MPV 97/7/2


<<< かたち、リズム、振動、共鳴 >>>

このテーマが気になっている。

まだうまく説明できないのだが、どうやら、色々なことがここから見えてきそう。

とりあえず、引用。

 

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....かたちとリズム、つまり視覚的なものと聴覚的なものをふつうは分けます。ことに近代になると、視覚的なものが重視されて、その区別は強まる。けれども、よく考えてみると、それは絶対的な区別ではなかったのです。音にも「かたち」がありうるからです。それでリズムというものをかたちと結び付けてみる。そうすることで、とてつもなく大きな世界が開かれてきました。リズムとそれに連なる振動というのは、おそらく二十一世紀に新しい展開が見られるでしょう。

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(中村雄二郎「この五十年−哲学と日本人」(『学士会会報』1997-I,No.814))

 

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動的協力性は生体で運動系以外にも働いていることはないでしょうか。この章では、最初に、生体の中のさまざまなリズム振動の中で動的協力性がみられることを説明し、動的協力性の概念を広げた場合、形態形成をこのメカニズムで説明できることを示します。

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(清水博「生命を捉えなおす −生きている状態とは何か− 増補版」(中公新書503)

*この本は、生命について考えるための確たる視点を持っていなかった私にとって、非常に重要な本になった。部分部分はかなり難しくついていけないことも多いが、生命の本質を動的秩序の自己形成と見る考え方、そしてそれが情報や振動と密接に関わるものであることはよく分かった。

 

このテーマに関わる言及が最近多いように思う。

例えば、指回し運動を流行させた栗田昌裕氏(SRS速読法主唱。読むのでなく高速でパッと「見る」らしい)も「共鳴力」という本を出している。人間にそのような力があるという説は分かる気もする。ただし、この本は現象を述べてもその発生の仕組みに触れておらず、不満。

*SRS速読法については、興味もあり、できたらいいなと思うのだが、まだ全くうまくいかない。単に訓練してないからか。

相当変なのもある。もともとこのテーマはアリストテレスやゲーテからニューサイエンスにもつながるものであり、現在の科学の範疇に収まらない。科学という枠を外すと、それ以外の枠が今は確立されていないから、オカルティズムはじめ何でもありになってしまう次第。

例えば、江本勝「波動とは何か」(PHP研究所)には、試験管2本の精製水を用意し一方には「ありがとうございます」他方には「ばかやろう」の文字(ワープロで打ったもの)を貼ったところ、前者にはきれいな結晶構造ができたが後者にはできなかった、という写真が載っている。ここまで来るとついていけない。

ちなみにこの江本氏、国際波動友の会という振興宗教的組織も作っていて、お金儲けが上手そう。PHPはこんな本でも出すのですね。

このテーマについては、これからも随時取り上げる予定。

 

<<< 時事雑感 >>>

神戸の殺人事件について。

なぜ14歳の少年があのようなことをするに到ったか、これからあまたの議論がなされ、教育、家庭、地域社会云々が例によって問題にされるだろう。このような議論の意義は否定しない。今回の事件が非常に極端なケースであって、同じような環境に置かれても誰もが同じことをするわけではないとは言え、社会の歪みを反映していることは間違いないだろうから。

ただ、議論の行方について気になることもある。

早くも文部大臣が「心の教育」の必要性を唱えている。これが、短絡的に学校のカリキュラムをいじる結果になりはしないか。

「心の教育」の時間が設けられる、あるいは道徳の時間の中に新しい内容を盛り込む、そのために教材が作成され、先生のための研修が実施され、研究授業が行われる。

そのために費やされる多くのエネルギーと時間。

無論、一概に効果なしと言うことなどできない。しかし、これまでの日本の教育政策はこのような改革の連続だったのではないか、その結果はどうだったのか、一つ一つは意図において正しくても、総合したときに望まぬ方向に向いていないか、そんな気がしてしまう。

やるべきことは実はずっと簡単なのだと思う。授業も、宿題も、テストも思い切り減らし、その分自由に遊ばせる。クラブ活動とか地域活動とかの枠をはめてはいけない、あくまでも好きなように遊ばせる。それだけ。

行政がやるべきことは、子どもたちが好きなように遊べる環境を用意すること。ニュータウンの中の人工のせせらぎなどではない、そのままの川。「なになに公園」という石板の標示などないただの草っ原。

本来、これも作為でなく不作為を責務とすればすんだはず。

今となっては、元に戻すことほど難しいことはないのかもしれない。

取り戻せる空間は一部であっても、せめて時間はたっぷり取り戻してやりたい。

「14歳の少年を逮捕」の文字をインターネットで読み、あのニュータウンの様子を思ったとき、「うさぎおいしかのやまこぶなつりしかのかわ」の詞がふと頭に浮かんだ。

 

<<< wine >>>

低価格ワイン飲み比べシリーズ no.2

Chateau de l'Abbaye 1992, Haut-Medoc, Cru Bourgeois

岩瀬の酒類安売り店「リカーランド」で1375円。

まあまあ。酸味がやや強い。焼き肉など味の濃い食べ物向き。

  


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