MPV 97/6/22
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「タイムシフティング」ステファン・レクトシャッフェン、NHK出版
すばらしい本。生き方が変わるかもしれない。
著者は医師で、ホリスティック医学の立場から、健康・予防・長寿などについて患者を指導している。
時間の使い方の本は色々出ている。ぼくも随分読んだ。細切れ時間を有効に使うとか、やるべきことに優先順位をつけて紙に書くとか。そういうのも確かに役に立つ。
でも、この本は全く観点が違う。
キーワードは、「スピードを落とす」。
以下、本書から。
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狂乱状態で日々を送る、典型的な"時間貧乏"の観点から見ると、ゆっくりと意識しながら歩くことは、時間を"無駄にしている"ように見えるかもしれない。だが、私だけでなく、数え切れないほど多くの受講者たちの体験から言っても、こんなふうにほんのしばらくでも今を生きてみると、穏やかで爽快な気分になって、その日一日、前よりくつろいだ平穏な気持ちで過ごせるようになる。後述するように、たとえば、歩きながら瞑想してみるとか、犬の散歩や子供たちと遊ぶ時間をとるとか、友人と意義深い会話を楽しむとかして、生活に安らかなリズムを持ち込むと、生活のペースをバランスよく配分できるようになる。これがすばらしい点なのだが、わずかな時間、意識してシフトダウンするぐらいでは、一日の時間すべてを吸いつくされる心配はない。それどころか、それは時間を造りだしてくれる。一日じゅうずっと、いわば"時間自由"の身にして、あなたを時間の呪縛から解き放ってくれるのだ。これがタイムシフティングである。
立ち入り禁止時間は美しい花のようなものであるべきだ。それには何の目的もなく、ただそこにあるだけのものだ。それでも、花のように、私たちを元気づけて、この世のすばらしさを気づかせてくれる。
肝心なのは決定権を持つということだ。それはあなたの時間なのである。必ず自分でその時間をとるようにして、邪魔を入れさせたり、ほかの用事を優先させたりしてはいけないのだ。
いちばん速い子供なら三時間で楽に解けるテストに五時間かけてみたらどうだろう?そうすれば、生徒一人一人の学力がもっと正確にわかるのではないか?
暴力がはびこるのは、それがものを感じる手段だからだ。
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この本を読みながら、日本の文化というものは、茶にしろ庭にしろタイムシフティングそのものだな、と思った。
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テリー金城Quartet (あんばらんす_下館、97/6/16)
金城氏(ピアノとプロデュース(自称))のことは何も知らず、テナーサックスのBob
KenmotsuとドラムスのJimmie Smith目当てに聞く。
Bobは米国で活動し、最近日本にも来るようになった若手。日系3世。
Jimmieは大ベテラン。アート・ペッパーやレイ・ブラウンなどとも共演している。
結果。BobとJimmieは期待通りよかった。
Bobはすらっとした体、線の細そうな顔に似合わぬ結構太い音で、長めのフレーズをぐいぐいと吹いていく。スタンダード中心のプログラムだが、感覚は新しく、水準は高い。安心して楽しめる。
ここまでのレベルなら、日本はよく分かりませんが、欧米にはたくさんいるんですね、実は。問題はこの先。どれだけキレルか、がトップクラスとそれ以下を分けるのです、少なくともぼくにとっては。
で、Bob。この人キレたら面白そうと十分感じさせる片鱗を見せてくれました。例えば"Softly
as in a Morning
Sunrise"。うまいアドリブを暫くすいすいとやっていて、いきなり、あららららっと2オクターブ位上がっていってそこで10秒程吹きまくり、また下りてきて何事もなかったようにすいすいと続けた。
あの10秒を30分続ければColtrane,Dolphyの世界です。下館では以後お呼びがかからなくなるだろうけど。
Jimmie。久々に一流のドラミングを聞いた思い。本当のプロ、一級職人です。
がっしりした体を真っ直ぐ伸ばして、軽くスティックを動かし、あちこち叩いたり、大きくしたり小さくしたりするだけ。変わったことは何にもやらない。それなのに全然違う。お箸でお碗を叩いても、それが単純な4拍子でも、こういう人なら強烈なビートになるのでしょう。
Bobの倍近い年ではないかと思うのですが、ちゃんと煽ってました。Elvinのようなキレさせる煽りではありませんが。
ベースの稲葉国光。いいおじさんです。こういう年の取り方をしたいものです。残念ながら音がよく聞こえなかったのですが(これは店が悪そう)、指、体の動きから判断すると、いいベースのはずです。
テリー金城。軽くのせるジャズが一番食えると知ってしまったのでしょう。
なぜこういうQuartet構成になったのかが不思議。少なくともBobにとってベストではない。アメリカのジャズ事情はあまりよくないということでしょうか。
当日買ったBob Kenmotsuの最近のCD"Lookng at Air"を今聞いている。
ストレートな、いい演奏。バックは知らない連中ばかりだけど、皆うまい。
http://www.amosaya.com/kemo.html に解説あり。
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初釣果!? (97/6/14)
ルアーを始めて3回目(うち1回は鬼怒川で投げる練習)、ついにかかりました。場所は、加賀フィッシング・エリア(栃木県田沼町)。
と言っても、トラウト(マス類)用のタックル(ロッド(竿)、ライン(糸)、リール等の道具一式。ルアー、フライの世界はなぜかカタカナづくしなのだ)なのに、なぜかどう見ても鮒。20cm位。やっぱりルアーに食いついたわけではないようで、鰓に針がかかってました。かわいそうに。
もう1匹かかって、これも鮒。14cm位。
それでも、あのググッという感じはたまりません。
次はトラウトを狙います。
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低価格ワイン飲み比べシリーズ no.1
ふだんは2000円以下の赤を色々飲んでいます。
感想を順次紹介していきます。
Carlo Rossi, California Red, Vin Rouge (生産年表記なし)
下館のスーパー"Rapio"で780円(?)。
まずい。変に甘い。2日がかりで3分の1も飲めず。
Domaine Mas, Cabernet Sauvignon 1995, vin de pays d'oc, Antoine
Chatelet
同じスーパーで880円(?)。
よい。日常用適格。特段際立つものはないが、カベルネ・ソーヴィニョンの味がちゃんとする。
余談。残ったワインの利用法。
リンゴを煮てデザートに。他に何も入れなかったらさすがに少し酸味が強かったが、まあ食べられた。
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雑誌のワイン特集のこと。
"BRUTUS"
97/6/15の「決定版 ワイン特集 なにしろ赤ワイン好きなもので。」は、スノッブと実用性のバランスをうまくとってよくできてる。
例えば「3,000円以内のベスト赤ワインは何だ?」という記事では、若手ソムリエ7人が全国25店のこだわり酒屋推薦100本を飲み比べ。ちなみに第1位はリオハ! Vina
Herminia Lagunilla Reserva 1985, Bodegas Lagunilla,
2427円、寿屋(札幌) でした。
もうひとつちなみに、この全国25店の中に、土浦鈴木屋(土浦市田中1-7-15)もはいってます。
他の記事では、レナード・バーンスタイン氏による「これだけで通に見える赤ワイン見栄講座」、鈴木保奈美とヒュー・ジョンソン氏の「こんな場合は、どのワイン?」、5人のワイン鑑定家による「ボルドー・メドックの格付け見直し」なんてのが面白い。
<<< 記事 >>>
日産自動車の新聞全面広告。(97/6/18)
感嘆した。
ル・マンの結果はGT1クラス5位、総合12位。さほど好成績とは言えまい。負けと見る人も多いだろう。それを素材に使うことを課せられたコピーライター。難しかったと思う。
負けは否定しない。しかし、決して卑下しない。
どころか、評価すべき点を前面に打ち出す。
自画自賛なのだが、鼻につかない。
そして、明日への挑戦ということで締めくくる。
うまい。
負けた時の米国大統領のスピーチもこういう構成なのかもしれない。
(広告原文は、http://www.oocities.org/~guchon/nissan970618.htm に掲載。)
< 発行人ノート >
・"MPV"は、発行人のホームページにも掲載しています。
http://www.oocities.org/~guchon/MPV.htm
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