この頃は、ゲーム改造ツール、あるいは PAR(ProActionReplay)という
名前を聞く機会も多くなってきました。所有率も上がってきているように
思えます。
ですが、もしも、ゲーム改造ツールというものに対する知識のない方は
こちら、や、こちらからのリンクなどで仕入れるか、ゲームラボなどの
市販雑誌を読んでから戻ってきて下さい。:)
さて、PAR あるいは、その他のゲーム改造機の使用目的というのはもち
ろんゲームの改造なわけですが、ゲームの改造のためには「改造コード」が
必要で、これは「人が見つけたコード」を使うか「自分で見つける」か
しないと手に入りませんね。
ま、最近は、WWWなどにも改造コードを掲載したページが多く存在する
ので、必ずしも「自分でコードをみつける」必要性は無いと言えますが、
マイナーなゲームや、あまり他人が見つける気にならないコード(例えば
FF7 の好意度パラメータなど)は、やはり自分で見つけるしかありませんね。
とはいえ、昔の SFCやGBその他などの16bitゲーム機対応のPARや
X-TERMINATERには本体にコードサーチ機能が付いていたものですが現在の
32bit以上のゲーム機、PS,SS,N64(*1)などの PAR本体にはサーチ機能が付
いていません。
これは、サーチ対象となるゲーム機本体のメインメモリが大きくなった
ため、それを展開するだけのメモリをPAR本体に搭載することができな
かった(サイズ的、価格的に)ためだと思われます。
このような PARでコードサーチを行うためには、PCが必要になります。
PAR本体とPCをケーブルで接続し、PCの資源を利用してコードサーチを
行うわけです。このためにはPC本体と、それを接続するインターフェイス
ボードが必要になります。(ケーブルはインターフェイスボードに添付
されてきます)(*2)
インターフェイスボードには、一般に市販されているものとして
DATEL社純正の ProCommsLinkと、日本のメーカーがそのコピーとして
発売している GAMELINKがあります。
なお、インターフェイスボードは、PS用PARおよびSS用PARに共用
できるものであり、また純正のProCommsLinkに関しては、N64用PAR
でも使用できるとなっています。
さて、PCとPARを接続するのは、このように、元々コードサーチを
行うためでした。
ですが、どんな形にしろ、PCとPARが接続されるということで、
別のメリットが発生してきました。
やってみるとわかりますが、この「接続された状態」というのは
まさに、「PCがゲーム機の周辺機器となった状態」でありそこには
様々な可能性を秘めているというのが容易に想像できると思います。
具体的には、純正 ProCommsLinkの添付SOFTには、PS用およびSS用の
インターフェイスソフトが添付されてきており、その中の機能として
1. コードサーチ
2. サーチ結果テスト
3. メモリダンプ&エディト
4. セーブ用メモリのアップロード&ダウンロード
5. PAR本体のプログラムのアップデート
ざっとこのようなものがあります。
1.は、ほぼSFCなどのPARにあったサーチ機能と同じような物です。
2.は、1機能でサーチしたコードを試してみる機能です。
具体的にいえば、1機能でサーチした結果は RESULTS.TXTというテキスト
ファイルに格納されます。これは次に1機能を起動するまで保持されます。
2機能では、このファイルの内容を読み込んで、一覧を表示し、それを
コード単位で自由にON OFFする事ができるという物です。
これは PAR未経験な人には、何が便利なのかわかりにくいでしょうが
PAR本体のみでの改造では、どの改造コードを利用するかということは
ゲーム機起動時に選択できるだけであり、その後は、選択したコード
全てが全部ONになったままでゲームを進める必要があります。
PS版PARなどにはスイッチがあるため、一時的に全てのコードを
OFFにしたりすることもできますが SS用PARにはそのような機能はあり
ませんし、「ある場面で特定のコードだけをONしたい(OFFしたい)」
「ゲームを始めた後で、あのコードも入れておけば良かったと気付いた」
などという場合には、いずれにせよなす術がありません。
しかし2機能を使用すれば、ゲームの最中のいかなる状態の時で
あろうとも自由に任意のコードをON OFFする事ができるわけです。
3.の機能はそのものズバリ、ゲーム機の現在のメインメモリの
状態をダンプすることができる機能です。エディットもできると
いう必要上、この機能を使用している間はゲーム機の方は停止状態に
なります。
4. これが、この場でもっとも強調したい点です。
つまり、PSの場合「メモリカード」、SSの場合「本体内バックアップ
メモリ」の内容を、PCにダウンロードし、ファイルとして保存しておき
後にアップロードする事ができる機能ですね。
これができるということは、もはやメモリカードを買い足す必要も
バギーなゲームソフトによるメモリ破壊を恐れる必要も無くなるという
ことを意味しますね。加えて言えば、同じ環境を有している友人に
メモリカードの中身を電子メールで送るなどと言うこともできるように
なるわけですね。
ただし、PSに関して言えばこの機能が使える組合わせは限られてきます。
一応、市販なレベルとしては、英語版PARと純正ProCommsLinkの組み
合わせでのみ、この機能が動作します。
例えば、日本語版PS-PARでは、この機能はバグっており利用できません。
この場合、PARのプログラムを英語版にアップデートすることで利用できる
ようになります。
また、GAMELINKインターフェイスボードでは、PS用のプログラムには
この機能がありません。問い合わせましたところ(現在)開発の予定は
無いとのことです。
GAMELINKインターフェイスボードはPC用以外に NECの98シリーズ用にも
製品を発売していますが、このことにより NECの98では PSのメモリカード
のアップロード、ダウンロードは出来ないという事になります。
(但し、可能性はゼロではありません。→ (*3))
もしも、CPU386以上、メモリ4M以上で、DOSもしくはWindowsが動作し
ISAバスに空きのあるPCをお使いの方ならば、あとは PAR本体とProComms
Linkを購入するだけで、"おそらく"一生、メモリカードやメモリカセットを
買い足す必要は無くなるでしょう。
それどころか、今後は湯水のようにセーブできることになります。:)
5.の機能は、Internetなどが使えることが前提になりますが、DATEL社の
HomePageには、常に最新のPAR用プログラムがアップロードされていますので
それをダウンロードしてきて、PAR本体をアップデートできるということです。
ですから、古いバージョンのPARを買ったとしても特に心配は要りません。
「ゲーム改造」ということ自体には、その必要性を感じない方もいらっ
しゃるでしょうし、「邪道」だと眉をひそめる方もいらっしゃるでしょう。
(ま、個人的には、使い方次第だと思いますが)
しかし、セーブメモリの問題に関しては、よほどお金に余裕のある方以外は
興味がお有りになるのではないでしょうか?
実際、個人的にもSSのバックアップメモリやPSのメモリカードはかなり
「高価」だと思いますし、モノによっては複数セーブするためには複数枚の
カードを必要とするゲームや、バグを棚に上げて「メモリカードを一枚この
ゲーム専用にして下さい」などと戯けたことをマニュアルに書くゲームすら
ある状態で、とても心安らかにゲームが出来ない場合が多いと思います。(^^;
NIFTYなどを見ていると、かなり早期から、X68でPSのメモリカードを吸い
出すツールの制作方法などが上がっていましたから、やっぱり需要はあるの
だと思います。(まあ、私もハード系に弱い人間なので、自作はちょっと
ためらってしまいます。X68持ってないし)
(*1) N64用は現実にはまだ未出荷の様子。
(*2) 現在では SS用ならば サーチユニットを添付した X-TERMINATERが
発売されています。
(*3) 原理的には可能だと思いますので、98側のソフトを書けば、実現は
可能なはずです。ただし、仕様が公開されてないのがネックになります。
解析系の同人誌などには、独自に解析したこの手のデータが掲載され
ることがあります。
もしも、貴方が、ハード工作の自信はないけれど、ソフト制作には
自信があるぞ、と言われる場合にはK-Comm氏のページやOh!MAGICONの
ページを見るとヒントがあるかも知れません。
また、ハード工作に自信がある場合はFreeWing氏のページに突破口が
見えるかも知れません。
どちらにしても、それなりの努力は必要だと思います。