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東急グループの厳しい経営

東急グループ会社の経営は厳しい。東急建設の株価の長期低迷が東急の抱える課題の重さを象徴している。いつまでも高度成長の時代観念から抜けきれず、時代の変化に対応できない東急関係者が多いため、いずれ恐竜の様に滅びゆく様が目に浮かぶ。

五島昇代表の死去で求心力が弱まった90年代、グループ各社毎に事業拡大・肥大化し、グループ各社で事業部門が重複し、ケイレツの非効率が目立つようになった。99年3月末のグループ有利子負債は3兆円と、10年間で2倍に膨らむ。上場子会社が相次ぎ赤字に転落し、企業格付けの悪化で信用力が低下した。株価も2000年1月には246円と、バブル期ピークの89年につけた最高値(3069円)の10分の1以下にまで落ち込んだ。

経営の足を引っ張っているのがグループ各社間の株の持ち合い。結束力を高めるはずの株の持ち合いが業績を圧迫するという皮肉な結果になっている。五島昇代表死後、統制を取れる人材の欠如もグループ瓦解説の信憑性を高める(「東急グループ「瓦解」へのカウントダウン」財界展望1998年11月号)。

東京急行電鉄(東証一部:9005)はリストラを推進したが、その影響で、財務基盤は他の私鉄大手に比べて見劣りする。05年3月期の連結株主資本比率は8.8%とその前の期に比べ0.8ポイント向上したが、同じ首都圏を基盤とする京王電鉄(35.0%)と比べ圧倒的に劣る(「東急、「攻め」へ財務が課題・越村社長を発表」日経新聞2005年5月17日)。

度重なる損失処理で財務基盤は弱く、課題の小売事業てこ入れや巨額を投じる渋谷などの拠点再開発が計画通り進むのか、課題は山積みである。「前期の評点を考慮して二年間は要警戒」「営業用資産過大」「立替期間を加味すると、実質借入金規模きわめて過大」と評価される(日本証券新聞社、格付速報東証・大証編(2005〜2006年秋冬号)、角川SSCムック、1055頁)。

渋谷再開発

渋谷再開発は借入金を一層増加させている。金利が上がれば、利払いが増え収益に直接悪影響を及すことになる。アナリストからは「渋谷再開発はまだ先の長い話で収支計画も不透明だ」と評されている(「東急電鉄、成長戦略路線に影…ハンズ株売却」ZAKZAK 2004年9月28日)。

平成18年3月期第1四半期の経常利益が大幅減少

東急電鉄の平成18年3月期第1四半期の経常利益は139億円と前年同期比で28.9%減少した(2005年8月22日発表)。不動産事業の利益減少が影響した(「東急、1Q経常29%減」ラジオNIKKEI 2005年8月22日)。連結売上高は32.1%増加したが、これは東急百貨店と東急エージェンシーの連結化が理由で業績好調を意味しない。

「沿線の資産を食いつぶす 東急グループ最悪の事態」週刊ダイヤモンド1999年1月16日号
「主要企業軒並み赤字の東急グループ再建計画に欠けている競争力の強化」週刊ダイヤモンド2000年5月13日号
欠田富太郎、崩壊する東急王国-五島昇の虚像を暴く 元東急グループ旭海運再建社長、グローバル書房、1988年
藤井剛彦、どうしても西武に勝てない東急の研究、エール出版社、1989年
「電鉄15社、巨額損失処理の実態−総額1兆2000億円!電鉄バブル清算」週刊ダイヤモンド2002年5月25日号

東急不動産、東急建設、東急百貨店が危ない会社リストに掲載

あくどい取引をする業者は経営状態が思わしくない場合が多い。東急不動産、東急建設、東急百貨店は「危ない企業51社リスト」に掲載されている(「51社リスト」週刊新潮2002年10月17日号、「みずほグループ「破綻懸念・要注意」」週刊文春2001年5月24日号、「大手銀行による経営不振企業の内部査定一覧」週刊ダイヤモンド2001年5月12日号、「日本債権信用銀行の大口融資先」週刊文春2000年8月17-24日号)。

これは破綻が懸念される危ない会社のリストである。竹中平蔵・経済財政担当相の金融担当相兼任とともに、大手銀行の審査担当者間を中心に出回った。「悪い企業に退出してもらうことは、市場経済では当たり前」「不良企業を倒産させて不良債権処理を進め、その結果、銀行の体力が落ちれば公的資金を注入する」との持論の竹中大臣が金融担当相を兼任することで、倒産ラッシュが起こることを見越して作成されたものである。

問題企業30社リスト

日銀OBの木村剛・KPMGフィナンシャル社長が小泉首相に提出して物議をかもしたとされる「問題企業30社リスト」にもT不動産、T建設が含まれる。これらが東急不動産、東急建設を指すことは明白である。

東急グループ会社、次々上場廃止

東急電鉄は東急グループ企業(東急観光、東急車輛製造、東急百貨店、東急ホテルチェーン)を次々と上場廃止にしている。いくら不景気でお先真っ暗の事情があろうと資本金377億円の会社が、親会社(東急電鉄)の都合で簡単に吸収合併されたら株主は堪らない。日本経済が右肩上がりの時はちゃっかりと子会社を上場させ、秋風が吹いてきたら人知れず静かに吸収合併、という「人間性と感性」に絶句させられる(宝田豊「上場廃止と寺子屋」新マネー砲談)。

東急グループの悪質さ

東急グループ不動産系企業の一連のトラブル及び不誠実な対応には共通するものがある。顧客や市民の権利を全く無視するという会社の体質は、グループ会社にも共通する。グループの中の一企業に何かあった場合、消費者がグループ全体への不信感を持つのは自然な流れである。雪印食品の牛肉偽装事件が雪印乳業への批判を強めたことは記憶に新しい。

「一事が万事」とみなされる可能性は否定できない。不正がグループ全体に根深くはびこっていると見なされても仕方がない。たとえ一個人が行った問題であったとしても、グループ全体がそのような企業倫理に基づいて動いているものと理解せざるを得ないケースもある。東急リバブルや東急不動産の存在は東急ブランドを汚し、東急グループ全体へ悪のイメージを広めている。悪の枢軸と呼ぶに相応しい企業である。

欺瞞的なイメージ広告

東急には強盗慶太の異名の通り、悪いイメージがある。近年の経営不振はブランド力の低下に拍車をかけた。それを意識してか、東急グループは中身の伴わない欺瞞的な宣伝広告を垂れ流している。

「東急の人」は誠実さをアピールするイメージCMであるが、東急不動産と東急リバブルの対応はその対極に位置する。逆に実態が不実だからこそ、イメージCMを流す必要があると考えることもできる。

「それが、東急クオリティ」という恐ろしくエセハイソ的なイメージ広告も流している。キャッチフレーズ「次の50年へ」「美しい時代へ」も東急の実態を知れば薄っぺらい空々しいものに見える気がする昨今である。

「ブランドイメージなどはマスメディアに金さえばら撒けば、どのようにでもなる」「広告料をちらつかせればジャーナリズムを口封じできる」「メディアと結託すれば消費者なんて簡単に騙せる」との浅ましい考えが透けて見える。広告やロゴ、求人活動を洗練させることには熱心だが、組織内部における従業員の意識改革は放置している。

ブランド

ブランド構築とは立派なロゴやキャッチ・コピーを、お金をかけて作ることを意味するわけではない。優れたブランドイメージは、消費者の信頼を得て初めて形成される。ブランドイメージはいわば「企業と顧客との約束」である。約束が叶えられなかった時の消費者の怒りはブランドイメージが高いほど大きくなる。消費者に与え続けた期待が裏切られた時、大きなしっぺ返しを受ける。

広告費の最終的負担者

宣伝広告費は価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担する。もし宣伝費用を建物に回すことができたならば、断熱性や防犯性、メンテナンス性の向上などに使うことができる。新聞折込チラシ、住宅情報掲載紙、新聞・雑誌・テレビ広告・販売会社の販売手数料・分譲会社の利益など全てを上乗せしたものがマンションの価格になる。

新築マンションでは高級感・信頼感を醸し出すためにパンフレットやチラシは、豪華なカラー印刷で仕上げ、中古マンション仲介の単色刷りチラシとは大違いである(成谷幸雄、これならできる管理費削減2版、管理費削減センター、2005年、4頁)。


東急の開発による環境破壊

東急大井町線・等々力駅地下化に反対運動(東京都世田谷区)

等々力駅を地下化して、急行の通過待ち駅にする計画に対し、地元住民から反対運動が起きている。工事により、「等々力渓谷」の湧水が枯渇する恐れがあるためである。等々力渓谷では岩肌から湧水が見えて、湿地が生まれ、複雑な生態系を作り出している。

等々力駅地下に大きなコンクリートの地下構造物が出来れば、地下水の流れが遮断されて、湧水が枯渇するのは目に見えている。地盤沈下や地滑りが起こりやすくなるといった防災上の問題点もある。地下水の流れは未知の部分も多く確実な答えがない以上、水の保全を最優先に考えるべきである。

反対運動

地元住民らは300人以上の署名を集め、「等々力駅地下化工事に反対する会」(成田康裕代表)を結成した(2003年8月24日)。設立総会では周辺住民約45人が出席、今後も反対運動を展開していくことで一致した(「東急の駅 地下化で今秋着工 住民反発『井戸水止まる』」2003年8月26日)。

成田代表は「これまでもお願いをしているが、(東急電鉄側には)住民と話し合う場をつくってほしい」と話す(「等々力渓谷守れ 駅地下化工事で枯渇懸念」産経新聞2004年11月2日)。「大井町線とその周辺環境を愛する住民グループ」も活動している。

反対運動参加者は交換性のない等々力渓谷の自然環境を、一企業の思惑で変えられてしまうことに大きな怒りを抱いている。住民へのアンケート調査では大井町線に急行が必要ないと答えた人87.3%と圧倒的多数を占める。一方、大井町線に急行が必要と答えた人は僅か3.6%である(「大井町線とその周辺環境を愛する住民グループ」実施、2004年)。

等々力駅地下化工事反対の署名は現在、莫大な数に膨れ上がっている。何故、それだけ多くの反対署名が集まるのか、多くの人々がその事業に疑問の声を上げているのか、東急電鉄は真剣に考える必要がある。

時代錯誤の急行化

東急大井町線急行化の真の狙いは、混雑の緩和などではなく、沿線の開発に他ならない。混雑率云々というものは人口が増加していた時代の発想である。バブル崩壊後の建設不況打開のために鉄道が利用され、新たな環境破壊を引き起すのは時代錯誤である。

大井町線急行運転開始予定は2007年度であるが、杜撰とも言える不十分な事前調査のため、ポイントとなる箇所において工事着工に至らず数年が経過している。「地下化だ!」「踏切解消だ!!」「地上の空きスペースの有効活用だ」と主張されているが、地上走行案が再燃している。どちらにしても、遅れを取り戻すための、無理な計画、度重なる変更、短縮される工事期間が沿線住民や利用者に利益をもたらすとは考えにくい。

検討委員会の不誠実

世田谷区は、この計画に対して住民から寄せられた周辺環境へ不安の声を受け、第三者 的な立場から指導・助言する機関の設置を東急電鉄に指導した。これを受け、「等々力駅地下化工事技術検討委員会」が設置された。

環境破壊に対する懸念、東急電鉄に対する不信感を抱いた住民・利用者の多くの声を受け設置された委員会であるが、公正中立な第三者による委員会は表向きのものでしかない。主催は東急電鉄で、委員らに報酬を払っているのも東急である。過去も現在もお金で結ばれた強い絆の元で果たして「公正中立」が存在しうるであろうか。東急電鉄や行政の責任逃れの場として都合よく利用されているに過ぎない。

反対運動側の住民がオブザーバーとしてメンバーに名を連ねているため、形式的には公平そうな雰囲気を醸し出しているが、オブザーバーには一切権限は与えられていない。実際の運営はオブザーバーの目の届かないところでなされている。

委員会の運営に対しては複数件の意見書が提出されており、不満があることがうかがえる(水みち研究グループ「技術検討委員会進行方法に関する提言について」、等々力駅地下化工事に反対する会「技術検討委員会における規約及び運営方法に関する申入書および追加申入書」)。

検討委員会に疑惑企業が参画

等々力駅地下化工事技術検討委員会の作業機関は、パシフィックコンサルタンツ株式会社環境事業本部地盤技術部である。パシフィックコンサルタンツ(PCKK、東京都多摩市、荒木民生社長)は以下の問題を抱えた建設コンサルタント会社である。

「パシコンの顧客は政府や政府開発援助(ODA)に絡むような大企業で、環境調査の目的はそもそも「保護」ではなく、「開発」を前提にしている」(山岡俊介「トップの特別背任疑惑で揺れるパシコン、茅ヶ崎市の「環境調査」でも疑惑」ストレイ・ドッグ2005年11月6日)。

パシフィックコンサルタンツの疑惑

グループ会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(多摩市)が、中米コスタリカに対する日本政府のODA事業について、国際協力機構(JICA)から受け取った委託料約23万ドルのうち約17万ドル(約1800万円)が使途不明になっていることなどが発覚、JICAから指名停止処分(2006年3月まで)を受けた。

グループ会社による特別背任疑惑では、PCKK元従業員らが荒木社長と長男(荒木謙)について特別背任容疑で警視庁に告発状を提出し、荒木社長は辞任した(2005年8月15日)。「告発内容は事実でないが、会社の信頼回復のため辞任した」と説明する。「総選挙を控え、批判的な政治家もいるのは確かなので辞めざるをえなかったといえそうだ」(「【お家騒動】パシフィックコンサルタンツの荒木民生社長辞任、後任に高橋副社長」司法ジャーナル2005年08月22日号)。

告発状などによると、グループ会社「パシフィックプログラムマネージメント」(港区、PPM)は2003年5月、大手不動産会社から原野の開発業務を12億5000万円で委託されたが、その業務の一部を立川市内の別の不動産会社(1998年3月に2回目の不渡りを出し事実上倒産)に2億9000万円で下請け委託した。この不動産会社は、長男がかつて社長だった情報提供サービス会社「パシフィック・ジャパン・ネットワーク」(世田谷区、PJN)に対し2003-04年に計約2億円を送金しており、事実上グループ内で還流した形になっていた。

荒木前社長と長男は、立川市のこの不動産会社に委託料を支払うことで、PPMに損害を与えた疑いが持たれている(「東京のコンサルタント会社 倒産会社に2億9000万円 グループ内2億円還流 社長らを告発へ」毎日新聞2005年8月3日、「<特別背任疑惑>パシフィック社元社員らが社長と長男を告発」毎日新聞2005年8月17日、「「パシフィックコンサルタンツ」社長 特別背任で告発状」産経新聞2005年8月17日)。

とどろきシンポジウム

税金無駄遣いの二子玉川東再開発(東京都世田谷区)

東急電鉄と世田谷区が主体の二子玉川東地区第一種市街地再開発事業に対して強い批判が出されている。地元住民らは再開発事業の差止を求めて東京地方裁判所に提訴した(2005年10月17日)。

本事業は2000年に都市計画決定され、同区玉川1、2、3丁目の12.1ヘクタールに東急グループが超高層ビル・ホテルの建設を計画し、都道の拡幅による大型幹線道路の拡幅も予定され、環境や住民生活に与える影響が心配されている(「世田谷 住民団体が交流会」しんぶん赤旗2005年2月1日)。

準備組合が立ち上がってから18年経っても、地権者や地元住民の反対で、事業化は遅れていた。事業認可申請にあたっても地権者同意率は2/3ぎりぎりで、多くの地権者が反対する中で強行された(2005年3月4日、再開発事業組合設立認可)。世田谷区や再開発組合は十分な情報公開をしておらず、不安を抱く権利者も多い。

一見「民主的」な体裁のような再開発事業も、実態は行政幹部や一部業者、有力者の談合と利益誘導を弱者の犠牲で進めるものである。このような実態を許さず内容を「ガラス張り」にするには、有為の市民や地方議員による徹底した監視と批判、提言が欠かせない。

東急本位の計画

再開発事業は東急中心・住民不在である。計画は1988年に大場啓二・世田谷区長と横田二郎・東急電鉄株式会社社長、安藤哲郎・東急不動産株式会社社長(肩書きは全て当時のもの)との協定によっては始まったものである。区民が望んだものではなく、住民の意思は反映されていない。地権者や住民に十分な説明もなく世田谷区と東急中心に進められてきた。

再開発事業は東京急行電鉄株式会社及び東急不動産株式会社という民間私企業の私的な経営戦略実現を主たる目的とするものである。これは土地所有者に広い自社有地(再開発区域の85%超)を持つ東急電鉄や東急不動産が含まれていることからも理解できる。再開発事業には目的に何らの公益性はない。

都市再開発法第1条が定める目的「この法律は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、 都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。」に反する。

もっぱら一私企業の営利目的のみのために、周辺住民の権利を著しく侵害することについて認識しながら、意図的に都市再開発法の種々の点に違反する手続を強行し、違法な都市計画決定、事業組合設立認可を得て事業の施行に着手しようとしている。見かけ上の繁栄の裏に利権に群がる者たちの陰謀や様々な不正行為が存在するのは、全国至る所と同様である。

「被告再開発事業組合は組合という形は取っていますが、事業予定地の85%以上を東急電鉄、東急不動産らの東急グループが所有しており、その主導の下、一私企業の利益遂行目的で遂行されてきているため、組合員の中には、設立認可申請にも同意しなかった明確な反対地権者、及び、具体的な権利変換に応じない実質的反対者をふくめると、相当数の反対者がおり、そもそも地権者の真の総意に基づく再開発とはいえない」(渕脇みどり弁護士「意見陳述書」2005年11月21日)。

「再開発事業組合の85%を占める盟主たる東急は、本質的に自社存立の基盤たる永年の顧客である我々沿線住民との対話を怠り、元風致地区で「国分寺崖線から多摩川までの地域は優良な住宅地」と区が他では認めている地域と同等以上の優良地域で、自らが、地域住民と共に培ってきた環境そのものを破壊する行為をいとわず、画策した超高層ビルの保留床の売り上げのみに専念するのみです」(原告野崎宏「意見陳述書」2005年11月21日)。

東急電鉄従業員の暴言

訴状によると、東急電鉄従業員・小池大輔は原告らに対し、以下の発言をしたという(1998年6月10日)。東急電鉄の体質が良く分かるものである。
「開発計画の建物のパンフレットは「見せ絵」でしかなく、準備組合に参加している人達の合意を得たものではない」
「補助金あってのこの事業、補助金がなければ、この計画は成り立たない。道路の拡幅は世田谷区が責任を持ってもらうことになっている。いくらかかるか私たちには関係のないことだ」
「地域住民や区民から仮に疑問や反対の声があがっても、それはどこにでもあることで、全く意に介さない。基本的なことは自分達の土地をどう活用するかは全く自由、他人からとやかく言われる筋合いではない、と思っている」
「これまで我々は、補助金を受けるという恩恵にあずかったことがない。そのようやく巡りきたこのチャンスを逃がす訳にはいかない。それがたとえ、税金であっても、自治体が金を出すというのだからありがたく受け取る。そのことが区の財政を圧迫することになったとしても自分達の責任ではない」

「人間の生活を犠牲にし、どこにでもあるような高層を含むコンクリートの街を作ることは見直して欲しいと、これまで東京都、世田谷区、東急に申し入れてきましたが、もう、決まっていることだから、折角ここまできたのだから、と理由にもならない説明でした」(原告飯岡美和子「意見陳述書」2005年11月21日)。

環境破壊

二子玉川東再開発は国分寺崖線のかけがえのない自然や環境を破壊する。再開発地周辺は国分寺崖線と多摩川の豊かな自然が残されている。絶滅の危機にある鳥類(キジ、ウグイス、ホオジロガモ、カワセミ、コウノトリ類のライサギ)が計画地周辺で40種生息が確認された。加えて絶滅の危機にさらされている国の保護種オオタカ(体長150cm位)が、1997年1月、多摩川の中州の木に止まって生息していることが確認された。

しかし開発を推進する準備組合と世田谷区はこの事実を公表せず、「植物・動物」を環境アセスメントの予測評価項目から除外した(第144回東京都都市計画審議会議事録、2000年7月25日、たぞえ委員発言)。東京都は環境アセスメント後、識者から指摘された多くの問題点を放置したまま、事業認可を与えた。

住民の不利益

二子玉川東再開発は住民に多大な不利益をもたらす。特定企業(東急)グループに依存する再開発は住民の利益にならない。二子玉川東地区市街地再開発組合の設立に同意できない地権者や周辺道路の地権者は、再開発により住み慣れた土地を追い出される。

大気汚染や騒音、周辺住宅街への車の流入など住民生活への影響は甚大である。超高層ビル群により景観破壊、日照、電波障害、ビル風、地下水脈の分断などの様々な影響が予想される。不安定な地質層に存する地下水脈が涸渇した場合、それによって地盤沈下を生じる虞がある。

道路建設は誘発交通を生み出し、自動車交通量を増加させる。大量の自動車が流れ込み、混雑が悪化し、さらには交通の安全が脅かされる。周辺住民に大きな被害を与える自動車交通量の増加は、周辺住民によって発生するものではない。買い物客など再開発地域に建設される施設を利用する者や本件再開発地域に商品等を搬入する物流によって発生する。周辺住民は本件再開発によって何ら利益を受けないにもかかわらず、そこから生じる負担のみを被ることになる。

再開発事業は自然豊かな低層建築の連なる風致地区に、都心の繁華街や商業地域並の高層建築物を乱立させ、美しい景観や眺望を破壊する。これまでは低層の建物を中心とした住宅地で広く空が望めた。しかし再開発が行われれば、高層ビル群が周辺住民の空を塞ぐ。高層建築物が建設されてしまうと、人の記憶にある原風景が消えてしまう。取り返しがつかないことになる。周辺住民は視界のなかに常に高層ビル群を見て生活することを強いられてしまう。

二子玉川の本当の価値は玉川高島屋でもなく、開発でもない。豊かな自然と一歩住宅街に入れば閑静な町並みになるところにある。だからこそ住民はこの地を離れないのである。これらかけがえのない財産を手放してしまったら、二子玉川の魅力は失われてしまう。

「本来、街の風景を形づくるのは、オフィスビルでも商業ビルでも、道路や街路樹、電信柱でもない。人々の生活を表出する住宅である」(小菊豊久、マンションは大丈夫か、文藝春秋、2000年、229頁)。人口減少時代に都会的な高層ビルをところ構わず造り続けることが正しいことなのか。もっと大切なことがあるのではないか。

「東京都区部を中心に繰り広げられている再開発やビル建て替え事業。地域発展に役立ち地域に歓迎されるかが、成功のポイントとなりそうだ」(「再開発ビルに町工場「入居」」産経新聞2005年11月26日)。

税金の無駄遣い

二子玉川東再開発事業のために莫大な税金(補助金)が投入される。計画全体では、再開発事業と周辺道路、都市計画公園あわせて10年間で700億円もの税金が投入される計画である。世田谷区は再開発とは名ばかりの公共的要素の少ない一企業の利益実現のための事業に莫大な公金を投入しようとする。

違法な私的利潤行為のために多額の税金からの補助金支払いは、世田谷区民としての納税者の権利を侵害する。大型百貨店を核とした再開発は軒並み行き詰まっている。事業そのものが立ち行かなくなれば尻ぬぐいは自治体が行うことになりかねない。

口頭弁論

第一回口頭弁論が2005年11月21日に東京地裁で行われ、原告二名と弁護士が意見陳述を行った。第二回口頭弁論は2006年1月16日午前11時から東京地裁611号法廷にて行われる。

二子玉川 東地区 再開発を考える会
東急電鉄と世田谷区が主体の二子玉川東再開発地周辺で,絶滅の危機にさらされている国の保護種オオタカが確認された
論戦集:二子玉川再開発問題

東急電鉄、駅前鉄道用地を転売(東京都品川区)

東急大井町線中延駅前の葬祭場建設に対し、地元住民から反対運動が生じている。この問題は2004年3月に東急電鉄が大井町線中延駅鉄道用地の一部を転売したことから始まった。この土地は地域住民が中延の発展を願って東急に格安で譲り渡したものである。この772.83平方メートルの土地を入手した「株式会社さくら相互」と「株式会社セレマ」(京都市)が駅前葬斉場を計画した。

商店街に隣接した住宅地の中での葬斉場計画であるため、反対運動が起きた。中延駅前通り商店会・中延駅商店街振興組合・荏原町商店街振興組合・近隣町会・近隣住民は「中延の環境を考える会」を結成して活動している。セレマは各地で葬祭場建設紛争を抱えている企業である。そのような企業に土地を転売した東急電鉄の企業姿勢も問われるべきである。

建設予定地には元々、東急ホテルの女子寮及び製パン工場が建てられていた。「中延の環境を考える会」では、これらの建物のアスベスト問題を調査中である。含有されている場合、解体時に石綿が飛散する危険性が高い。非飛散性アスベストであったとしても解体工事によって、ひっかいたり傷つけることで飛散しうる。完全に防ぐことは困難なのが実状のようである。

品川区 東急電鉄中延駅隣 葬祭場建設反対
TBS噂の東京マガジン「噂の現場」(2005年8月28日放送)

東京急行電鉄

多くの首都圏私鉄は観光名所・行楽地への乗客輸送で発展した経緯がある(東武は日光、小田急は箱根、京王は高尾山、西武は長瀞)。また、京成は成田山新勝寺、京急は川崎大師への参詣鉄道として出発した。東急にはそのような要素がない。沿線開発・金儲け第一と言える。

人を物のように詰め込み、「効率的」に運ぶことが優先され、乗客に快適に過ごしてもらおうというサービス精神は乏しくなる。乗客は籠の中の鶏に過ぎない。掛け声だけはサービス向上と謳っているが、客を客とも思わない態度で、どこに目を向けているのか甚だ疑問である。公共性が強い鉄道という業種にも関わらず、己の私利私欲しか考えてない。これが宣伝までして訴える東急クオリティの現状である。

将来性なし

東急の将来を考えれば鉄道事業一つとっても多くの不安要因があることがわかる。団塊の世代が大量退職を迎える。都心(メトロ沿線)回帰傾向は東急電鉄の鉄道、バス便利用者の減少傾向に拍車をかけている。戦後始まって以来の大量退職後は、通勤で毎日の様に利用していた層が大きい時とは異なり、明らかに鉄道利用が減っていくことになる。

東急田園都市線の混雑、遅延

田園都市線の混雑、遅延ぶりは目に余る。田園都市線で人間の缶詰にされるよりは、アリやゴキブリの方がましな生活と思えてくる。憧れの東急田園都市線というのは大間違いである。東急沿線への居住を検討される方は物件購入前に一度、朝夕の通勤時間帯の電車に乗られることを推奨する。これから毎日自分や家族が乗車することを考えれば、東急田園都市線沿線のマンションは絶対に購入したくないと思うだろう。

日本民営鉄道協会(会長・吉田二郎南海電気鉄道会長)がまとめた2003年度のラッシュ時混雑率によると、東京急行電鉄の田園都市線が7年連続のワースト1位である(「ラッシュ時混雑率、ワースト1は東急田園都市線」日経新聞2004年7月28日)。主要区間の渋谷―池尻大橋の混雑率は195%で、同社は10月のダイヤ改正で輸送力を増強し、「今年度は189%まで改善させる」と説明している。しかし195%から189%では「焼け石に水」である。

ラッシュ時の田園都市線では、完全に身動きとれず、精神的にも肉体的にもボロボロになる。並のラッシュではない。帰宅ラッシュまでハンパではない。民鉄協は混雑率195%を「肩が触れ合い圧迫感があるが、週刊誌は何とか読める程度」と説明するが、実感としては骨が何とか折れない程度である。新聞や本を読むことはおろか、つり革につかまることすらできない。電子手帳をポケットに入れておくと、圧迫で液晶が壊れてしまう。混雑のあまり呼吸困難や貧血で倒れる人もいる。

車内でできることといえば、他の人にもたれられて眠るか、ぼんやりと考えごとをするぐらいである。「池尻大橋駅では、駅員達がホームにはみ出た乗客を懸命に社内へ押し込み、きしむ音をたてながらドアが閉まる。体を半回転もさせられないすし詰め状態」(「社会学 通勤・通学上」読売新聞夕刊2005年3月22日)。

ダイヤも滅茶苦茶で最悪である。電車は時間通りに来ない。10分遅延なんてざらである。ダイヤなど存在しないがごとき惨状になる。電車が来ても「前の電車がつかえてる」との理由で 途中で止まってしまう。回送電車ばかり走っているが、客が少ない時間帯は電車を走らせない。そのため、ラッシュ時以外でも、いつでもどこでも、混んでおり、座れない。

東急線は運転が下手である。駅舎やカーブに近づいたわけでもないのに、減速したり加速したりする。乗客や地球のストレスになる運転をして恥を感じないのだろうか。この加減速での消費電力はもったいない。特に新人運転士が大量に投入される時期は酷く、急停車・急発車が頻発する。各駅停車は駅で止まる電車であるが、東急では急行とは駅と駅の間で止まる電車のことを指すようである。

東急線は非常にうるさい。「携帯電話は車内で使うな」「駆け込み乗車はやめてくれ」などとまるで乗客に説教するがごとき車内放送満開である。駅に着くと放送があってから、停止信号で数分以上も停止する。

冷房化の遅れ

夏の暑い日の電車は冷房が効いていてオアシスであるが、東急は車両の冷房化が遅かった。池上線は1984年まで冷房車がなかったし、主力路線の東横線の急行も83年頃までクーラーのない7000系ばかりであった。ドアが開き、乗り込んだ車内は扇風機が唸りを上げてまわるばかり、という状態で、利用者には「東急は冷房車が少ない」と悪評だった。

冷房準備車の話 「70-80年代にかけての冷房車増強時代、毎年5月くらいになると新聞に「関東大手私鉄7社の今夏の冷房化率」ってのが発表されるんですが、東急は万年ビリから2番目でした」。

東急電鉄、9割弱の駅や車両でアスベスト使用

東京急行電鉄は駅や車両でアスベスト(石綿)を使用していることが判明した(2005年8月12日)。多くの駅や車両で使用されていることが判明しており、乗客にとって脅威である。

全97駅(田園都市線渋谷駅は委託駅のため除く)中、86駅において、天井や外壁に石綿を含有するボードやスレートを使用している(約87%)。そのうち4駅では吹き付け石綿を使用している可能性がある。

車両も全1122両中、975両で石綿を含有する部品を使用する(約87%)。東急電鉄は「石綿が飛散する可能性はございません」とするが、振動の激しい車両という性格を考慮すると本当に飛散しないのか疑わざるを得ない。「飛散する可能性がない」と一方的に断定するが、空気中の濃度測定等を実施した上での判断であるか不明である。

他にも変電所等における電気設備の一部の部品において、石綿を含有する部品を使用する。また、高架区間などの防音壁にも石綿を含有した資材を使用する。

地下区間における通風口の一部の吸音材に石綿を含有している可能性があり、石綿の含有の有無について調査中である。調査の結果、石綿の含有が認められた場合は除去等の対策を行う予定である。巨額の除去費用が特別損失につながる可能性もある。

東急が運賃「取りすぎ」 乗り越し精算時にミス

東急電鉄は他社線との連絡定期券の利用者について、乗り越し精算で余分に運賃を受け取ったケースがあったと発表した(2005年6月21日)。定期券の区間外から乗車した客が、定期券の経路途中で改札を通らないまま別ルートを利用した場合、精算で1件あたり10円から600円余分に受け取っていた。精算機のプログラムミスが原因という。東急は8月20日まで各駅で返金に応じるという(「東急が運賃「取りすぎ」 乗り越し精算時にミス」朝日新聞2005年6月21日)。

東急電鉄は2005年8月26日にも乗り越し運賃を取り過ぎた可能性があると発表した。同社発行の東急、東京メトロ、東武三線連絡定期券を持つ客が24日又は25日に、他社線側の定期券区間外からパスネットで乗車し、中目黒経由で東急線の42駅で302台の自動改札機で乗り越し精算した場合、運賃を余分に取られていた可能性がある。

被害者は最大408人とみられ、過剰収受金額は一件あたり30-850円(「精算運賃取りすぎる」東京新聞2005年8月25日)。24日のつくばエクスプレスの開業に合わせて、改札機のプログラムを改修したさいにミスをしたという。24日の「つくばエクスプレス」開業に伴うプログラム改造でミスがあったとする(「小田急と東急、乗り越し運賃取り過ぎた」日刊スポーツ2005年8月26日)。

東急東横線で乗客離れ

東急東横線と湘南新宿ラインは渋谷横浜間で競合するが、湘南新宿ラインを支持する乗客が増えている。東急東横線の乗客離れは止みそうにない。

速度では東急東横線の完敗である。湘南新宿ラインは渋谷横浜間最速22分である(「湘南新宿ライン増発 渋谷〜横浜間は最速22分に」シブヤ経済新聞2004年10月8日)。一方、東急東横線は最短所要時間26分(特急、平日下り)、朝ラッシュ時は37分(通勤特急、平日上り)である(東京急行電鉄「みなとみらい線との相互直通運転開始に伴い2004年2月1日(日)、東横線のダイヤを改正します」2003年11月27日)。東急東横線は急行でやっとJR普通運転並である。

利便性の点でも東急東横線の評価は低い。「湘南新宿ラインは乗換の手間が省ける」「東急横浜駅は深すぎる場所にあって地上まで歩かされる」「東急東横線はガクガク運転で乗り心地が悪く、ストレスがたまる」。

湘南新宿ライン、乗客倍増

湘南新宿ラインは2004年10月のダイヤ改正による増発後、一日の利用者数は約12万人(大崎〜横浜間:上下計)となった。改正前(前年同期)の約6万人の2倍に増加した(JR東日本「2004年10月ダイヤ改正後のご利用状況について」2004年11月9日)。JR東日本の調査によると、3割は私鉄からの定期券買い替えによって移転した乗客で、「この傾向は今後も続く」とする。

東急電鉄の終日女性専用車両に批判集中

東急電鉄は終日女性専用車両を導入した(2005年7月25日)。これに対しては批判が集中している。痴漢抑止のための根本的な対策(混雑緩和、セキュリティ対策、車内巡回)は採らずに、特定の乗客に負担を強いるものだからである。

表面的なイメージ向上政策のために特定の乗客に負担を押し付ける。同一運賃を払っているのに男性が乗れない車両があるのはおかしい。東急グループの商品を購入しない東急不買運動や女性専用車両に乗り続ける「抗議乗車」にも発展している。

問題点

女性専用車両導入により、空いている車両と混雑している車両が発生し、乗り切れない場合や乗降時間が長くなる場合があり、列車遅延の原因にもなる。乗車率が偏ると事故にもつながりかねない。。男女グループで乗る場合、別れ別れになるか、普通車両に乗ることになる。父親と娘が乗る場合、子供を混雑した車両に乗せなくてはならない

女性専用車両導入により、男性が一両分使えなくなるが、それによって一般車両の混雑率がどの程度増加するかについてはニュースリリースでは一言も触れらていない。これでは女性専用車導入について都合の悪い情報を隠蔽していると言われても仕方ない。

しかも女性専用車両の痴漢抑止効果は疑問視されている。女性専用車両に乗らない女性は、痴漢の被害にあっても止むを得ないということになりかねない。実際、乗客の多くは乗車駅や下車駅の階段に近い車両を選ぶものである。

先頭車両を専用車両とすることにも批判がある。「先頭車は事故の時に怖い」「人身事故を見てしまう可能性がある」との懸念から、先頭車を避ける女性は多い。この点からも東急電鉄がイメージ先行で、女性心理を真摯に分析していないことがわかる。

もし男性専用と女性専用に完全に分離することができれば車内の痴漢を撲滅することができるだろう。しかし専用車両は一部にとどまり、混雑度の増した一般車両に乗車する女性には痴漢冤罪のリスクが上昇しているのが現実である。痴漢対策とは無関係な女性優遇サービスにすらなっていない。

人種差別

東急電鉄からはアパルトヘイト政策下の南アフリカでの白人専用車両を想起させる。米国では、黒人と白人の専用車両を設けることを合憲とした1896年の最高裁判決は20世紀の半ばまでに完全に覆された。東急電鉄はアメリカや南アフリカで白人専用車両が廃止された歴史を知らないのだろうか。

神奈川新聞アンケートで批判集中

神奈川新聞が東横線の女性専用車導入について、ネット上で実施したアンケートでは201件の回答があり、内訳は反対131、賛成27、その他43であった。実施期間は導入初日の7月25日より8月8日までである(「女性専用車両の終日導入に大きな反響/東横線・MM線」神奈川新聞2005年9月18日)。

東急電鉄、抗議により車内広告中止(1994年5月)

アルコール薬物問題全国市民協会(東京都中央区日本橋浜町)は、全車両貸切広告を実施したニッカウヰスキーと東急電鉄に抗議した。抗議を受け、以後は中止を余儀なくされた。

東急8000系批判

東京急行電鉄の8500系を含む8000系車両に対しては批判が強い。同車両が老朽化している上、地下鉄線内においてモーターの騒音が激しいことや冷房の効きが弱く扇風機を併用しているにも関わらず涼しくならないことが理由である。元々8000系列は評判が悪かったが、東横線の特急に充当されたことのより不満が高まった。

掲示板「2ちゃんねる」では「汚物」や「トイレ」といった蔑称までつけられるようになった。一部では新車の3000系・5000系グループまでも「座席が硬すぎる」という理由で汚物扱いするケースもあり、「東急所属車両はすべて汚物」と煽る粘着東急アンチまで登場している。

さらに東武沿線の住民が東急との相互乗り入れに伴い、田園都市線の8500系に乗らなければならなくなったことも大きい。東武沿線住民側からは「東武内に来るな、汚れる」とまで言われている。一方、洗脳されているのかとも思えるような東急擁護論もある。これは東急のイメージを余計に悪化させている。

東急電鉄事件、事故

東急電鉄暴力駅員、質問した乗客に重傷を負わせる

東急東横線・都立大学駅の駅員(35)が、券売機の使い方をたずねる乗客の会社社長(48)をバカヤロウ呼ばわりしたうえ、壮絶な暴力を加えて、大怪我を負わせた(2000年1月30日午前10時頃)。

都立大学駅から電車に乗ろうとしたところ、営団地下鉄との相互乗り入れなどのため券売機の料金表示がよくわからなかった。このため、改札近くの窓口で駅員に二度にわたり同じことを聞いた。それに対し、駅員は「このバカめ」と突然罵声を浴びせた。これには会社社長も憤慨。「バカとは何だ。○○○○という名前か」と胸のネームプレートを確認して言い返した。

駅員は呼び捨てにされたことに激高し、その場で会社社長の首を締め、顔を殴った。さらに、改札口近くの柱に頭や顔をぶつけた。駅員の暴行はそれだけでは収まらず、会社社長を駅の事務室に連れ込み、再び首を締め、顔を殴った。

「ワイシャツは一部が張り裂け、ボタンがはじき飛んだ。前歯の差し歯2本が根本から折れた。首のケガは治ったが、それでもノドの奥が切れている。今もおかゆしか食べられず、食事をするのがつらい」。会社社長は抜けた前歯から空気が抜けるような声で話す。病院の診断では、歯の修復なども含めて全治10カ月から1年という。

すぐに碑文谷署に被害届を出したが、東京急行電鉄本社の対応にはいまも腹を立てている。「本社の事業部長という人が一度謝りに来て、上司に稟議をとらなきゃならないので治療の計画書を出してくれといわれた。責任者に電話しても『出張だ、休みだ』といって対応してくれない。挙げ句の果てに弁護士が対応するから書類を出してくれという。そんなのあるか」と憤懣やるかたない様子だ。誠意の全くない対応である。

会社社長は「会社の倫理の問題だ」と配達証明も出した。2月25日になってようやく社長名で社員の暴挙を認める詫び状が届いた(「東急駅員逆ギレ、客をボコボコに」ZAKZAK 2000年3月23日)。今更の感があるものである。これが東急クオリティである。

暴力事件の背景として東急電鉄の体育会系社風をあげる見解がある。体育会系社風のため、従業員に変なストレスがたまっていく。教育や規則が厳し過ぎると従業員同士が変に刺々しくなるし、それが顧客に向けられてしまうこともある。そのことに幹部は全く気付いていない。

東急田園都市線で投石、窓ガラス割れて乗客1人けが

2005年9月30日午後11時35分頃、川崎市宮前区の東急田園都市線鷺沼駅に到着する直前の東武動物公園発中央林間行き急行電車に投石があり、窓ガラスが割れた。神奈川県警宮前署の調べによると、前から3両目の窓ガラス1枚が割れ、車内からコンクリート片1個(縦10センチ、横7センチ、厚さ2センチ)が見つかった。東急電鉄運転指令所によると、乗客の女性1人が額にけがをし、鷺沼駅の医務室で応急手当てを受けて帰宅した(「東急田園都市線で投石、窓ガラス割れて乗客1人けが」読売新聞2005年10月1日)。

東急田園都市線、停電で朝74本が運休

東急田園都市線の市が尾―つきみ野駅間で送電がストップし、同線とこどもの国線が全線で運転を見合わせた(2005年10月21日午前7時20分頃)。東急電鉄田奈変電所(横浜市緑区長津田町)で停電が発生したことが原因。設備の一部が焼き切れたという。田園都市線は上下計62本が運休、こどもの国線も12本が運休した(「田園都市線1時間不通 通勤直撃、11万人影響」河北新報2005年10月21日)。計74本が運休し、約11万7000人に影響が出た(「東急田園都市線、停電で朝74本が運休」読売新聞2005年10月21日)。

朝の通勤時間帯と重なったため各駅とも混雑した。駅員を取り囲み、遅延証明書の発行を求めたり、復旧の見通しを尋ねたりする乗客らで溢れかえり、混乱が続いた。長津田駅(横浜市緑区)などでは警察官が整理に当たった(「東急田園都市線が1時間不通・通勤の足乱れる」日本経済新聞2005年10月21日)。長津田・あざみ野間の利用者は、東京方面に行く代替鉄道が近くになかったり、あっても遠回りせざるをえなくてかなりの苦労を強いられた。朝の遅れは、乗継ぎに大きな影響を及ぼす。

運休時に東急電鉄のWebサイトに繋がりにくくなるのも情けない。油断があったのか。何時間遅れようが、東急電鉄からは「お詫び致します」だけである。営業中の電車の電気供給を止めておきながら、不可抗力的な説明では他人事のようで乗客は納得できない。致命的なミスだったのか。常時まともに設備更新をしているのか、鉄道設備の修繕金積み立てを普段からしているのか、疑問に思われても仕方ない。止まらないトラブルは、これまでの対策の甘さへの警鐘である。

大地震で東急田園都市線のトンネル損傷の恐れ

大規模地震が発生すると、首都高速道直下を走る東急田園都市線のトンネルが、構造上の問題で損傷する恐れがあることが判明した。問題の箇所は首都高渋谷線の池尻−三軒茶屋の約2.4キロ区間。首都高速高架橋の橋脚とトンネルの外枠がつながる大都市特有の一体構造になっている。

地震が発生すると、一体化した構造物でありながら、地上部と地下トンネルでは揺れ方にずれが生じることが明らかになった(「大地震でトンネル損傷恐れ 首都高直下、補強工事へ」共同通信2005年10月22日)。阪神大震災級の場合、揺れのずれが原因となり、トンネルの内壁に斜めに亀裂が入る「せん断破壊」を起こす可能性がある(「首都高直下の東急線 地震時トンネル危険」東京新聞2005年10月22日)。耐震補強工事は「年明けにも実施する」とするだけで具体的に明らかにしていない。随分悠長な対応である。東京急行電鉄の問題先送り体質がよく現れている。

東急電鉄の沿線問題

寂れる沿線

東急沿線は「高級感」のイメージで人を集めてきた。田園都市は実体を伴わないイメージだけのものである。青葉や緑など、郊外の田園都市を彷彿させる名前を付け、空気の良い、緑に囲まれた空間が広がっているかと消費者を誤解させる。実際は、どこも、かしこも、乱立した家、ビル、家、ビル、車の大渋滞である。

どこに緑が、どこに田園が存在するのか。緑のない窮屈な家ばかりである。欺瞞的な地名である。地名が泣くだろう。交通は不便である。横浜市なのに、横浜に出るのは大変である。役所に行くのも大変。東京に出るのも大変。東京都民より、一時間以上早く帰らなくてはならない。

東急型の地域開発は、鉄道を開通させてから後追い的に進められた。そのため社会資本の整備はろくに進んでいないのが実情である。しかも運送キャパシティを超えた無謀な宅地開発・マンション建設のために、要の東急線自体も混雑が酷く、快適な生活には程遠い。

東急不動産は今尚、東急沿線にボコボコマンションを建てているが、買ったら最後、地獄の通勤ラッシュである。東急不動産にとっては売ったが勝ち。電車が崩壊寸前でも関係ない。マンション売って売って売りまくり、電車に詰めて詰めて詰め倒す。

それでも高度成長で否応無く人口が増えていた時代には成り立っていた。しかし今や少子化による人口減少時代を迎えている。少子高齢化の波はひたひたと迫り、既に65歳以上の高齢者は全人口の19.8%に達している(2005年4月1日現在)。沿線には少子高齢化が急激に進みつつある地域も多く、一声五年先を行っているとも言われている。少子高齢化と都心回帰により、沿線の活気は停滞し、寂れる一方である。

東急の開発方針は少子高齢化社会に対応できていない。戦略施設を持っている沿線商店街はどれくらいあるだろうか。鉄道各社で客の奪い合いになる時に、ごちゃごちゃした町並みをそのままにしてしまう鉄道会社は取り残されてしまう。沿線の活気を取り戻す努力(コミュニティ活性化、景観の保全、保育園事業)が不充分な鉄道会社の沿線では地盤沈下は不可避である。

現実に沿線を見てみると、活気がなくなっている駅が目立つ。綱島駅では駅前スーパーが二件も撤退した。ユニー綱島店は2004年2月に閉店し、マルエツ綱島店も2005年2月に土地と資産を不動産会社に売却された(「マルエツ綱島店売却」タウンニュース港北区版2004年12月9日号)。この結果、駅の周りが随分と寂しくなった。一つ二つ新しい再開発ビルができただけで、はしゃぐのはみっともない。

東横沿線は学生街でもある。数年前は風呂付きワンルームで家賃五万円以下の物件などはほとんどなかったが、今は四万円以下でもたくさんある。入居者が退去した後は家賃を下げても、新たな入居者がなかなか決まらないというケースが非常に多くなっている。

「首都圏で人気のワンルームマンション投資に落とし穴」財界展望2005年11月16頁では東急東横線沿線の新築マンションを投資目的で購入した年金生活者の失敗談を紹介する。「マンションにはいろんな経費がかかるので計算していたほどの収入は得られていない」。空室や家賃滞納者で「むしろ気苦労が増えた」と語る。

値崩れ

東急グループの大きな柱である不動産や建設という業種は、土地の仕入れ、建設、販売を繰り返す自転車操業と指摘されている。立ち止まることができない業務モデル故、建物を作り続けざるを得ない。マンションを建てるのに適した土地は減少している。地盤の悪い土地にも建てざるを得なくなっている。

マンション分譲という事業は、全く売れないような失敗事業が一つあると会社の存亡に関わると言われている。人口減の中、分譲に苦労していく一方である。不動産の供給過剰は、いつか値崩れを引き起こす。その場合、東急グループで不良債権が一気に積み上がることになる。加えて東急沿線住民が資産と思って買い保有していた(買わされてきた)不動産も大きく価値が損なわれることになる。

東急電鉄と高秀秀信横浜市長の癒着

東急電鉄と往時の横浜市政の癒着は悪名高い。主に高秀秀信横浜市長(元建設事務次官)の在任中である(1990-2002年)。癒着は東急電鉄の土地開発においてなされた。東急が取った方法は、東急沿線の同社がすでに所有する土地の一部を横浜市に無料提供し、市はその土地を沿線地域の自治会館(町内会館)建設のためにさらに無料提供することだった。市はその上物建設のために建設費の半分の補助金を出した。

東急電鉄は土地の無償提供で行政や地元を懐柔し、地主との交渉や区画整理を有利に進めた。自治会(町内会)の役員にはだいたい古くからの有力地主が就いており、高秀市長にとっては市長選挙の際には自治会の推薦という形で選挙マシーンになり得る。東急電鉄を中心とした三身一体の癒着構造がバブル時代に出来上がった(「中田宏代議士出馬で昏迷。高秀秀信現職横浜市長と東急電鉄との癒着」東京アウトローズNo.10 2002年3月20日)。「地方の時代」が叫ばれて久しい。だが、企業と癒着する腐敗行政が罷り通っているのであれば、地方の時代など永遠に訪れまい。

「高秀横浜市長と東急電鉄「癒着の源泉」」東京アウトローズNo.5(2002年2月18日)
「中田宏代議士出馬で昏迷。高秀秀信現職横浜市長と東急電鉄との癒着」東京アウトローズNo.10(2002年3月19日)

田園のユーウツ

自治会館を巡る癒着を取り上げた映画である(プライド・ワン、川原圭敬監督、2000年)。三浦友和が田園沿線に住むごく普通の従業員役で登場。三浦はノンポリだったが、たまたま自治会会長に就いたことから自治会館を巡る疑惑を知り、前自治会会長の倍賞美津子と対立。我らが街の「構造改革」大作戦を展開するというストーリーである。第13回東京国際映画祭(2000年10月31日)で特別招待上映された。

映画はフィクションとされるが、プロデューサーの実体験に基づくものである。タイトルの田園は東京郊外の田園都市「羊が丘一丁目」を指すが、東急線の走る横浜市青葉区がモデルである。プロデューサーは、自宅のある横浜市内の町内会で1998年度の会長に就任。1989年度に建設した町内会館をめぐり、元会長らが建設補助金を水増し受給していたとする疑惑解明に奔走していた(「住民側が上映差し止め要求「田園のユーウツ」の憂鬱」産経新聞2000年11月18日)。

東急電鉄の不明朗な取引

東京急行電鉄、右翼関係会社に1200万円出資

東京急行電鉄らは、元暴力団幹部で右翼団体幹部の関係するゴルフ場・宅地開発会社に判明しているだけで、1200万円を出資していた。東急と右翼・暴力団との不透明な関係を物語る事実である。単に出資といっても、個人投資家が上場株式を購入するのとは異なり、この種の出資は完全な縁故出資で、「知らずに買いました」という弁解は成り立たない。不明朗な取引による負の遺産が経営を苦しめることは確実である。

東急電鉄らが出資していたのは、指定暴力団松葉会の元最高顧問で、右翼団体の連合組織「全日本愛国者団体会議」の志賀三郎名誉議長が関係するゴルフ場・宅地開発会社「酒々井(しすい)開発」(本社・東京)。同社は1985年に志賀名誉議長が発起人となった建設会社「京三建設工業」(東京都千代田区)の主導で設立された。登記簿によると、志賀名誉議長の親族が00年8月まで役員を務めていた。

最初の出資は、ゴルフ場開発を進めていた酒々井開発(当時は酒々井カントリークラブ)が1993年4月、4000万円だった資本金を8000万円に増やした時で、東急電鉄は240万円を出資した。これにより、東急電鉄の出資比率は3%となった。

酒々井開発はゴルフ場開発を断念して宅地開発を始め、96年5月に2億4000万円まで増資した。この時に東急電鉄は960万円を追加出資した。その後、酒々井開発の事業は頓挫し、2000年9月に酒々井開発が株主総会で解散を決議し、現在は清算手続きが行われている。負債は280億円とされる(帝国データバンク「ゴルフ業界の倒産動向」TDB Watching、2001年4月5日、3頁)。

酒々井開発には京成電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄、京王電鉄、東京ディズニーリゾートを運営する「オリエンタルランド」(OLC、本社・千葉県浦安市)、映画会社「東映」も出資している。

取材対応

東急電鉄は新聞社の取材に対して以下の回答している。新聞社毎に回答が異なり、一貫性のなさ、対応のいい加減さを印象付ける。

読売新聞に対しては、酒々井開発への出資の事実を認めた上で、「適切な判断ではなかった」とする。出資の経緯は不明とする(「OLC出資の右翼関連企業、私鉄大手5社も出資」読売新聞2005年6月20日)。

朝日新聞に対しては、「不適切だった」とした上で、出資の理由について、「経緯は不明」とする(「TDL運営会社の取引先右翼系企業、大手私鉄数社も出資」朝日新聞2005年6月20日)。

毎日新聞に対しては、当時、東急電鉄は千葉県内などでゴルフ場開発の計画があり、「酒々井開発がゴルフ場開発をしていたため、出資を決めたようだ」とする(「<OLC出資問題>開発会社に大手私鉄など6社が出資」毎日新聞2005年6月20日)。

中日新聞に対しては、「コンプライアンス(法令順守)の観点から適切ではなかった」とする(「私鉄など6社も右翼系に出資 東京ディズニー運営会社問題」中日新聞2005年6月20日)。日刊スポーツにも同じ回答である(「大手私鉄など6社も右翼関係会社に出資」日刊スポーツ2005年6月20日)。

本件は各紙で報道された(「右翼関係会社に5千万出資 東京の大手私鉄など6社」共同通信2005年6月20日、「OLC出資の右翼関連企業、大手私鉄5社も出資」日本経済新聞2005年6月20日、「右翼関係会社に5千万出資」静岡新聞2005年6月20日、「右翼関係会社に5千万出資 東京の大手私鉄など6社」神戸新聞2005年6月20日、「右翼関係会社に5千万出資 東京の大手私鉄など6社」南日本新聞2005年6月20日、「右翼関係会社に5千万出資 東京の大手私鉄など6社」河北新報2005年06月20日)。

東急電鉄、市場価格より安い値段で株式売却(2005年3月)

東急電鉄はニッポン放送の株主であったが、フジテレビのTOBに応じ、市場価格より安い価格で株式を売却した。これは株主に対する背信行為である。もしフジテレビから安く売らなければ、取引に不都合が出ると脅されたなら、訴訟すべきであった。

真面目に稼いだ億単位の金を、ただでフジテレビに与えた行為に誠実性は皆無である。同じTOBでも東急百貨店完全子会社化のためのTOBでは損をしたのに、逆の立場になるとフジテレビに億単位の利益を与えている。売却価格が取得価格より下回っていたら特別背任になりかねない。実際、フジテレビのTOBに応じたために損害を被ったとして、株主から取締役に対する賠償請求のための通知書を送付された企業もある(東京電力、2005年3月14日)。

TOBに応じなかった企業(ex.東京ガス)は「株主利益を考慮すると、TOBに応じるのは適切ではない」との正当な理由を挙げる。一度は応じる意思を示したアサヒビールも「TOB価格と市場価格の差が大きく、株主に説明が難しい」と翻意した。トヨタ自動車は「どちらかの味方をしたイメージがつくと車の売れ行きにかかわるので、株は保有したままにする」と消費者感情にまで配慮する。

暴力団関係者が東急電鉄株を買い付け

東京急行電鉄株は暴力団関係者による大量買い付け後に急騰するという不明朗な動きをした。この問題は大口顧客に対する損失補填とともに証券スキャンダルへと発展した。第120回国会参議院大蔵委員会第1号(1991年8月2日)でも取り上げられた。

石井進・暴力団稲川会前会長の関係会社(北祥産業、北東開発)が、1989年4月頃から秋にかけて東急電鉄株を約2600万株も買い付けた。信用取引で購入し、決済には野村証券の関連ファイナンスカンパニー等が東急電鉄株を担保に融資した資金が使われた。その間の株価は4月末では1720円、6月末は1580円と下がり、9月末には1990円に上がる。暴力団は株価が安い時に仕込んでいたと言える。

1989年10月以降、東急電鉄の幹事証券会社である野村證券が東急電鉄株をレポートで推奨し、全支店の窓口販売の主力銘柄にした。10月末には2880円、11月17日には3060円という最高値を記録した。その後、株価は下落したため、野村證券の強い推奨で東急電鉄株を購入した投資家には大損した者が多い。国会では野村證券が暴力団関係者と企み、窓口販売を通して一般投資家に高値で売りつけた疑惑が指摘された。

東京急行電鉄、トラブル多発の日本航空と提携

東京急行電鉄はトラブル多発の日本航空とカード事業での提携を発表した(2005年10月3日)。不祥事続発のJALと東急電鉄の提携である。「類は友を呼ぶ」ということであろうか。双方の企業風土に類似性が存在するのだろうか。「悪友を親しむ者は共に悪名を免る可らず」との言葉もある(福沢諭吉「脱亜論」)。

今回の提携に東急電鉄の不誠実さを見ることもできる。元々、東急電鉄は日本エアシステムJASの筆頭株主であった。しかし、グループのリストラ(東急建設への資本注入、東急百貨店の日本橋店閉鎖等)に追われて余裕がない東急電鉄が、日本航空に経営統合させた経緯がある。JASを裏切った東急が今度は提携と節操のなさには呆れるほかない。

そもそもJALのトラブル続発はJASとの経営統合に端を発している。あまりにもカルチャーが違う企業同士の急な統合が現場で軋轢を生む結果となった。各々異なる企業風土の中で培われてきた業務プロセスをそのままにしてシステムのみを共通化しても却って業務が非効率化してしまう。JALの混乱も東急が元凶と言え、東急の罪は深い。

日本航空トラブル

日本航空は2005年3月に、度重なる運航上のトラブルにより国土交通省から業務改善命令を受けた。同年4月には国土交通省による立ち入り検査も行われた。しかし、その後も整備上のミス等、様々なトラブルが続発している(「JAL系機で不具合相次ぐ 離陸中止、再出発後も異常」共同通信2005年8月31日、「乱気流でコーヒー浴び男児大やけど、日航対応に問題」読売新聞2005年9月30日、「JAL機がまた無許可離陸、宮崎空港で23日に」読売新聞2005年9月26日)。

東急電鉄との提携発表後最初の日本航空2005年9月中間連結決算は、税引き後利益で赤字に転落した(2005年11月2日)。中間期での赤字は2年ぶり。赤字幅は100億円規模に達する見込みである(「JAL赤字転落、トラブル続きで客離れ…9月中間決算」読売新聞2005年11月3日)。

日本航空は全従業員の給与を一割程度カットするなどの合理化策に踏み切る方針を固めたことを明らかにした(「日航、給与10%カット 年明け実施も視野に」共同通信2005年11月5日)。JALの運行姿勢は一般人から疑問視されている。自分の身を守るためである。乗客離れも当然である。

東急車輛製造株式会社トラブル

東急車輛製造株式会社(横浜市)は輸送需要の低迷や販売価格の下落により収益性が悪化し、ここ数年は営業損失の計上が続いている。株式交換により、東京急行電鉄株式会社の完全子会社となった(2002年10月1日)。

東急車両製造、アスベスト被害で死者

東急車輛製造は、アスベスト(石綿)による健康被害問題で、元従業員が2002年に中皮腫で死亡していたことを明らかにした(2005年7月14日)。元従業員は2001年の退職後に労災を申請し、認定されたという。同社では過去に、ブレーキの断熱材などにアスベストを使っていた(「東急車両でも死亡者=アスベスト被害で」時事通信2005年7月14日)。

石綿が大量輸入された1970年代以降、製造現場で粉じんを吸い込み、長い時間を経て中皮腫などを発症、死亡した従業員らの存在が浮き彫りになった。アスベストによる発症が7〜8割とされている中皮腫による2004年の死亡者数は、前年より75人増えて953人に上る(厚生労働省、人口動態統計確定値、2005年10月7日)。

今後、周辺住民や退職者、家族の健康被害がより明らかかになれば、訴訟などを通じて過去の使用方法など対策が適切だったかどうか問われる可能性もある(「「石綿」死者、2000年以降急増――大量使用から30年前後、業種、さらに拡大。」日本経済新聞2005年7月14日)。

東急車両製造のトレーラー、ブレーキ不具合42件

東急車両製造製トレーラーのブレーキドラムが走行中に破損し、ブレーキが利きにくくなる不具合が過去10年間で約40件も発生している(「東急車両製トレーラーのブレーキドラムに欠陥か」朝日新聞2004年7月23日)。過去5年間で42件とも報道された(「ブレーキ不具合42件 東急車両製造のトレーラー」しんぶん赤旗2004年7月26日)。同社は同種事故がこれだけ多発していたにもかかわらず、国土交通省に報告していなかった。

このトレーラーを使用していた福岡県宮田町の運送会社「若宮運送」によると、1990年にこのトレーラーを6台購入したが過去2年間で、ブレードラムに亀裂が入ったり、割れたりする不具合が9件起きた。国交省九州運輸局福岡運輸支局は2004年4月、東急側に破損原因についての調査を指示した。東急側は同年6月、「ドラム摩耗は使用基準の一ミリ未満だったが、ブレーキをかけた際の摩擦熱で金属疲労を起こし破断したとみられる」とする報告書を提出した。

東急車輛製セミトレーラー、タイヤ脱落事故

横浜市南区では東急車両製セミトレーラーのタイヤが脱落した(2002年7月25日)。脱落したタイヤは二本で、それぞれ直径1メートル、重さ110キログラムである。セミトレーラー(荷台部分)の三列目、最後部右側のダブルタイヤ(内側と外側をボルトで固定)である。

タイヤは、高さ20メートルの首都高速道路狩場線下りのの側壁(高さ約1.7メートル)を壊し真下のマンションへ落下した。住民によると、標識が壊れ、玄関先の子ども用自転車が大きく変形したという。東急車両広報は「過去にタイヤの脱落事故はあった」とし、今回の原因は「調査中」とする(「首都高速の壁壊し 大型タイヤが降ってきた」しんぶん赤旗2002年7月29日)。

東急パーキングシステムズ、独禁法違反(取引妨害)で排除勧告

公正取引委員会は、立体駐車場保守点検で大手の東急パーキングシステムズ(旧東急パーキングメンテナンス、東京・目黒、代表取締役平野宏昭)に独占禁止法違反(不公正な取引方法第15項、競争者に対する取引妨害)で排除勧告を出した(2004年3月18日。勧告審決2004年4月12日)。

親会社である東急車輌製の立体駐車場部品を一手に供給する立場を利用して、競合他社に意図的に部品の供給を遅らせたり、不当に販売価格を引き上げるなどして業務を不当に妨害したのが理由。具体的には下記がある。保守用部品の在庫があり遅滞なく出荷できるにもかかわらず、名目をつけて出荷時期を1か月遅らせた。自社が保守契約を締結しているユーザー向けの販売価格の1.5-2.5倍の価格で販売価格とした。メーカーに新たに製造委託する場合の最低発注可能数量を単位として販売した。

流通事業の弱さ

東急の流通事業は特に深刻である。東急は、どうしても西武セゾンに勝てない、二流デパートの汚名を晴らせないと言われてきた(集団トプラ、東急残酷物語、エール出版社、1987年)。東急百貨店はグループ中核企業であるが、バブル時代の金融取引の失敗や過剰投資、消費不況で経営が悪化した(「近鉄百貨店、東急百貨店は外部支援も必要に?」金融ビジネス(東洋経済新報社)2003年11月号)。

象徴店舗の日本橋店(旧白木屋として有名、現コレド日本橋)が売りに出され関係者を唖然とさせた(「日本橋店を200億安くたたき売り 百貨店の再建足踏みで東急の正念場」週刊ダイヤモンド2000年1月22日号)。希望退職募集も行った。2004年1月期で212億円の累積損失(連結ベース)を抱え、財務体質の弱さが指摘されてきた。株式会社東急レクリエーションも「営業用資産課題」と分析されている(日本証券新聞社、格付速報東証・大証編(2005〜2006年秋冬号)、角川SSCムック、1139頁)。

東急ストア、3Q低迷で2月通期予想減額

東急ストアの2005年2月期の第3四半期(3-11月期)連結業績(2005年1月12日)は売上高が1960億4000万円、経常利益が27億2700万円、当期純利益が14億1200万円となった。初めての四半期開示のため前年比較はないが、個人消費の伸び悩みや小売業における競争激化、天候不順などの影響で総じて低調に推移した。

これを受けて通期の予想を下方修正。売上高は従来の2680億円から2650億円(前期比0.7%減)に、経常利益が53億円から45億円(同14.4%減)に、当期純利益も23億円から21億円(同16.5%減)にそれぞれ減額した(「東急ストア、3Q低迷で2月通期予想減額」ラジオNIKKEI 2005年1月12日)。「生鮮食品の販売が不振で客単価下落が響いた」と分析された(日本証券新聞社、格付速報東証・大証編(2005〜2006年秋冬号)、角川SSCムック、984頁)。

ながの東急百貨店の連結子会社、賃料未払いを理由に提訴される

株式会社ながの東急百貨店の連結子会社株式会社北長野ショッピングセンター(長野県長野市)は、賃料未払いを理由に提訴された(長野地方裁判所、2002年6月18日)。原告は「かねいち株式会社」(長野県長野市)で、土地建物を北長野ショッピングセンターに賃貸していた。

地裁判決は原告の請求を認容した(2002年9月28日)。主文は「被告は、原告に対し、三億円及びこれに対する平成14年6月29日から支払済みに至るまで年6分による金員を支払え」とする。被告は東京高裁に提訴した(2002年10月4日)。原告も附帯控訴して請求を拡張した。

東急電鉄、物流子会社放出

東急電鉄はリストラにより、物流子会社を放出している。現在では東急グループの物流会社はゼロである(「相次ぐ買収事例、電鉄系物流会社や物流子会社がターゲットに」カーゴニュース2005年6月23日号)。2004年11月にはバンテックとみずほキャピタルパートナーズに航空フォワーダー大手である東急エアカーゴ(現・バンテックワールドトランスポート)の株式を売却した。

さらにエスビーエスが2005年5月16日、株式公開買付け(TOB)により東急グループの中核物流企業である東急ロジスティックを子会社化するとともに、同じ東急グループの日本貨物急送と伊豆貨物急送の2社についても東急電鉄から株式を取得し子会社化することを決めた。東京証券取引所では公開買付に関する報道の真偽等を確認するため、東急ロジスティックの売買を同日午後2時3分から一時停止すると発表した。

東急ロジスティックの高橋正守社長は「運賃単価が下落するなど、厳しい経営環境が続く中で、生き残っていくためにはエスビーエスさんの力が必要だった」と説明する(「1000億円企業の誕生へ 東急ロジを買収 エスビーエスがM&A」物流ウィークリー2005年5月23日号)。東急ロジスティックは2006年1月1日から社名をティーエルロジコム株式会社に変更する予定。

赤坂エクセルホテル東急に低評価

株式会社東急ホテルズの赤坂エクセルホテル東急の評価は低い。あるコンサルタントは以下の評価をする。「シングルで比較して部屋がさほど広くない、なぜか“よい部屋だなぁ”という印象に欠ける、やや暗い感じがある、ということで、10段階総合満足度評価で3.5に落ちます。バスルームも「狭くはない」と言える程度」(今泉大輔「赤坂界隈ビジネスホテルガイド-4」シリアルイノベーション [ITmedia オルタナティブ・ブログ] 2005年11月25日)。

楽天トラブルには宿泊者から以下の不満が寄せられた。
「チェックアウト時、かなり待たされた。立て込んだ時には一時的にもフロント増やせませんか?」(2005-11-25 22:52:00)
「エレベータと部屋が遠くて、不便だった」(2005-11-25 22:43:12)
「いかんせん部屋が非常に狭く、空調が非常に熱くて窓もはめ殺しで開かなく、とても息苦しい感じがしました」(2005-11-25 18:57:41)
「チェックアウトの時に実習生だったからか処理に手間取りました」(2005-11-23 23:47:47)
「事前に空いていれば禁煙室にと直接お電話でお願いしたのに喫煙室になったのは、結果的にしょうがないでしょうが、チェックインの時にその旨説明がほしかったです」(2005-10-25 19:15:58)

労使紛争

東急観光労使紛争

東急観光労働組合(約1700人)は執拗に繰り返される東急観光の不当労働行為と戦っている。東急観光では2004年3月31日に東急電鉄が株式85%を投資会社のアクティブ・インベストメント・パートナーズに売却して以来、従来の労働協約や労使慣行が完全に無視されている。これに対し、組合は東京都労働委員会に救済の申し立てを行っているが、会社側は度重なる和解調停や勧告さえ無視している。

会社は社員会と称した第2組合を結成させ、東急観光労組の組合員にはボーナスを支給しないなど、明らかな不当労働行為を行っている。サービス連合は支援対策会議を設置し、連合も東急観光の態度について、労働組合の存在そのものを否定する行為として、東急観光労組の全面的な支援を決定した。

この問題は柳澤光美参議院議員(民主党・新緑風会)により、参議院厚生労働委員会でも取り上げられた(2005年4月19日)。「夏のボーナスが突然なくなりました。年間で払うと。今度は冬のボーナスになったときに、今度は事実上、実態的にはほごになりました。この中で苦しんで、東急観光の労働組合の皆さんは東京都の労働委員会に救済を求めました。ところが、労働委員会の勧告にも一切応じない。それどころか、そのことを契機に本当に悪質な組合つぶしが始まりました。その典型例が、社員会という組織をつくって、職制を使ってそちらの社員会に移れ、今の組合を辞めろというのが、職制を使ってその脱退工作が、あるいは強要が始まりました。挙げ句には、労働組合から脱退した者にはボーナスを支給すると、脱退しない者には支給しないと。ですから、東急観光の中の働く者はもう全部疑心暗鬼になってしまって、組織全体がおかしくなってしまうというような状況になりました。」

東急観光は2006年1月1日から社名をトップツアー株式会社に変更する予定である(2005年7月25日発表)。外資ファンドへの売却という点では有料自動車道「箱根ターンパイク」も、オーストラリアの投資銀行、マッコーリーの設立したファンドに売却された(2004年3月)。

「経営権濫用し労組つぶしに躍起 企業再建ファンドの危うい実態」週刊ダイヤモンド2005年1月22日号
「ファンドに説明責任問う 東急観光労使紛争の波紋」週刊ダイヤモンド2005年4月23日号

東急バス労使紛争

東急バス株式会社では労使紛争が生じている。東急バス(東京都目黒区)は東急電鉄の連結後会社で、1991年に電鉄から自動車事業を譲渡された。四人の従業員が企業内組合(私鉄総連・東急バス労働組合)を脱退し、個人加盟労組(全労協全国一般東京労組東急分会)に加入した(2000年10月6日)。

脱退理由は「組合に期待を持てなかったから」である。企業内組合執行部は経営が苦しいという理由で「合理化」を受け入れるばかりであった。労働者から要求があっても抑えてしまう方針に疑問を抱き、積極的に権利を確立し、労働条件を維持向上し職場環境を良くすることなどを目的に立ち上がった。東急分会は、東急バスからの執拗な残業差別や組合無視に対し、東京都労働委員会や東京地裁で闘っている。当初四名で結成した東急分会は組合攻撃の中でも加入者を増やし成長している(一二名とも一四名ともされる)。

労働委員会

組合は団交拒否、組合員差別などの不当労働行為救済命令を都労委に申し立てた(東急バス事件、都労委平成13年不第96号、同14年不第9号、同15年不第115号)。都労委命令(2005年6月9日)では東急バスに対し、以下の行為を命じた。
(1)東急バスは、バス乗務員に対し残業扱いとなる乗務を割り当てるに当たって、申立人組合の組合員に対して、他の乗務員と差別して取り扱ってはならない。会社が残業の割当てについて組合員である乗務員に対し他の従業員と異なる取扱いをしたことは、組合員であることを理由とした差別的取扱いであり、組合員の動揺、ひいては組合組織の弱体化を図ったものとして支配介入に該当する。
(2)東急バスは、組合から会社従業員である組合員あてに送られてきた郵便物等について、他の労働組合に係る郵便物等と異なる取扱いをしてはならない。
(3)東急バスは、組合が要求する便宜供与について、他の労働組合との間に合理的理由のない不平等が生じないよう、申立人組合との協議に誠実に応じなければならない。
(4)東急バスは、添乗調査の頻度等の運用及び乗務状況報告書の評価基準について、組合が団体交渉を申し入れたときは、団体交渉事項ではないなどとして拒否してはならず、誠実に応じなければならない。

宇賀神(全国一般東京労組)は「われわれの分会のある東急バスで、背面監視が行われていた。都労委で組合が勝利した」と話す(郵政労働者ユニオン主催、全労協・東京全労協共催「郵政民営化阻止集会」永田町社会文化会館、2005年7月7日)。

民事訴訟

組合員及び組合は2002年10月1日に違法なチェックオフによる未払い賃金支払いや不当労働行為に対する損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。東急バスが花粉症のバス運転手に対し、マスクをしての運転を認めなかったことや有給休暇の申請を承認しなかったことも理由にあげられている(「「花粉症なのにマスク認めず」運転手、バス会社提訴」朝日新聞夕刊2002年10月3日)。

労使紛争の隠蔽

東京急行電鉄・有価証券報告書では労使紛争の存在自体を隠蔽する。「労働組合の状況」では東急分会の組合員数を僅か一名とし、「連結子会社においても労使間において特記すべき事項はありません」とする(平成16年度13頁、平成15年度15頁、平成14年度16頁)。

東急分会ホームページ 東京都公式ホームページ/不当労働行為救済命令書交付−東急バス


東急関連トラブル

東急リネンサプライ、公害防止協定違反

東急リネンサプライ株式会社(本社・東京都品川区)千葉工場(袖ケ浦市中袖、山本尚孝工場長)は袖ケ浦市に公害防止協定に基づく排水の水質測定で虚偽の結果を報告した(「東急リネンサプライ:千葉工場で汚水のデータ改ざん」毎日新聞2005年11月29日)。袖ケ浦市は千葉工場に対し、改善指示を出した(2005年11月28日)。同社はホテル用のシーツやタオル類のリース、クリーニング事業をしている。

千葉工場は洗濯後の汚水を活性炭で浄化し、東京湾に流している。同社は2005年7月9日から9月3日までの期間、6回にわたり、水質等測定データの化学的酸素要求量COD数値が協定に定める基準値を上回っていたにもかかわらず、あたかも基準値内であるかのようにデータを改ざんし、虚偽の報告書を作成、提出していた。市が再調査した結果、水の汚れの度合いを示すCODが、同協定の基準値10ppmを上回る11〜18ppmだった(「東急リネンが排水データ改ざん=公害防止協定違反の疑い−千葉」時事通信2005年11月25日)。

それ以前にも平成16年に3回、平成17年に12回にわたり、CODが基準値を上回った際に、データを改ざんし、虚偽の報告書を作成、提出していた。上記は社内調査で現在判明した限りである。公害防止協定では水の汚れの指標となるCODの基準値を一リットルあたり10ミリグラムと設定する。改竄前の数値はいずれも協定の基準値を上回った(「東急リネン 排水測定値を改ざん」中日新聞2005年11月28日)。

東急エージェンシー社員殺害(2004年3月)

大手広告代理店「東急エージェンシー」の社員だった石見朋秀さん(36)(東京都目黒区)が印刷会社「サンタファクトリー」社長、井藤武人(38)(大田区)に殺害された。東京都渋谷区の路上に止めた自分の乗用車内で石見さんの首をロープで絞めて殺害。死体を切断した上、山梨県鳴沢村の樹海に捨てた。

サンタファクトリー社は1998年に設立され、東急エージェンシーから仕事を受注していた。石見さんは、この会社を興す際に出資したが、2人の間には多額の借金をめぐるトラブルがあったという。警視庁目黒署特捜本部の調べに対し、井藤は「東急エージェンシーからの仕事を請け負う見返りとして、石見さんからリベートを要求されていた。(石見さんの)自宅のローンや携帯電話代まで支払うよう求められた」などと殺害の動機を供述。昨年以降、石見さんに支払った額は約1000万円に上り、「生活できなくなるほど追いつめられていた」と話す。

武蔵工業大学研究用原子炉で漏水

武蔵工業大学(本部・東京都世田谷区)は学校法人五島育英会が運営する大学である。五島育英会(東京都渋谷区)は東急グループの一員である。東急関係者の子弟に大卒資格を与えるためのディプロマミル(学位販売業者)と揶揄する見解もある。学校法人が営利企業の傘下にあるとされること自体、好ましいこととは思われないが、首都圏三千万住民の生命・健康を脅かす事故が起きている。

武蔵工業大学原子力研究所(川崎市)の研究用原子炉が1998年12月に冷却水の漏水事故を起こした(藤田祐幸「武蔵工大原子炉漏水事故の意味するもの 役割を終わった原子炉は廃炉に」原子力資料情報室通信196号)。12月4日、原子炉照射室内の熱中性子取出し口下部壁面より、水のしみ出しが見られた。しかし、多くの事故に共通して見られることであるが、この時点で大学は対策をとらず、12月21日まで原子炉の運転を継続した。

12月21日夕方、原子炉の運転終了後に照射室内の点検を行ったところ、熱中性子取出し口下部台上に水溜りを発見した。調査により、原子炉タンク胴部に漏洩箇所を発見した。また、使用済燃料貯蔵プール水の一部が熱中性子柱床面下部空洞部へ漏れて来ていることが判明した。以後は炉を停止し、休炉状態としている。

廃炉を求める住民運動

1999年の年明けに新聞報道で事態を知った地域住民は、早速に研究所に出向き事情の説明を求めた。その後、地域の住民と市民団体で「武蔵工大の原子炉事故を考える会」を結成し、大学側に対して、老朽化した原子炉の廃炉を要求してきた。大学側は当初、住民側の要求を拒んでいたものの、2003年5月に理事会で廃炉を決定した。

文部科学省は2004年2月9日、武蔵工業大学の研究用原子炉の解体届を同大から受け取ったことを国の原子力安全委員会に報告した。解体工事は来年度から08年度まで。112トン生じる見通しの低レベル放射性廃棄物は当面、敷地内に保管する。

原子炉は老朽化が進行しており、安全性の問題とともに、使い勝手からも廃止は当然である。しかし廃炉で全ての問題が解決するわけではない。廃炉で放射性廃棄物が消滅してくれるわけではない。運転停止後の維持管理、安全性確保にも万全が尽くされなければならない。

強盗慶太

五島慶太(1882年4月18日-1959年8月14日)は東急グループの創設者。東京地下鉄道の乗っ取り、三越の乗っ取り事件等の強引な経営手法で物議を醸し、「強盗慶太」の悪名が高い。悪辣な手法を用いて資産と事業を拡大させた。戦時中、東條英機内閣の運輸通信大臣に就任し、敗戦を迎える。連合軍最高司令官総司令部GHQから東條内閣の閣僚だったことを理由に公職追放者指定を受けた。

追放解除後、横井英樹の白木屋乗っ取りに手を貸し、これを東急百貨店に吸収した。しかし三越の乗っ取りには失敗。東洋精糖買収も暗礁に乗り上げる中、病没した。東洋精糖は五島の死後27日目に手放されることになる。戦後の買収劇に関しては、長男の五島昇からも「親父が最後の10年間でやった買収は全部失敗」と評されている。

東急と朝鮮の関係

東急と朝鮮の関係を考察する上で、久米民之助(1861-1031)の存在は必須である。五島慶太は久米の長女、万千代と結婚する。この時、久米家の祖母の家系で既に廃絶になっていた五島家を再興することになり、五島姓に改姓した。東急グループ二代目の五島昇は久米の孫にあたる。

久米は1918年4月、ソウルから金剛山地域を視察し、1919年12月に金剛山電気鉄道株式会社を創設、初代社長となる。金剛山最高峰の毘盧峰を越える登山道「久米越」を整備し、金剛山地区の開発・観光の振興を目的とした半官半民組織の「金剛山協会」創設に努めた。


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