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篠山紀信の『萬野美術』には驚嘆した。

カバーの帯に「渾身の荒技」とあるが、まさに。
掛け軸は木に掛けるは、屏風は草むらに立てるは、皿は池に浮かべるは。
それも、国宝、重文を含む大変な名作ばかり。

床の間に置かれた静かな姿を写すだけでも価値は十分に伝わるだろうが、篠山先生、それではすませない。
信じられないような場に置くことによって、秘められていた力を解き放ってしまった。

女性を撮る時の発想と同じなのだろう。

それにしても、なんというコレクション。
 

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