サラダ記念日

俵 万智 短歌集

河出書房新社 すっかりおなじみの俵 万智さんの短歌集「サラダ記念日」の中から
私の特にお気に入りの短歌を皆さんと分かち合いたいと思います
「5-7-5-7-7 」という本当にわずかな言葉の組み合わせが、
こんなにも心を熱くできるなんて日本語って素敵だなぁ、って思います。
恋の表現手段の一つとして、また家族や友人への思いを
俳句や短歌を通して伝えてみるのも、たまにはいいですよね。
...ちょっと試してみませんか? ***********************************************

泣き顔を鏡に映し確かめる
いつもきれいでいろと言われて

潮風に君のにおいがふいに舞う
抱き寄せられて貝殻になる

また電話しろよと言って受話器置く
君に今すぐ電話をしたい

君を待つ朝なり四時と五時半と
六時に目覚まし時計確かむ

今日風呂が休みだったというような
ことを話していたい毎日

「今日で君と出会ってちょうど500日」
男囁くわっと飛びのく

上り下りのエスカレーター
すれ違う一瞬君に会えてよかった

やさしさをうまく表現できぬこと
許されており父の世代は

「人生はドラマチックなほうがいい」
ドラマチックな脇役となる

陽のにおいくるんでタオルたたみおり
母となる日が我にもあらん

「この味がいいね」と君が言ったから
七月六日はサラダ記念日

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