990124_1
風邪で喉と鼻をやられた。熱を出したくないので、昨日今日はだいたい寝て過ごした。

と言ってもそうは眠れない。下巻にはいったところで暫く中断していたジム・カールトンの『アップル』を再開、読み終えた。風邪も悪いことばかりじゃない。

魅力的な理念を掲げて優秀な人材をたくさん集め好きなように働かせるとどうなるかの、面白くもほろ苦い物語。
よくもまあというくらい多くのチャンスを逸し、莫大な額の投資を無駄にしている。

でも、考えようによっては、この投資、別のところで生きているわけだ。
アップルを追い出されたり自ら辞めた研究者、開発者の多くが、別会社でそのシーズを開花させている。

アップルに投資した者から見れば回収できなかったわけだが、社会全体として見れば、新しい価値を持った商品が利潤を生み出し、その利潤がちゃんと次の新しい価値の生産に向けられた、ということになる。
この循環の中で、利潤を元にした投資が一旦形を変えて人のポテンシャルを高めている、というところがポイント。そのポテンシャルがどこかで発現する仕組みになっていれば、社会は大丈夫ということだ。

読んでいる間は、自由に任せすぎる経済は無駄ばかりになるかな、という思いが強かったが、そうでもなさそうだ。計画経済より人のポテンシャルが高まることは間違いないから、あとはそれがいつかどこかで生かされるようにすればいい。
その点で、今の日本は、アメリカほどうまくいっていないということか。

ところで、スティーヴ・ジョブズもビル・ゲイツも1955年生まれ。この本の著者ジム・カールトンも翻訳者の山崎理仁も1955年生まれ。おまけに読者のぼくも1955年生まれなのだった。うーむ。

 

zz