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1ヶ月以上もここに書かなかった。
大したことをしているわけでもないのだが、時間はどんどん過ぎていく。
書くほどのことがなかったというのでもない。随分遅れてしまったが、いくつか書き留めておこう。
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5月の半ばに奈良を訪れた。
日曜発火曜帰宅の日程。わけあって、平日に休むことが推奨されたおかげ。
奈良はほぼ20年ぶりだろうか。前に行ったのは東大寺とその周辺程度だったので印象も限定的だった。
今回は、浄瑠璃寺(行政上は京都らしい)、東大寺、法隆寺、飛鳥、薬師寺、唐招提寺と回った。よかった。なるほど世界遺産だと思った。
ぼくは宗教心はほとんどないが、現代の建築とは全く異なる感銘を受けた。見事な仏像とあいまって、特別な力のある空間だ。浄瑠璃寺の住職が、ここは建物自体が仏壇なのだと言っていたが、なるほどと思った。
寺ごとに随分空間のありようが違うのも面白かった。
国宝揃いの仏像も皆さすがに大変な名作。中でも法隆寺の百済観音像の前ではしばし茫然とした。これのためとも言えるような美術館に納まっていて、本来あるべき場にないのは惜しいと思うが、その分宗教性を離れた像そのものの優美さが際立っていた。
飛鳥では、同じ姿を1000年保つことのいかに困難かをまざまざと見た。例えば、最初の薬師寺の礎石は、軒先に洗濯物が下がっている小さな民家の庭先にあるのだ。
これを見ると、法隆寺が1200年前の姿を残しているのは奇跡にも近いと思えてくる。一方で、現在の薬師寺を創建時の鮮やかな色で再建したことがよかったのか、疑問も持つ。1000年という時間は色あせた柱や煤けた天井に積み重なっているというのに。
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