981002_1
宇沢弘文「日本の教育を考える」を読み始めた。印象に残った箇所をいくつか。

・少なくとも教科書から判断するかぎり、中学、高校での数学教育はあまりにもひどく、まさに滅茶苦茶だ・・・・。文部省が意図的に「子どもたちが数学を嫌いになる」ように、数学の学習指導要領を作成し、・・・・

・ワルラスが若いときに書いたという短編小説の草稿・・・・。その若者はそこで、結婚したときに得られるであろう効用を事細かにリスト・アップし、他方、結婚したときにかかる費用を、心理的なものまで含めてくわしく計算するわけです。そして、結婚したときにかかる費用の方が、結婚したときに得られる効用よりも大きいことを知って、求婚するのを断念するという筋です。ワルラスは結局、この草稿の出来映えをみて、作家としての才能のないことを自ら悟って、経済学者への道を志すことになったといわれています。

・ビッテというのはドイツ語でお願いという意味ですが、旧制高校特有のすばらしい、心暖まる制度です。成績の悪い生徒の場合、友人が本人を連れて先生方のところに行って、どうして成績がわるいかという事情をつぶさに説明して、成績をよくしてもらったのです。
(東大の数学科に受かるも一高が卒業できないという危機を、宇沢氏はこれで救われたとのこと)

・弥永先生は・・・・、一新入学生を、一緒に助け合って数学という山に登る伴侶と考えて下さった・・・・
(弥永昌吉。東大数学科主任で当時の日本を代表する数学者)