ぐうたら みーた
いちばんすきなことはおひるね
とくにぽかぽかはれた きもちのいいひの
おそとでのおひるねは
かくべつに いいきもち
そのひも、さいこうのおひるねびよりだった
みーたはおおきなくちをあけて
ぐーぐーといびきをかきながら
ねむっていた
ぐーすか ぐーすか
ほんとうにきもちよさそう
ところが
あまりにもおおきく いきをすいこむので
とうとうみーたのおおきなくちのなかに
まわりのいろんなものが すいこまれだした
ぐーすか みーたがいきをすいこむたびに
まずはなたちがすいこまれた
つぎにすいまれたのは にわのき
そのつぎはそばでねていた おかあさんのみけ
どんどんどんどんすいこんでいく
とうとうみーたはちきゅうぜんぶをすいこんでしまった
しばらくしてみーたはめがさめた
ところが
さっきまであった きもちのいいけしきはどこにもない
あれれ?おまけにまっくらだぞ!
みーたにはさっぱりわからない
しばらくして なんだか おなかがおおきくふくらんでいるのにきがついた
そして なにやらこえがきこえてくる
みみをすましてみると、
なんと ひとのこえだった
おーい おーい ここからだしてくれ
いきなりすいこむなんて ひどいじゃないか
まったく ぐうたらなおまえのなかにいるなんて
とんでもなく しょうもない
さあ さっさとここからだしとくれ
そのこえはみーたをいつもしかってばかりいる
いやなおじさんだった
みーたのだいきらいなおじさんだった
おじさんはみーたのことをぐーたらだというけれど
そのくせおじさんは
ひとのいやがることばかりをやっていた
またべつのこえがきこえてきた
おーい おーい ここからだしとくれ
あたしゃ しなきゃならないことがたくさんあるんだよ
おまえさんとちがってね
さあ さっさとここからだしとくれ
そのこえはみーたをいつもいじめている
うそつきのおばさんだった
ひとにうそばかりついて
かねもうけのことばかりかんがえている
ずるがしこいおばさんだった
するとこんどはちいさくなつかしいこえがきこえてきた
おーい おーい ここからだしてくれないか
このままだと もうみーたとあそぶことができないよ
それに なかまのみんなもたすけておくれよ
ぼくをわすれないでおくれ
そのこえはみーたのいちばんのなかよしさんだった
みーたはすっかりおどろいて
あわててみんなをはきだそうとして
ふとかんがえた
おなかのなかのみんなをだしてしまったら
またあのいやなおじさんや
うそつきのおばさんに いじめられる
ぼくのなかよしさんや そらさんや はなさんや
たくさんのともだちはたいせつだけど
あのひとたちは もうたくさんだ
そして みーたは
わるいひとだけをおなかにのこして
あとはぜんぶ はきだした
あっというまに
いつもの うつくしいけしきと ともだちが
またみーたのまえにあらわれた
みーたは もういじめるひとたちがいないので
もっと もっと おひるねするのがたのしみになったとさ
おわり