履歴書作成支援
転職活動を実際にしてみて気づいたことだが、履歴書には苦労する。
まず、これに類するものを書く機会の多いこと。正式な履歴書はもちろん、
メールで応募したり、Webのフォームに入力したり。あるいは、就職フェアに行って、
所定の用紙に記入したり。同じ内容のものを、何度も書かなければならない。
Webの就職サイトに登録するにも、履歴書めいた内容のものをフォームで入力することになる。
コンピューター技術者にとって、同じものを何度も作成するというのは、
非常に屈辱的な作業だ。「何のために、ディスク装置があるんだ。」
「何のためにインターネットがあるんだ。」と叫びたくなる。
そう、コンピューターやネットワークは、元来、一度作成した文書やデータを、
何度でも手軽に利用するための機能なのに。
では、インターネット時代に、履歴書はどうあるのが相応しいのか。
XMLのもたらすメリットは、互換性だ。
たとえば、転職支援サイトAおよびBに登録することを考える。AサイトもBサイトも、
各々のWebサイトから、ユーザー登録をする。この時、名前や経歴といった、
履歴書と同等の内容のものをフォームから入力することだろう。それらは似ているが、
詳細に見ると項目や選択肢が微妙に違っている。今のところ、悲しいことに、
それぞれを別個に登録する以外にない。いい仕事が欲しければ、
それぐらいの労力は惜しむな、というわけだ。でも、もし、各転職サイトが、
標準の履歴書XMLと自社データの間の相互変換をサポートすれば、どうなるか。
自分の履歴書XMLをローカルのディスク上に作成して、各転職サイトには、
そのファイルをアップロードするだけで、登録できる。あるいは、
最初に登録したサイトから、履歴書をXML形式でダウンロードして、
他のサイトに送ることもできるはずだ。いずれにせよ、
同じものを何度も入力する作業から開放される。
紙で必要な場合も、問題はない。XMLドキュメントは、アプリケーション次第で、
単純な印刷から、豪勢な飾り文字をふんだんに使った印刷まで、幅広い対応ができる。
さらに、採用する企業側にとってのメリットも大きい。XML形式で履歴書をもらえば、
自社の好む様式で一律に印刷でき、また、書類選考を文字通り機械的に行うことすら可能だ。
転職業界に、標準履歴書のXML形式ができれば、紙の履歴書など、駆逐されてしまうだろう。
でも、誰もそんなものを作ろうとはしないようなので、自分で作ることにした。
というわけで、ここでは、履歴書作成を支援するためのツール群を紹介する。
基本的に、XMLで履歴書を持ち、好きな形式に変換して利用する、という使い方をする。
今のところ、このXML形式を受け入れる企業も転職サイトも無いので、あくまで、
自分のディスク上でのデータ管理を一元化する、という目的のみが達成される。
将来、履歴書XML の標準形式が、別の形式で認知された場合でも、XML から XML への
形式の変換は容易い。
実際に書いてみると、履歴書の重要性がよくわかり、その内容を吟味する部分に、
より時間を割くという姿勢が正しいのだと思った。
履歴書を書く過程で教わることが多くある。そういう発見を大事にするためにも、
履歴書の中身をXMLで保存して、表現形式から開放するというのは良いことだ。
見た目を整えるのは、アプリケーションに任せてしまって、
自分は内容を良くすることに集中すればよいのだから。
今は転職を考えてないという人にも、このツールを利用して、自分の履歴書を作成してみることをお奨めする。新たな自分を発見できるかもしれませんよ。
概要説明
動作環境
- Microsoft Windows + WSH + MSXML 2.0
Windows Scripting Host および Microsoft XML のバージョンは、
IE5.5 についてくるものなら、動作条件を満たしている。
Windows + IE5 という判定で、だいたい当たってると思う。
XSLT および DOM を利用しているだけなので、 Windows 以外の環境への移植も、
それほど困難ではないと思う。ただし、XSLT の記法が、MSXML の実装に依存したものとなっている部分に注意を要する。
Quick Start
- DTD (resume-1.dtd)をローカルに保存する。
- サンプルの履歴書XML (resume-1.xml)をローカルに保存する。
- HTML出力ツール (resume-phtml-1.wsf)をローカルに保存する。
- resume-phtml-1.wsf を実行する。(ダブルクリックするか、コマンドプロンプトから cscript resume-phtml-1.wsf と打つかのいずれか。)
- エラーが出なければ、output.html というファイルがカレントディレクトリに作成されている。これが、ツールにより履歴書XMLを HTML に変換した結果。
- 以上がうまくいけば、あとは、サンプルの履歴書XMLを、直接編集して、自分の履歴書を作成する。編集に用いるのは、標準のメモ帳でも、テキストエディタでも、XML専用エディタでもよい。
- ほかの出力ツールもダウンロードして、目的により使い分ける。
詳細説明
- 共通のヒント
- ツールはすべて、テキストファイルとして提供されており、一部、ブラウザ上でも閲覧できるが、ブラウザによっては正確に表示できないこともある。その場合は、ローカルディスクにダウンロードして、テキストエディタ等で見るとよい。
- サーバー上のファイル名は、使用時に好ましいものとは異なる場合もあるので、ローカルに保存する時に、拡張子をつける等、ファイル名を変更すること。
- 出力ツールの入出力ファイル名等、条件を変更するには、出力ツールをエディタ等で開いて、resource の部分を変更する。
- 出力をカスタマイズするには、出力ツールの記述を、自分の好みに書きかえるとよい。
- Windows Scripting Host を使用しているツールでは、出力ファイルの文字コードセットは、WSH に依存する。入力側の文字コードセットによらず、Shift_JIS に固定となっている。
- 履歴書XML (resume-1.xml)
- サンプル。(Shift_JIS)
- 履歴書XMLで使用する文字コードセットに制限は無い。ただし、使用した文字コードセットの名称を、正しい方法で先頭に記述すること。
- 和文履歴書と英文履歴書を作成する場合には、項目ごとにlang属性を指定して、複数言語を並列して記述できる。単一言語しか利用しない場合には、lang属性の指定は不要。指定のない項目は、言語によらず共通で使用される。
- 履歴書DTD (resume-1.dtd)
- 履歴書XMLのタグを定義している。(UTF-8)
- 履歴書XMLに自由に項目を追加して使いたい場合、DTD指定の記述をはずしてもよい。
- この履歴書XMLは、コンピューター技術者を対象としているが、他の職種へも容易に転用できるものと思われる。
- この履歴書XMLは、日本式の履歴書を中心に考えている。
- 英語環境での利用や、他の database とのデータ共有を考慮すれば、一般に XML のタグは英語による記述が望ましいと考えられる。しかし、この履歴書XML については、日本式履歴書に特化している等を考えて、敢えて日本語タグを使用した。ただし念のため、DTDだけは英語タグのもの(resume-1.1.2.en.dtd)を予備的に定義しておく。
- HTML出力 (resume-phtml-1.wsf)
- 履歴書XMLを読んで、XHTML 1.0 Strict を出力する。
- 英文履歴書風の形式。
- サンプル(日本語, 英語)
- このサイトに置いた私の履歴書は、このツールの出力を利用している。
- XML で記述されているスクリプト(Windows Scripting Host)なので、XMLに対応するブラウザ上で閲覧可能。
- 技術: XSLT
- テキスト出力 (resume-ptext-1.wsf)
- 履歴書XMLを読んで、text/plain を出力する。
- メールで、添付ではなく、本文に直接記述した履歴書を送る場合に最適。
- サンプル(日本語, 英語)
- XML で記述されているスクリプト(Windows Scripting Host)なので、XMLに対応するブラウザ上で閲覧可能。
- 技術: VB Script, DOM
- 和文履歴書のWord出力 (resume-pword-1.bas)
- 履歴書XMLを読んで、Microsoft Word Document を出力する。
- 市販の和文履歴書様式で、印刷に最適。
- サンプル
- Word の VBA を使う。サーバーに置いているのは、VBA のソース部分のみのテキストファイルなので、次の手順で Word に読み込んで使用する。
- Microsoft Word を起動して、白紙のページ(新規文書)を用意する。
- Visual Basic Editor を開く。(ツール → マクロ → Visual Basic Editor)
- ダウンロードした resume-pword-1.bas をインポートする。(ファイル → ファイルのインポート)
- メインプログラム okGo の先頭にある、xmlUrl に、自分の履歴書XMLを指定する。
- okGo を実行する。(実行 → マクロの実行 → okGo → 実行)
- 完成した履歴書を印刷なり保存なりして利用する。
- VBA のコードとしては、誉められたものではないが、印刷用と割り切って使う。
- 履歴書は、プログラムを読み込んだ文書とは別に、新しい文書として作成される。プログラム自身の文書は、白紙のまま、使われることはない。ここにボタン等を配置して保存すれば、繰り返し使うには便利だろう。
- 必須タグが無いとエラーになる。
- late binding を使っているので、参照設定の変更は不要。
- 技術: VBA, DOM
- 和文職務経歴書(時系列)のWord出力 (resume-pword-2.bas)
- 履歴書XMLを読んで、Microsoft Word Document を出力する。
- 和文職務経歴書(時系列)の印刷に最適。
- サンプル
- Word の VBA を使う。サーバーに置いているのは、VBA のソース部分のみのテキストファイルなので、 Word に読み込んで使用する。手順は resume-pword-1.bas と同じ。その他の注意点も同じ。
- 技術: VBA, DOM
- 和文職務経歴書(企画別)のWord出力 (resume-pword-3.bas)
- 履歴書XMLを読んで、Microsoft Word Document を出力する。
- 和文職務経歴書(企画別)の印刷に最適。
- サンプル
- Word の VBA を使う。サーバーに置いているのは、VBA のソース部分のみのテキストファイルなので、 Word に読み込んで使用する。手順は resume-pword-1.bas と同じ。その他の注意点も同じ。
- 技術: VBA, DOM
- 入力フォーム(サンプル)(ui-form2xml-1)
更新履歴
- 2000/9/28
- ui-form2xml-1 sample html
- 2000/9/19
- resume-1.1.3.dtd released
- 1.1.2からの変更点
- 履歴書/人/家族 Element の追加。
- resume-pword-1.1.1 released
- resume-pword-2.1.1 released
- resume-pword-3.1.1 released
- 2000/9/17
- resume-1.1.2.dtd released
- resume-1.1.2.en.dtd released (English version; only for trial)
- resume-phtml-1.1.1 released
- resume-ptext-1.1.2 released