それは違う
この僕の手は今
石鹸の匂いだから
きれいに洗い流した
その後の匂いなのだから
もうそれ以上
そこに何か・・・
石鹸の匂いが有るだけ
石鹸の匂いが有るだけなんだ
机の上で
静かに歌うサラ
その歌声や
トランペットの調べなど
僕にはもう
そのくらいしか受け止められないんだ
新しいことはきらいだ
せめて生きている限りは
ある程度のことはしてやれるし
僕もそんなに
悪い奴になりたくもない
それも疲れることだからね
だからかまわないでくれ
僕は淋しいくらいで丁度いいから
今年もまた冬が来て
僕はもう
そんなことで必死だよ
わかりきっていることは聞かないでくれ
無駄なことはしないでくれよ
悲しい思い出なんて僕はもう要らない
それは少年の財産だ
僕はもう大人なんだよ
そんなもの もう沢山だ
何も言わず
馬鹿をやらない
そんなだから
僕は彼らが好きなんだから
僕が狂っているとしたら
そんな彼らに対してだよ
間違っても君にじゃない
今やそうなんだ
そこのところをわかってよ
わかってくれたら握手してもいい
お互い石鹸で洗った手で
お互いに
君だって
いっそ手を洗ってしまって
損がないと思うんだよ 僕は
石鹸の匂いだって
悪いものじゃないと思うよ
2002 11 13