ち込みOKと招待状に書かれていたので、僕はバックに手持ちのデジカメとビデオカメラをバックに入れて担いでいた。普通なら、この手の機材持ち込みは厳禁なのだが、今回は一人当り五十万円も払ったのだ。当然の権利だろう。

 渋谷にはあまり詳しくない僕は、招待状の地図をたよりに渋谷の街を歩いた。

「え、こ、ここは!?」

 道玄坂から一本入ったところにある会場は、なんとストリップ劇場だった。

 入口には「本日貸切」の紙が貼られていた。半信半疑で窓口にいくと、先日のファンクラブ事務局の女の子がいた。

「藤本美貴シークレットライブにお越しのお客様ですね。ご招待状をお出しください」

「あ、はい……」

 招待状に受付のスタンプを押してもらい、僕は中に入った。徹夜組もいたのだろうか、すでに二十人近くの人が、前の方の席を埋めていた。仕方なくステージ正面だが三列目の席に座る。普通なら、ファン同士の挨拶や情報交換が行われるのだが、なぜかみんな押し黙ったままじっと座っているだけだった。

 最初、僕はこのストリップ劇場の寂しい感じが、ミキティ=美貴ちゃんには不似合いだと思っていた。いつもなら、明るいイベントホールで行われるはずの美貴ちゃんのライブが、こんなセコイところで行われるなんて……。

僕は、あらためて、いわゆる客照=客席の照明が点けられている場内を改めて見わたしてみた。

 僕も男だ。ストリップ好きな先輩に誘われて新宿の劇場に行ったことがある。この劇場は初めてだったが、大体構造は同じようなものだ。

 人が前後に三、四人並んで立ったら動けないくらい狭いステージ。その左右には、金属製のパイプが天井まで伸びていた。この棒に掴まって、踊り子さんが踊るのだ。舞台正面からは、「花道」と呼ばれる通路が二メートルほど伸び、その先端は直径二メートルほどの円形の舞台になっている。たしか、その形から「デベソ」とか「盆」とか呼ばれている場所だ。ストリップのメインのショーの時は、ここで踊り子さんが踊るのだ。その「盆」のを方向を向く形で、五十から六十席の客席が並んでいる。その中の最前列席が、いわゆる「かぶりつき」という席だ。

 僕の席は「かぶりつき」ではなかったが、でも、これだけ美貴ちゃんを近くで見られる距離ならいいかも、と思った。限定五十人という観客数を考えれば、これでいいのかも知れない。

 それから僕は、美貴ちゃんの曲をダビングしたMDをイヤホンで聞きながら、長い待ち時間を過ごした。一時間に四、五人の割合でお客さんがやってくる。途中のコンビニで買っておいた弁当を食べ、しばらく昼寝。朝が早かったので爆睡状態だ。

 僕が目を覚ました頃には、場内は五十人のファンで熱気ムンムンだった。ただし、みんな無言。目だけが異様にギラギラしていた。まるでこれからストリップの公演が始まるかのような雰囲気だ。

(えっ、も、もしかして……?) 

 場内の異様な雰囲気から、僕の頭にいけない考えが浮かんだ。

 まさか、あの清純でかわいい僕のミキティが、そんなことするわけない!

(でも……?)

僕が悩んでいるうちに開演のブザーが鳴った。

 男性のスタッフのアナウンスが場内に流れた。

「大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、藤本美貴・スペシャルシークレットライブを開演いたします」

「ウオオオオオ!」

 場内が沸いた。五十人とは思えない凄い歓声だ。もちろん僕もその中の一人だ。

 あっ、舞台の奥のカーテンが開いた!

 ミキティだ! 美貴ちゃんだ!

 カメラのフラッシュが光る。ものすごい光のシャワーが美貴ちゃんを包み込む。

「皆さん、こんばんはーっ。藤本美貴でーす。」

 ダークブラウンに染めたショートカットの頭をペコリと下げて、美貴ちゃんの挨拶だ。

「ワーッ!」

 場内が沸く。

 美貴ちゃんは、新曲用のミニドレス姿だった。銀色の、まるで魚の鱗のようなラメが全体につけられた、超ミニスカのドレスだ。ドレスと同じラメ入りのリストバンドが、アクセントになっていた。つやつやと光る茶色の髪には、羽根のような飾りがついた銀のカチューシャ。頭の後ろにはドレスのラメと同じデザインの丸い銀色の髪飾り。耳には銀のイヤリングがかわいい。

 今日の美貴ちゃんは、ハンドマイクを持っていなかった。その代わり、ハロプロのミュージカルでも使われた、小型のワイヤレスマイクを左耳に装着していた。小型のボールペンぐらいのサイズのやつだ。耳に装着したマイクが、美貴ちゃんの左頬に伸びて声を拾っているのだ。

「えっと、きょうは、藤本美貴・スペシャルシークレットライブにおこし頂き、ありがとうございます。そして皆さんのご協力のおかげで、私の新曲『ロマンティック浮かれモード』が、週刊チャート初登場で、なんとっ、第三位になりましたーっ」

「ワアアアアアーッ!」

「おめでとー!」

「いいぞー、ミキティー!」

 僕たちファンから、祝福の声が飛ぶ。照れてはにかんだ美貴ちゃんが、かわいい。

「……ありがとうございまーす。あのっ、今日は、私のCDをたくさん買ってくださったお礼に、一生懸命歌って……歌って、踊り……踊りますからっ! 藤本美貴の、す、全てを見せますからっ! 最後までいーっぱい、楽しんでくださいねーっ!」

「オオオオオオーッ!」

 一瞬、ミキティは言葉に詰まったように見えたが、美貴ちゃんの笑顔に僕たちも大きな声で応えた。

 ただ、僕は個人的には「全てを見せますから」という美貴ちゃんのMC、アナウンスに何か、引っかかるものを感じていた。

「……それでは、最初は私のデビュー曲、『会えない長い日曜日』、聞いて下さい!」

「ワーッ!」

 曲のイントロが始まり、美貴ちゃんが軽快に踊りだす。すでに懐かしささえ感じる、

「♪会・え・な・い〜っ ……長ーい長ーい日曜日……」

 サビの部分から歌い出す美貴ちゃん。美貴ちゃんのデビュー曲だ。ちょっと鼻にかかった甘い歌声に、僕の脳味噌がとろける。

 僕は思わず今年の三月のデビューイベントに参加した時の事を思い出していた。あの時は、黄色のベストとホットパンツスタイルだった。スリムな肢体でちょっとぎこちなく、でも元気よく踊っていたかわいい美貴ちゃんに、僕は一発でKOされ、即日ファンクラブに入会したのだ。

 今日はその時とは違う新曲の衣装だったが、ミニドレスから伸びた美貴ちゃんの綺麗なナマ脚と、ちょっとエッチな腰の振りに、不謹慎にも僕の股間は膨らみはじめていた。

 美貴ちゃんは百五十六センチと小柄なのだが、小さな顔とスラリとしたプロポーション、それにダイナミックな踊りのアクションがその姿を大きく見せていた。僕は右手でビデオカメラを構え、歌い踊る美貴ちゃんを撮っていた。十メートルもない近距離だ。ほとんどズーム機能なしでも撮れる。今日はハンドマイクがないため、美貴ちゃんのダンスもいつもより激しい。その分、僕たちもカメラで追いかけるのが大変だ。

 少し声が震えているような感じだったが、美貴ちゃんはかわいい笑顔と爽やかな歌声で僕らを魅了してくれた。

 五十人のほとんどが、カメラやビデオを撮っているので手拍子ができず、声だけの応援だったが、会場は一気に盛り上がった。

「エル・オー・ブイ・イー! We LOVE ミキティ!」

「Lovely! Lovely! Lovely! ミキティ!」

 僕らの応援に応えて、美貴ちゃんは元気に一曲目を歌い終わった。

僕たち観客はカメラを置いて歓声と拍手を送った。

「ワアアアアアアアアッ!」

「どうも、ありがとうございましたー」

 ペコリとお辞儀をした美貴ちゃん。だが、顔を上げた時、その表情は少し青ざめ、硬くこわばっていた。本来ならここでミキティのMCがあるはずなのだが、美貴ちゃんは黙ったままだ。会場内に不思議な沈黙が流れた。

「どうしたー、ミキティー!」

「がんばれー!」

 沈黙を恐れた観客が、美貴ちゃんに声をかけるが、それにも無反応だ。

「藤本美貴さん……」

 先程の男性スタッフの声だ。低音なだけに少し不気味だ。

「はっ、はい!」

 あわてて怯えたように美貴ちゃんが答える。

「これから何が始まるか、観客の皆さんに伝えて下さい」

「はっ、はい、あ、あのっ、これから、セカンドシングルの、『そっと口づけて ギュッと抱きしめて』を歌います」

「ウワァアアア!」

 観客の歓声だ。だが、それを封じるかの様に男性スタッフの冷たい声が響いた。

「歌うだけではないでしょう。美貴ちゃん、ファンの皆さんにちゃんと伝えてください」

「は、はい……。あ、あのっ……」

 会場内が水を打った様に静まり返る。

「あ、あの、う、歌いながら、踊りますっ」

「ただの踊りじゃないでしょう?」

 冷酷なスタッフの声が、なおも美貴ちゃんを促す。

(ま、まさか……!)

 開演前の、僕の悪い想像が頭をよぎる。

「は、はい、私が……、歌って、踊りながら、ぬ、脱ぎますっ! 藤本美貴が、これから歌いながら、自分の曲で、ス、ストリップダンスを踊りますっ……!」

 会場内の空気が、凍りついた。

 僕の想像が当ってしまった!

 ああ、さっき美貴ちゃんが、「全てをみせますから」という言葉の意味は、やはりこれだったのだ。

 美貴ちゃんの「ストリップ宣言」の直後、会場内は大パニックになった。歓声とも悲鳴ともつかない声が観客から上がった。

「ウワァアアアアア……!」

「うそだああああ!」

「やったー! いいぞ! ミキティ! 脱げ脱げーっ!」

「バカヤロー! てめえ、それでもミキティのファンかよ!」

「フッ、いい子ぶっちゃって、ホントは見たいくせに」

「なにぃ!」

 一部ではつかみ合いのケンカが始まっていた。

「あのっ、皆さん、聞いて……お願いですっ……聞いて下さーい!」

 必死に叫ぶ美貴ちゃんの声に、再び場内が静かになった。

「美貴は……、私は、スタッフの方から、このお話を頂いたとき、正直言って悩みました。でも、松浦亜弥ちゃんも、同じ様なイベントをやったって聞いて……」

 場内が軽くどよめく。実は僕も亜弥ちゃんの事は、インターネットの掲示板で噂だけは聞いていた。

「……それに、ファンの皆さんが大切なお金で、私のCDをたくさん買ってくださるって聞いて、勇気を出して、このイベントを、ストリップをやることに決めたんです。お願いしまぁす! やらせて下さい!」

 美貴ちゃんの目に涙がにじんでいた。

 会場は静かなままだった。どう対処していいのか、みんな戸惑っているようだ。

(どうしよう。こんな時、どうしたらいいんだ。で、でも、美貴ちゃんのファンなら……)

 僕は、立ち上がると拍手をした。

 静まり返った会場に、僕一人の拍手が鳴り響いた。

 美貴ちゃんが僕たちのために、勇気を出してやろうと決めたことだ。アイドルが自分で決めた道を、とことん応援するのが本当のファンというものだ。ここで、僕たちが応援しなきゃいけない。そう思ったのだ。

 僕一人だけの拍手に、一人、また一人と、立ち上がって拍手をする人が加わった。

 拍手の波はさらに大きくなり、最後には五十人全員が大きな拍手で、美貴ちゃんを応援していた。

「あ、ありがとう! ありがとうございます、皆さん! 私、やります! 私、このドレスも、ブラも、パンティーも全部っ、全部、脱いじゃいますからっ! 皆さん、美貴の全てを、見て下さーい!」

 またも、大胆発言だ。ストリップといっても、オッパイを見せてくれる程度だろうと、考えていた僕の想像は、よりハードな方向で裏切られた。

 今をときめくアイドル、藤本美貴ちゃん、僕らのミキティが、パンティーまで脱いで、オールヌードになるというのだ。

「ワアアアアアアアアアアア!」

 再び、大拍手。美貴ちゃんの顔に少しだけ赤みが差し、笑顔が戻った。

「それでは、聞いてください、そして、見て下さい! 藤本美貴の、セカンドシングル、『そっと口づけて ギュッと抱きしめて』のストリップバージョンですっ!」

「ワアアアアアアアア!」

 歓声の中、曲の出だしの短いイントロが鳴り始めた。僕はすでにデジタルビデオカメラを回し始めていた。

 歌が始まった。

「♪〜口づけて そっと口づけて 抱きしめて、ギュッと抱きしめて無限な Oh My Dream……!」

 ミキティが、切なそうに冒頭のサビの部分を歌いあげた。

 と、曲は転調して明るく軽快なイントロになる。美貴ちゃんは明るく飛び跳ねるようないつものダンス。一番のAパートを歌いながら、リストバンドを外していく。それだけで場内が沸いた。

 だが、お楽しみはこれからだ。

 歌いながら、美貴ちゃんはラメが輝く超ミニドレスのスカートの裾をつまんだ。

 スッと持ち上げた。

 じゅ、純白のパ、パンティーだ!

 衣装用のアンダースコートじゃない。美貴ちゃんの自前だろう、白いコットンのパンティーが丸見えだ!

「ウオオオーッ!」

 僕たちは、歓声を上げる。

 と、スカートが元に戻った。

「ああーっ」

 僕たちは、ため息。

「♪〜超 やばすぎて マジやばくて……」

 美貴ちゃんは後ろを向いて、上半身を舞台奥に向けて倒した前傾姿勢をとる。

「♪〜また好きになるー」

 と、歌いながら美貴ちゃんは、顔だけ肩越しに僕たちを振り返り、またスカートを捲くりあげた。

 パンティーをはいた、かわいいお尻が丸見えだ!

 得意のダブルウインクをしながら、美貴ちゃんは左右にピッ、ピッとお尻を振った。

「ウオオオオオオ!」

 僕らはまた叫んだ。美貴ちゃんのお尻を撮ろうと、カメラのフラッシュが光る。

「♪〜ねえ〜 どうして……」

 美貴ちゃんの歌は、一番のBパートに入った。

 後ろを向いたまま、美貴ちゃんは身体を起こすと、膝を揺らしてリズムを取りながら、ミニドレスを脱ぎ始めた。

「ウオオオオオオ!」

 絶叫する場内!

 美貴ちゃんの純白のパンティーを吐いたお尻が!

 美貴ちゃんのくびれたウエストが!

 パンティーとおそろいの白いストラップレスのブラジャーを着けた背中が!

 順番に姿を現わしていく!

「♪〜こんなんじゃ どんなことも 手につかないな  ガックシ!」

 Bパートの締めを歌いながら、美貴ちゃんはドレスを舞台後方に脱ぎ捨てた!

 再びサビを歌いながら、美貴ちゃんは正面を向いた。

「♪〜口づけて そっと口づけて 抱きしめて、ギュッと抱きしめて……」

 ランジェリー姿の自分の胸元を、歌詞の通りいったんギュッと抱きしめた。

「♪無限な Oh My Dream……!」

 そして一番の終わりでパッと手を広げて、決めのポーズ!

 ストラップレスブラをつけた胸がプルン! と弾んだ。

「ワアアアアアアアア!」

「いいぞー、ミキティー!」

「かっわいい〜!」

「最〜高〜ッ!」

 間奏の間も、僕たちの声援に応えて、美貴ちゃんは完全に普段と変わらない笑顔と、そして普段とはちがう大胆な下着姿で、間奏の音楽に合わせて元気に飛び跳ねながら踊っている。

 あb轤スめて見た下着姿の美貴ちゃんの胸が、意外と大きかったので、僕は驚いた。

 女の子の成長は早い。

 デビューの時は正直、Aカップ、いやAAカップぐらいだったが、今はB、いやCカップかもしれない。

 サイズは公表されていないようだが、八十〜八十二センチぐらいだろうか。

 ミキティの激しい踊りのアクションに、ストラップレスのブラから今にもオッパイがこぼれ出すかのようにプルプルと弾んでいる。そしてギュッとくびれたウエストの中央に、かわいらしいおへそが見えた。

 ああっ、美貴ちゃんがまた、くるっと後ろ向きにターンをした。

 はち切れそうなお尻が、僕の方を向いた。

 エッチなミキティのランジェリー姿をビデオカメラに収めながら、僕はズボンの前をパンパンに硬くさせていた。

 ああっ、早く中身をみてみたいっ!

 僕のズボンの股間は、ジッパーを引きちぎらんばかりに膨らんでいる。

 たぶん僕だけではなく、周りのみんなも同じ状態だろう。

 二番のAパートが始まった。だが、美貴ちゃんは通常の振り付けで踊り、なかなかブラジャーに手をかけない。

 ひょっとしたら、この曲は下着になるだけなんだろうか?

 一瞬、僕がそう思った時だった。

「♪〜ねえ  夏は〜 女〜の子を 大胆にしちゃうんだろう……」

 美貴ちゃんはBパートの歌詞に合わせて、「大胆に」ブラの背中のホックを外した!

「♪〜もっと輝きたい ずっと一緒にいたい  ピッタシ!」

「ピッタシ!」のタイミングでブラジャーが外された!

「ワアアアアアアアアーッ!」

 美貴ちゃんのバストは歌詞の通り、「輝いて」いた。

 ストリップ劇場のスポットライトに照らされ、水着の跡などない、まっ白いミキティのバストが、プルンと弾んだ! いかにも北海道生まれらしい、白い肌だ。

 形のいいお椀型、乳首はもちろんかわいいピンク色だ!

 僕は、心臓と股間をバクバクさせながら、美貴ちゃんの裸のオッパイをビデオで撮りまくった。

 ここでもう一度長めの間奏だ。

 美貴ちゃんは、堂々と正面を向き、後ろ手に手を組んで胸を隠そうとしない。

 間奏の音楽に合わせ、オッパイを揺らし、腰を振って踊っている。

 また観客のカメラのフラッシュが、シャワーのように美貴ちゃんに向けて浴びせられた。

 そして曲は、二番のBパートのリフレイン(繰り返し)になった。

「♪〜ねえ 夏は  女〜の子を 大胆にしちゃうんだろう……」

 ああっ、そう歌いながら美貴ちゃんの手が、「大胆に」自分のオッパイを揉んでいる。

 さらに最後のサビを歌いながら、美貴ちゃんは客席に背を向けパンティーを脱いでいく!

「♪〜愛してね そっと愛してね……」

 大勢の男たちに見守られながら、パンティーを脱ぎつつ歌うと言う恥ずかしい行為のせいなのか、美貴ちゃんの歌声が震えている。

 ああっ、桃のような白いお尻が顔を出した! 右足、左足と、パンティーから美脚を引き抜く! 

 切なそうなミキティーの歌声が、エッチ度を助長する!

「♪〜でもだけど ギュッと愛してよ 本気だよ My Love!」

 エンディングで後ろを向いたまま、美貴ちゃんはパンティーを投げ捨てた! 純白のパンティーが宙を舞う!

「ウワアアアアアアアアアア!」

「すげええええええええ!」

「さいこおおおおおおお!」

「ミキティー!」

 オールヌードで後ろを向いたまま、美貴ちゃんはパンティーを投げた手を真横に伸ばしたままの、決めポーズだ。

 上気した顔で踊りの疲れも見せず、背中越しに振り返って僕たちを見ている。

 もう藤本美貴ちゃんが、身につけているものは、衣類はもう何もない。

 アクセサリーと靴だけだ。

 羽根飾りつきのカチューシャ、髪飾り、イヤリング、そして、ハイヒールの靴だけだった。

 藤本美貴ちゃん、十七歳の瑞々しいヌードを記録するため、僕たちは、カメラのシャッターを押しまくり、ビデオを回し続けた。

「あっ、あの、皆さん、ど、どうも、ありがとうございましたーっ!」

 息を弾ませながらも、手を下ろした美貴ちゃんが叫んだ。まだ後ろを向いたままだ。

 「いいぞー! 美貴ちゃん!」

「背中、綺麗だよー! ミキティー!」

「美貴ちゃんのヒップ、かわいー!」

 僕たちは、賞賛の言葉を口々に叫んだ。それに答えるかのように、ミキティーのお尻がプルッ!  とちょっと恥ずかしそうに震えた。

「ほんとに……、ほんとに、皆さん、ありがとうございます! 思い切って、全部脱いじゃいました。なんか、超〜恥ずかしいです。でも、皆さんに喜んで頂けて、私もスッゴク嬉しいでーす!」

 背中を向けたまま客席に手を振る美貴ちゃんに、ようやく満面の笑顔が戻ってきた。

 その笑顔と、オールヌードの背中とお尻のミスマッチが、僕を、いや観客全員を興奮させていた。観客からは大拍手と歓声、口笛が飛んだ。

「あのっ、い、衣装はだめなんですけど、美貴が今脱いだ、パンティーとブラは、あとで、五十等分に切って、皆さんにサイン色紙といっしょにプレゼントしまーす!」

「ワアアアアアアアア!」

「……それから私から、もう一つ皆さんにプレゼントがあります。私が、皆さんに、まだしっかりお見せしていない、と、ところが、ありますよねっ」

「オオオオオオ!」

 美貴ちゃんの意味深なMCに、観客全員が声を上げた。

「そ、それは、あのっ、そのっ……、み、美貴の……」

「オマンコーッ!」

 観客の一人が美貴ちゃんを助けるつもりで叫んだストレートな一言で、会場内がドッと爆笑につつまれた。

「そう、そのオマ……い、いえっ、美貴の……アソコを、今度は新曲を聴きながら、いっぱい見てください。恥ずかしいけど、頑張りますから、皆さん、応援してくださいねーっ!」

「ワアアアアアアアア!」

「それじゃー『ロマンティック 浮かれモード』ストリップバージョン、イキまーす!」

「イエエエエエエエエーッ!」

 客席の絶叫がおさまると、美貴ちゃんは、舞台の袖のスタッフに合図した。

 僕たちも、デジカメやビデオカメラを構え撮影の準備だ。

 クライマックスはいきなりやってきた!

「♪〜チャラリララ〜」

 ストリングス風の短いイントロが鳴った瞬間、美貴ちゃんは舞台中央から振り向きざま、舞台からせり出した「盆」にダッシュした!

 円形の床に素早く体育座りだ!

 そして!

「♪〜ロマンティック 恋の花咲く 浮かれモード……」

 スローテンポのサビを歌いながら、「恋の花咲く」という歌詞にあわせて、美貴ちゃんはいったん揃えた両脚をピン! と天井に向けて高々と上に上げてから、それをゆっくりと左右に開いていく!

 美貴ちゃんの股間の「恋の花」が咲いた!

「♪〜史上最大の 恋が始ま〜りそ〜う〜!」

 美貴ちゃんは、大きくV字型に大開脚!

 まさに史上最大の振り付けとポーズだ!

「ウワアアアアアア!」

 観客は発狂寸前だ!

 美貴ちゃんの、この日に備えて綺麗に刈り揃えられた三角形の薄目のヘア、そして全国のミキティファンが夢にまで見た、美しいオマンコが丸見えだ!

 僕はビデオで、美貴ちゃんの笑顔とオッパイ、そしてオマンコが同時に写る様にアングルを決め、しっかり撮影した。

 最初の間奏が始まった。すかさず美貴ちゃんは立ち上がり、アップテンポの曲に腰を振りながら『デベソ』から舞台中央に戻る。

「♪〜毎日見かけるあの人に 恋してた……」

 真っ正面を向いた体勢でオールヌードを僕たちに披露しながら、美貴ちゃんは本来の振り付けで、曲の一番のAパートを歌い、踊る。大きく腕を振る度にプルンプルン! と白いオッパイが弾み、クイクイっと、エッチに腰が動く。同じダンスでも服を着ていないというだけで、美貴ちゃんはすごく淫らに見えた。

さらに美貴ちゃんはBパートを歌いながら舞台の向かって右側に歩き、そこに備え付けてあった鉄棒に掴まった。

 そして!

「♪〜ロマンティック 恋の花咲く 地元の駅 いつもと違う景色に変わった〜」

 美貴ちゃんは右手でバーに掴まりながら、また「恋の花咲く」という部分で左足を高々と頭の方まで掲げた!

 それだけでは終わらなかった!

「♪〜ロマンティック  恋の花咲く 浮かれモード 悟られないように メモを受け取った〜」

 さらに次の「花咲く」で、美貴ちゃんはなんと、開ききった股間の土手に左手の指をあてがい、花びらをフルオープン!

 運悪く正面に座りきれなかった右側の観客に、ミキティからのプレゼントだ。

「ワアアアアアアアアアア!」

 フラッシュが光り、ビデオカメラが美貴ちゃんの股間に集中する!

 二番のAバート、Bパートはまたオールヌードで通常バージョンの振り付けで歌い踊る。

 まだ美貴ちゃんのオマンコをしっかり見ていない、客席左側のファンがじれったそうに待っている。

 美貴ちゃんはオッパイを揺らしながら、「待っててね」と、左側のファンに得意のダブルウインク!

 そして待望の二番のサビだ!

「♪〜ロマンティック 恋の花咲く 夜の九時は 気になるドラマの始まる気配だわ〜」

 ミキティは、左側のバーに掴まり、今度は右足を上げて「ドラマティック」にオープン!

「♪〜ロマンティック 恋の花には 勇気がいる 部屋に鍵かけて 時計とにらめっこ〜」

 ミキティ、さらに「勇気」をだして今度は右手でフルオープン! ニッコリとお客さんに歩微笑みながら、一人一人と「にらめっこ」だ!

 「ワアアアアア……!」

 さらに間奏の間に素早く舞台の中央に戻り、フェイクの部分。ミキティはまた体育座りの体勢になった。そしてそこから、

「♪〜ウオッオオ〜!」

「♪〜イエッイエイ〜!」

「♪〜ウオウォオ〜オオッオ〜!」

 と、間奏に合わせて歌いながら、オッパイを揉みながら、徐々に脚を広げていく!

 そこからラストまではサビのリフレイン三連発だ!

「エ〜イ!♪〜ロマンティック  恋の花咲く 夜の九時は 史上最大ね 心のBig Parade〜!」

「♪〜ロマンティック 恋の花咲く 私の部屋 いつもと違う景色に変わった〜!」

 もう完全にお約束だ。「恋の花咲く」のフレーズに合わせ、目一杯開かれた股間の土手に左右の太股の手前に回した両手の指をあてがい、僕たち観客に向けてクイックイッ! とオマンコのフルオープンだ!

 「いつもと違う景色」が僕たちの視界いっぱいに広がっている。

 目にも鮮やかな肌色の美貴ちゃんの花びら、そしてその奥のピンク色をした美貴ちゃんの蜜壺が丸見えになった。美貴ちゃんの美マンコが満開だ。

 エンディング=最後のサビは、美貴ちゃんがガニ股に開いた両脚をふんばり、後ろに回した左手で身体を支え、さらに右手の指でアソコを目いっぱい広げっぱなしのエグいポ−ズだ!

 曲のリズムに合わせ、ズンズンと腰を突き上げながら、美貴ちゃんは最後のフレーズを歌う。

「♪〜ロマンティック 恋の花咲く 浮かれモード 悟られないように 恋が始まりそう〜!」

 人気アイドル藤本美貴ちゃんは、指でグイッと股間の「恋の花」を咲かせたままのポーズでニッコリと微笑みながら、新曲を最後まで明るく歌い、踊りきった。

「ウオオオオオオオ!」

「ミキティ〜!」

「美貴ちゃーん!」

「アンコール! アンコール!……」

 美貴ちゃんは、早くも観客からあがるアンコールの声を手で制しながら立ち上がった。

「皆さーん、本当にどうもありがとうございましたぁ! でも、まだこれでおしまいじゃありません。まだ、第一部が終わっただけです。もっといっぱい、美貴のコトを見てもらえるように、頑張りますからっ。休憩のあと、第二部でお会いしましょうねー!」

「ワアアアアアアアアア!」

 僕たちの歓声と拍手に、手を振って応えながら美貴ちゃんは舞台の袖に下がっていった。

 これで美貴ちゃんのシークレットライブの第一部が終了したのだ。

 しかしこの時僕は、いや、僕たち観客全員は、第二部がさらに美貴ちゃんにとって過激なものであることを、まだ誰も知らなかった……。

(つづく)


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