資料館 ■■■■■解 説■■■■■

 1996年時習祭での舞台劇。つるダヴィ最後のステージということで気合が入った。この台本は記念すべきTAKE1で、決定稿と全くと言ってよいほど違う。暗井茂の役柄が変。あまりにイデオロギーが強すぎた上に長すぎたため、没となったと記憶している。
舞台劇台本
WARほど素敵なお仕事はない
(原題Mission:Impotenz) TAKE1

脚本:暗井茂

PROLOGUE

 ある有名な時代の、ある有名な場所に、チャランポランドとスットン共和国という2つの軍事小国家がありました。もともとは、お中元を贈り合う仲だったのですが、音楽性の違いから仲たがいし、泥沼の戦争を繰り広げるようになってしまったのです。そこで、業を煮やしたチャランポランド国王オッペン小早川は、ついに国最強の特殊作戦部隊シクラメン(Cyclamen)をスットン共和国に送り込んだのだった!

登場人物

 国王 オッペン小早川

 軍服三兄弟の末っ子。なぜかチャランポランドの国王をしている。性格は、彼の過酷な幼児体験が原因なのであろうか、残忍かつ裏声で、好戦的。毎朝6時の寒風摩擦が日課。

 隊長 ハリストス丸山

 国王主催全国交通安全標語コンクールにおいて、『手をあげて 横断歩道を 渡りましょう』という作品を送ったところ、見事金賞。その功績を買われて、シクラメン部隊の隊長に就任。純愛国主義者。

 ハーモニカ兵 暗井茂

 つい先立ってチャランポランド郵便局を一人でさまよっていたところを、軍によって捕獲された記憶喪失の青年。その時所持していたゲームボーイに記されてあった名前のみが手掛かり。失われた過去を求めて今回の作戦に参加。いつの間にか平和主義者となっており、心臓に病をかかえている。

 八百屋兵 チョコボール石原

 300年続いてきた伝統的下町八百屋『八百十』の跡取り息子。スーパーやコンビニに負けてはいられじと、突如シクラメンへの入隊を志願。そのベランメェ調とキュウリの塩もみのスピードには定評がある。

 海兵 ヨージロー

 海で売店を営んでいた兄ちゃん。徴兵された。海をこよなく愛す。

 プール兵 ヒッシー

 プールで監視員を営んでいた兄ちゃん。徴兵された。プールをすこぶる愛す。

 ティッシュ兵 中野凸夫

 チャランポランドの国旗である、白いティッシュペーパーを装備した名誉ある兵士。

 マイク兵 ドナ

 マイク。ニックネームはマイキー。ヒップでキュートなニクいヤツ。

 メカニック兵 山田96

 機械に詳しい。謎の多い人物。

 敵兵士 マック シロー キンちゃん トール

 ナレ カズ君

 敵大統領 暗井茂

 音響 チキン

全体の流れ

前半(12分)
 01 オープニング  ダンス
 02 国王謁見
 03 出撃
 04 ティッシュ休憩 海兵とプール兵が仲たがい
 05 地雷源
 06 敵トイレ占領  海兵とプール兵の和解 国王誘拐の報
 07 前半終了

後半(15分)
 01 後半開始
 02 国王救出    隊長死亡
 03 激戦区      海兵とプール兵死亡
 04 野営地      茂死亡
 05 敵大統領発見 マイク兵死亡
 06 メカ対決     八百屋兵とティッシュ兵死亡
 07 国王VS大統領
 08 エンディング

シナリオ(前半)

アナ 「次は、毎度おなじみ、つるつるダヴィデ像の皆さんです。」
幕開く
OP 『お話出てこい』
BGM 『リスニング用英語テープ』
ナレ 「ある有名な時代の、ある有名な場所に、チャランポランドとスットン共和国という2つの軍事小国家がありました。もともとは、お中元を贈り合う仲だったのですが、音楽性の違いから仲たがいし、泥沼の戦争を繰り広げるようになってしまったのです。そこで、業を煮やしたチャランポランド国王オッペン小早川は、ついに国最強の特殊作戦部隊シクラメンをスットン共和国に送り込んだのだった!」
BGM 『ミッション:インポッシブルのテーマ』
オープニングダンス(約1分)
ナレ 「WARほど素敵なお仕事はない 原題ミッション:インポテンツ ただ今絶賛上演中!」 BGM終了と同時に
照明ON  全員横一列
ナレ 「7月30日。このサウナのような暑さに狂ったセミがイカれたラッパを吹き鳴らす、そんな日だった。俺たち特殊作戦部隊シクラメンは、国王オッペン小早川に謁見し、出撃前の激励を受けた。国王には初めて会ったが、なぜかいつかどこかで見たような気がした。」
国王 「よく来た、皆の者。で、今日は何かあるのか?」
隊長 「国王、御自分で招いておいて、もうお忘れになったのでありますか?我が部隊出撃の激励会であります。」
国王 「おうおう、そうだった。近ごろトマトを食べ過ぎてのう、どうも忘れっぽくていかん。よし、おのおの自己紹介をしていけ。」
隊長 「ハッ!私がチャランポランド特殊作戦部隊シクラメン隊長、ハリストス丸山であります。」
国王 「何や長くてよくわからん。東京特許許キャ局の方が言いやすいぞよ。まあいい。次!」
「僕はハーモニカ兵の暗井茂さ。」以後国王はいちいち相づちを打つ
「おいらが八百屋兵のチョコボール石原でぃ!てやんでぇ。」マイク兵
「ティッシュ兵の中野凸夫です。よろしく。」
「海兵のヨージローだぜ、ベイビー。」
「プール兵のヒッシーだもんね。」
「メカニック兵 山田96 プシュー プシュー」
国王 「そちのことはよく知っておる。」
隊長 「そしてこいつがマイク兵のマイクであります。」マイク兵 礼
国王 「今回の作戦は、わが国の存亡を賭けた名誉あるものである!よって、心して取り組んでもらいたい!では出撃!」
隊長 「あの、まだ作戦内容を聞いていないのですが。」
国王 「今回の作戦は極秘任務である。よって教えることはできん!」
「だけど、作戦を実行するオイラ達が作戦知らねぇってのは奇妙キテレツ大百科ってぇもんだぜ。」
国王 「なるほど。その通りだ。なかなかの説得力。弁護士になろうと思ったことは?」
「てやんでぃ、とっくの昔さ、そんなこと。」
国王 「触れてはならぬ過去を聞いてしまったようだ。」
隊長 「あの、作戦は?」
国王 「おお、そうだった。今回の作戦は極秘である!よって、敵国にばれることがないように、これからいう作戦内容は聞いたらすぐに忘れること!」
全員 「イエッサー!」
国王 「作戦内容!敵国にちょっかいを出して来い!」
皆必死で忘れようとする
隊長 「お前ら、国王のおっしゃった通り、キチンと忘れたか?」
全員 「イエッサー」
隊長 「おい、お前、本当に忘れたか?」ティッシュ兵に質問
「ハイ、今回の作戦の内容が、敵国にちょっかいを出して来ることなど、きれいさっぱり忘れました!」
隊長 「国王、どうやら大丈夫のようであります。」
国王 「優秀な家臣達を持ってワシも嬉しいぞよ。」
隊長 「光栄至極に存じます。」
国王 「よぉーし、出撃ー!」
BGM 『愛はどこへ行ったの』
行進
ナレ 「こうして、我々特殊部隊シクラメンは、祖国のため、正義のため、平和のために戦場へと向かったのだ!」


行進
ナレ 「7月31日。硫酸銅のような空に、入道雲が巨人のようにそびえ立ち、我々を威嚇している、そんな日だった。意気揚揚と出発した我々は、ついに国境に辿りついた。ここを越えたらもう敵国領内だ。」
隊長 「全体、止まれ!」 止まる
隊長 「ここが国境である。ここを越えればスットン共和国である。」
ザワザワ
隊長 「しかし、この国境には無数の地雷が仕掛けられている!」
ザワザワ
隊長 「油断すると、一生サッカーのできない体になってしまう!」
ザワザワ
隊長 「野球もできないぞ!」
ザワザワ
隊長 「しかもここを越えたら、もう二度と祖国の土を踏むことができなくなってしまうかもしれない!」
ザワザワ
隊長 「よってここで国旗掲揚をし、祖国に一応のお別れをしようではないか!」
ザワザワ
隊長 「ティッシュ兵、ハーモニカ兵、前へ!」
ティッシュ兵とハーモニカ兵は中央へ
ナレ 「チャランポランドの国旗はティッシュペーパーであり、国歌はチューリップである。」
隊長 「国旗掲揚!」
ハーモニカ兵 ハーモニカを吹く
ティッシュ兵  荘厳な雰囲気で片手でティッシュを抜き去る
          しかし風がないのでなびかない
隊長 「全然なびかないぞ。メカニック兵!」
メカニック兵 扇風機を持って来てなびかせる
兵士達は戻る この時ティッシュ兵は列の一番端へ
隊長 「よし!続いてティッシュ休憩!」
ナレ 「ティッシュ休憩とは、ティッシュで鼻をかむための休憩である。」
隊長 「ティッシュ!」
隊長は隣の兵士に合図を送る 合図を順々に伝えていく。
ティッシュ兵の隣の兵は、ティッシュ兵のジッパーを下げ、ティッシュを抜き去る
そのティッシュを隊長へ手渡ししていく
隊長はティッシュの匂いをかぐ
隊長 「何かすっぱいぞ。まあよい。諸君見ていろ。鼻をかむ時は、このように愛国心とともにかむのだ。」
鼻をかむ
「愛国心なんてクソくらえさ。」
隊長 「なんだと、ハーモニカ兵。」
「どうしてティッシュで鼻をかむのに、愛国心がいるんだい?」
隊長 「貴様、ティッシュペーパーを、ひいてはチャランポランドを侮辱したな!」
「別にティッシュを侮辱した訳じゃないさ。ティッシュペーパーが国旗だなんて素晴らしいと思うよ。国家なんてティッシュペーパーみたいなものさ。必要な時に備えていつでもそばにあるけど、必要なくなったら捨てられるものなのさ。」
隊長 「自分の母国を捨てるだと?いいか、愛する国のために、愛する者のために命を投げ出す、これこそ最も崇高な行動ではないか!」
「自分を愛せない者が、どうして他人を愛することができる?コップからあふれでた水が、人を愛するってことなのさ。気が滅入っちゃうよ。」
「隊長さんよ、はやくティッシュ休憩しようや。鼻がムズムズして仕方ねぇぜ。」
隊長 「わかった。ティッシュ休憩!」
各自ティッシュ兵よりティッシュを受け取る
隊長 「覚えていろよ、ハーモニカ兵。」
「あんたもな。」
BGM 『    』落ち着いた雰囲気の曲
兵士達はかんでくつろぐ
茂−八−マ メ 海−プ テ 長
「茂さん、あんたよく反抗できたな。」
「ああ。」
「あんた、どうしてこの部隊に参加しようなんて思ったんだい?」
「僕は記憶喪失なんだ。だから過去を取り戻すためにさ。」
「なるほど、でも、暗井茂って名前から察すると、暗い性格だったんじゃあねぇかい?」
「・・・そんなバカなぁー。」 二人で笑う
「でも、この戦争は、正義や平和のための戦争ってゆーけど、どんなもんだねぇ。」
「平和のための戦争なんておかしいよ。多くの悲しみの上に成り立った平和なんて無力なものさ。心の戦争からなくしていかなきゃ何の効果もない。気が滅入っちゃうよ。」
そこへウガーっという雄叫びが!
BGM 『    』危機的な曲
隊長 「どうした!」
「海兵とプール兵がケンカをはじめました!」
「泳ぐんだったら海だー!」
「泳ぐんだったらプールに決まってるぜー!」
大ゲンカ
「海なんて、しょっぱくってアンコンフォータブルだぜ!」
「プールなんて邪道だ!大自然の中で泳げー!」
隊長達は二人を引き離す
隊長 「ティッシュ兵、この二人を引き離しておけ。」
「ハッ。」
ナレ 「戦場における兵士の不安は、迫り来る外部の敵からだけでなく、内部からも沸き起こる。まるで生まれたばかりの赤子のように。」
兵士達は下手側へ行く
隊長 「いよいよ地雷原を突破する。その前に諸君らに再三注意しておきたい!爾来は踏んだ瞬間には爆発しない。踏んだその足を離した時に爆発する。踏んでしまったと思ったものは、すぐさま名乗りでよ!オレが何とか助ける!」
隊長 「よし、一歩一歩慎重に進んで行け!」
BGM 『    』緊迫感のあるもの
数秒後・・・
「隊長!」
隊長 「何だ!?」
「踏んでしまいました!」
隊長 「地雷か!今助ける!」 隊長は走って行く
「いえ、犬のフンです!」 隊長はそのままスライディングごけ
兵士達 「ペーンチ!」 兵士達は地雷のことなんかおかまいなしに無邪気に走り去る
隊長 「おい、待て!」 隊長も走り去る
後に残された八百屋兵は、自分の足の裏の匂いをかぐ
マイク兵 戻って来て
「くさっ。」
八百屋兵とマイク兵も走り去る
ナレ 「兵士達はニックネームをつけるのが好きだ。もちろん八百屋兵のそれは、ウンコとなった。」
BGM 『GIブルース』
行進


行進
ナレ 「7月32日。つまり8月1日。ムンムンとした熱気が行きとし生ける者全ての活力をむしばんでいく、そんな日だった。我々シクラメン部隊敵領に3キロほど侵入。まだ敵とは一戦も交えていない。その静けさが妙に無気味だ。」
隊長 「全体止まれ!」
「どうしたのでありますか?」
隊長 「尿意を催してきた!」 隊長はよがりだす
隊長 「タッチ!」
隊長 ティッシュ兵にタッチ
今度はティッシュ兵がよがりだす
隊長は治る
「ずるい!」 ティッシュ兵 隊長にタッチ
隊長 「上官になんてことを!もう一回タッチ」 しかし何も起こらない
隊長 「タッチ タッチ タッチってば!」 やはり何も起こらない
ナレ 「タッチは一人一回までです。」
隊長 「何たること!」
「隊長 近くに 敵のトイレ施設が あります。」
隊長 「よし、そこを占領するぞ!出発!」
行進
BGM 『    』勇ましい音楽
ナレ 「戦場では、生活必需品の現地調達は常識である。トイレもその例外ではない。」
敵兵はとび箱を用意しながら入場 マック−シロー−キンちゃん
シクラメン部隊は一旦下手へ
ナレ 「鬱蒼とした茂みの中に、そのトイレはあった。この炎天下の中を何も言わずに灰色の顔をして立ち続けているそのトイレには、一種のノスタルジックなものを感じた。」
シクラメン部隊 下手よりそっと入場
「敵は三人だけのようです。」
隊長 「クー!あんな気持ちよさそうな顔をしおって!よし、作戦通り行け!」
BGM 『2001年宇宙の旅』
ナレ 「遂に敵と刃を交えることになった。部隊の士気のためにも何とか初戦を首尾よくsませたい!」
ティッシュ兵  そっとマックに近づく 音楽とともにグサッ
          そのまま下手へひきずっていく
メカ兵      同様に シローを
八百屋兵   バナナの皮をむきながらキンちゃんに近づく
         音楽とともに近づき バナナをたべさせる そのまま下手へ
隊長 「我 敵トイレを占領せり!」
BGM 『ヘルプ エンディングテーマ』
全員喜びまくる
そこへ そこら辺に倒れていたキンちゃんがフラフラッと立ち上がり
海兵に銃を向ける スポット
スガーン! 一瞬の沈黙 そしてキンちゃんは倒れる
スポットはプール兵へ プール兵は銃を構えている
「プール兵・・・オレを助けてくれたのか?どうして?」
「海でもプールでも、泳ぐことに変わりはないと思ってね。」ハードボイルドに
「プール兵!」 駆け寄る
「海兵!」 駆け寄る
BGM 『男が女を愛する時』
海兵とプール兵はお互いに抱きしめ合う
兵士達は奥の方で感動のダンス
ナレ 「戦争は破壊行為だ。しかし時にはこのような美しい光景を生む。この二人を見て目頭を熱くしない者がいようか!二人の将来に乾杯!」
そこへピーピーという音
全員 「はい。」 全員おもむろに携帯電話っぽい物を取り出す
隊長 「すまん、俺だ。はい、ハリストス丸山ですが。」
ナレ 「シクラメン部隊か?」
隊長 「おっ、司令長官。ちょうどいいところに。ただ今スットン共和国軍トイレを占領いたしました!」
ナレ 「結構。だが、こちらは悪い知らせだ。本日未明より国王がいなくなった。」
BGM 『    』ドッキリする音楽
隊長 「何ですと!?」
ナレ 「司令部では、スットン共和国に拉致されたものと見て調査中だ。まだ、その旨の声明は発表されていないが。」
隊長 「国王が・・・。」
ナレ 「我が軍のベリースーパーコンピューターによると、国王はスットン共和国領内4649の3AS地点にある建物に監禁されている可能性が高いらしい。君達の現在地のすぐ近くだ。そこで至急その建物を偵察、国王を発見次第救出してもらいたい。」
隊長 「わかりました。早速目的地へ出発します!」
ナレ 「スットン共和国に拉致されてしまったオッペン小早川国王。その救出に向かう特殊作戦部隊シクラメン。まだ一言もしゃべっていないマイク兵。この先、どういう展開が待ち受けているのだろうか!?エンディングへ続く!」
BGM 『    』

シナリオ後半

アナ 「次は、つるつるダヴィデ像の皆さんです。」
幕開く
OP 『お話出てこい』
BGM 『リスニング用英語テープ』
ナレ 「チャランポランドとスットン共和国の絶え間ない戦争に終止符を打つべく派遣された特殊作戦部隊シクラメンは、敵国のトイレの占領に成功したものの、国王の受難の報を聞き、その救出へと向かったのだった!」
BGM 『ミッション:インポッシブルのテーマ』
再びダンス
照明ON
BGM 『雨の音』
ナレ 「8月2日。弾丸のような大雨が地表の全てのものを洗い流そうとする、そんな日だった。ドス黒い雲が雨とともに我々を上から押さえつける。どうみても我々を歓迎しているとは思えなかった。何とか国王が監禁されているという目的地に到着したが・・・。」
傘をさしてシクラメン上手より登場
敵兵二人でゲートをつくる
残りの二人がそのゲートを守備
隊長 「あれが国王の監禁場所の入り口か。」
「守備兵は二人だけのようです。」
隊長 「やけに少なくないか?本当にここなのか?」
「竹やぶに1億円をしまう作戦さ。」
「つまりカモフラージュってヤツか。」
隊長 「まずは守備兵をやっつける。海兵、プール兵、頼むぞ。」
すっかり仲良くなった海兵とプール兵は
協力して敵兵二人を倒す
隊長 「よくやった。ではさっそく潜入するが、まずはオレが偵察してくる。お前たちはここで見張っていろ。いいな!」
兵士 「イエッサー!」
隊長 慎重にゲートをくぐる
隊長 「フッフッフ、こんな名誉な任務、ヤツらに任せてはおけん。国王救出なんて勲章もんだぜ。」
密かな野望を抱きながら下手へ退場
その瞬間 上手より国王オッペン小早川が登場
BGM 『    』
「国王!どうしてここに!?」
国王 「昔の血がたぎってのぉ。ワシも作戦に参加しようとコッソリ抜け出してお主達の後を追ってきたのじゃ。」
「じゃあ、隊長が入って行ったこの建物は?」
「スットン共和国国立動物園ライオンの檻のようです。」
その時 ライオンのうなり声とともに叫び声が!
ムシャムシャ食べる音も
ナレ 「隊長ハリストス丸山は殉職しました。」
国王 「よろしい。これからこの部隊の指揮は、このオッペン小早川がとる!進撃あるのみ!すすめぇー!」
BGM 『    』勇ましい曲
ナレ 「事態は急展開をみせた!部隊は狂ったように敵国内部へと猛進をつづけ、走る、走る、走る!走る国王、揺れる胸板、吹き抜ける風、転ぶ海兵、助け起こすプール兵、響くハーモニカ、ジャンプする国王!そしてついに激戦区に迷い込んでしまった!」


敵兵はとび箱を適当に配置 その後退場
兵士達はとび箱の影に身を隠す
海−プ 茂−メ−テ 王−八
BGM 『戦闘風景』
「国王、ここは激戦区じゃあねぇか!」
国王 「鋭い洞察力!名探偵になろうと思ったことは?」立ち上がる
国王 「ウワアァー!」倒れ込む
全員 「国王!」八百屋兵 助け起こす
国王 「ついつい立ちくらみがしてのぉ。」全員ズッコケる
その後 激戦を繰り広げる
国王 「ティッシュ兵はおらぬか!?」激戦中
「ハッ。何でございますか?」
国王 「無性に鼻がかみたくなった!ティッシュ!」
ティッシュ兵 ティッシュ箱を投げる
国王 鼻をかむ
国王 「今度はジュースが飲みたくなった!ジュースを持って参れ!」
ティッシュ兵 下手へジュースを取りに行く
しかし銃弾が激しくて 国王にジュースを渡せない
「国王!ダメです!攻撃が激しくて!」
国王 「このストローを使え!」
あらかじめ用意されていたストローの一端を投げる
無事ジュースを飲む
国王 「さわやかになる一時じゃ。」
再び激戦
ここで海兵がやられる
BGM 『    』インドっぽい曲
死の踊り
「海へーい!」
「ヒッ、ヒッ、ヒッ。」息絶え絶え
死ぬ
「海へーい!」泣く
「よくもー!」消火器を持って飛び出す
「やめろー!」
プール兵もやられる
BGM 『    』サンバっぽい曲
プール兵 倒れる
「だめだ、死んでる。」
ナレ 「ああ、運命の女神とはなんと残酷なものであろうか?この二人を結びつけた時に見せたあの笑顔には、こんな冷酷な結末が隠されていたのだ。我々は、彼女の気まぐれに黙って従うことしかできないのだろうか!」
「こんな戦争、狂ってる!人間同士が殺し合って何になる!戦争なんてクソくらえだ!」
国王 「早まるな、ハーモニカ兵。戦争はいいぞ。」
「何だって!?」
国王 「考えてみろ。人類は戦争とともに発展してきたのだ。戦争は科学技術の発展を促してきたのだ。今日の我々は、戦争があったらばこそ存在するのだといっても過言ではない!」拳を握って力説
「発展なんて必要ないのさ。」
BGM 『イマジン』あたりを
「確かに戦争は発展を生んだ。でも、発展が何を生んできた?また戦争を生んだんじゃないか。よりひどい戦争をね。発展なんて100点満点中8点さ。発展なんかしなくていいんだ。例えば、もし君が10年ぶりに故郷に帰ってきた時、故郷が目覚しい発展を遂げて、すっかり変わってしまっていたらどう思う?思い出の場所が全く別のものに変わってしまっていたら、きっと悲しくなるだろう。一番大切なものは何も変わってほしくないものさ。発展なんていらない。これ以上悪くならなければ、それで十分なのさ。だから戦争なんて何の利点もない。気が滅入っちゃうよ。」歩きながらシェークスピアっぽく
国王 「どこの国の子守歌だ?」
「国王!そろそろやばくなってきましたぜ!」
メカ 「敵の主力部隊が近づいて来ます!」
国王 「何だと!どのくらいだ!?」
メカ 「戦車6台にヘリ3機、トラック10台に兵士3000人、柔道4段、合気道3段、6ヶ国語を自由自在に話し、・・・。」
国王 「もうよい、何かすごいことはよくわかった。」
「早く逃げるべきであります。」
国王 「尻尾を巻いて逃げ出せとでもいうのか?ワシは断固戦う!」
「しかしもう武器はこれしか残っていません!」
掃除機を取り出す
国王 「これでは話にならん。ゴミセンサーがついておらん!よし、退却!」
BGM 『    』逃げる音楽
ナレ 「こうして我々シクラメン部隊は一旦退却することになった。しかし、進撃するよりも退却する方がはるかに危険を伴う。今や我々は下り坂を一気に下り降りた三輪車のようになってしまった。引き返すことの困難は、火を見るより明らかだ。」
BGM終了 照明OFF スポット使用


ナレ 「8月3日夜。漆黒の闇が目に見えるもの全てを塗りつぶす、そんな夜だった。月を捜したのだが、どこにも見当たらなかった。我々は臨時のキャンプを張り、敵の攻撃におびえながらの不安な一夜を過ごすことになった。」
BGM 『ふくろうの鳴き声』
国王 「見張りは1時間交代だ。まずはワシがやるから一時間たったら呼びに来い。」
国王退場
テ−メ 茂−八
「はーああ、オレは明日の今には、この世にいないかもしれないんだよなぁ。」
「プシュー」
「大活躍して、大手柄をたてて、パパやママを楽にしてあげようと思ってたのに、生きて帰れなかったら元も子もないようなぁ。」
「プシュー」
「やっぱり普通が一番だよなぁ。普通の生活が一番幸せだ。」
「プシュー」
「茂さん、実はオレっち、国に女房がいるんですぜ。へへっ、別にどうってこともない女房ですがね・・・オレがいない間に浮気でもしてねぇかと心配で。」
「愛とは、自分の受け取る愛の量とは、結局、自分が与えた愛の量に等しいのさ。結局そういうものなのさ。」
「そうですね。何か元気が出てきました。早く平和な世の中になるといいのになぁ。」
「愛のない平和なんて平和じゃないし、平和のない愛なんて悲劇を生むだけさ。これから生まれてくる子供達のためにも、LOVE&PEACE、ウッ」
ここで茂 むせる
「どうしたんですか、茂さん!」
「ウウッ、持病の心臓病が・・・。」ゴホッ
「茂さん!」
ナレ 「いつの間にか茂の体をむしばんでいた心臓病は、ついに茂の命自体の破壊に取りかかり始めたのだ。」
国王 「どうした!何があった?独り寝が寂しいか?」
「ハーモニカ兵が発作を起こしました!」
国王 「何!」
全員 茂に駆け寄る
国王 「救急車を呼べ!」
メカニック兵とティッシュ兵は担架を持ちに行く
ナレ 「しかし、その時、極限状態にあった暗井茂に異変が起こった!その迫り来る死への恐怖が、彼の過去の記憶を呼び覚ましたのだ!」
「そうだ、ぼ、僕、暗井茂だった。」
「茂さん!」
「うわ、君誰だい?」
「茂さん、オレさ、八百屋兵のチョコボール石原だぜ。忘れたのかい?友達だったじゃねぇか?」
「えっ、僕に友達?」
「どうしちまったんでぃ、心臓はいいのか?」
「そう言えば痛い。いたたたた。」
その時 担架が来る
国王 「早く乗せろ。」
「待ってよ。僕には、やらなきゃいけないことがあるんだ。」
「べらんめぇ、じっとしてろ。」
「茂ギャグをしないと・・・。」
茂 ヨロヨロ立ち上がり中央マイクへ
兵士達は心配そうにフォロー
BGM 『    』チキンの曲 オーオーっての
「僕は、一年の文化祭の時から新歓、文化祭に連続して出場して来た。今回で舞台に立つのは5回目になる。割と豪快なことだと思う、グハッグハッ。」
「茂!」
「大丈V。ところで、僕は先日、残念なことを聞いた。本当に残念じゃんねぇ、なんちゃって、ウゴホッ。」
国王 「せきを人に向けてしてはいかんぞ。このようにな。ゴホッ。」茂にかける
「ウヘッ。」よろける
「なんと、来年から・・・。」
国王 「来年のことを言うと鬼が笑うぞ。このようにな、ワッハッハ。」
「新入生歓迎会がなくなる予定らしいんだ。し、新歓がなくなるなんて、けしんかんらん、とかね、ウガハッ。」
「はい、ティッシュ。」
「ウウッ、最期の茂ギャグを・・・。」
「もうやめろ!これ以上しゃべると・・・。」
「どうしても言わなくちゃならないんだ。」
「でも!」
「さ、最期の茂ギャグ・・・し、心臓の音が・・・しん・・・ぞうぅぅぅ・・・。」
茂 倒れる
「茂ー!」
国王 「肉の塊と化したか・・・。」
ナレ 「こうして、とうとうハーモニカ兵、暗井茂もその波乱万丈の人生の幕を閉じた。今でも時々耳を澄ますと聞こえてくる・・・あのハーモニカの音が・・・。」
「夜明けだ・・・!」
照明突然ON
BGM 『鶏の鳴き声』
ナレ 「長かった夜も明けた。生まれたばかりの太陽は無慈悲にも死んだばかりの茂の体を照らし出した。」
全員整列
国王 「今日は諸君らにひとつの提案をしたい。このまま敵に苦湯を飲まされたままでチャランポランドに帰ると、ワシの個人的事情からもちょっとイヤである。よって今から何か大手柄をたて、その後堂々と国に帰ろうではないか!」
「もうやめましょうよ、帰りましょうよ。」
「大手柄っていったい何でぃな!」
国王 「例えば、敵の大統領を捕まえるとかだ。」
「そんなことできるはずねぇぜ!大統領がそこら辺をうろついてる訳じゃああるめぇし。」
そこへ上手より誰かが来る
国王 「やばい!隠れろ!」
いそいで隠れる
上手より敵大統領とその部下数名登場
大統領 「名月や 池を巡りて 夜もすがら」
大統領達 立ち止まる
「あれは敵国大統領、ヒッポリタンシュテット1.5世です。」
国王 「なんという幸運。ただちに捕えるぞ!」
国王 飛び出す
国王 「やぁやぁ我こそはチャランポランド国王オッペン小早川なるぞ!お主はスットン共和国大統領ヒッポリタンシュテット1.5世と見たり!一国の大統領でありながら、こんなところをうろつくとは大油断!ワシが捕まえてくれるわい!」
ナレ 「彼は、自分も同じ立場であることを理解していない。」
部下 「大統領、お下がりください!」大声で 大統領一時退場
しかし部下達にマイクは用意されていないので、声がとどかない
ナレ 「大統領の部下達にマイクはありません。」
マイク兵がムズムズしだす
「やめろ!マイキー、行くな!」
マイク兵 敵の部下の方に走り出し、部下のそばでポーズ
マイク兵 撃たれる
全員 「マイキー!」
「このー!」八百屋兵 大根を銃にして攻撃
ティッシュ兵もティッシュ箱を銃にする
SE 『銃の音』
敵部下倒れる
「マイキー!」
全員マイク兵のもとへ駆け寄る
「駄目だ。即死みたいだ。」
「マイキー!」泣き崩れる
国王 「ポッケに何か入っておるぞぃ。」取り出す
国王 「これは、ポエムのようだ。読んでみよう。題名『もし俺が戦場で死んだら』」
BGM 『    』悲しげな曲
国王 「もし俺が戦場で死んだら/故郷の皆に伝えて欲しい/俺はベストを尽くしたと/もし俺が戦場で死んだら/可愛いあの娘に伝えて欲しい/楽しい思い出抱いて行くと/もし俺が戦場で死んだら/親しい友に伝えて欲しい/銃に向かって俺は死んだと/もし俺が戦場で死んだら/俺の墓に名前はいらない/ただ一人の男が生き 戦い そして死んでいったと刻んでくれ」
「あいつ、色々考えてたんだなぁ。」
国王 「流した涙の数だけ強くなれるのだ。さあ、涙を越えて大統領を追いかけるぞ!」
そこへ大統領登場
国王 「おっ、よくものうのうと帰ってこれたな。」
大統領 「ほっほっほ、強力なボディーガードを連れて来たからのぉ。」
大統領 手をたたく
上手より ターミネーター登場
大統領 「ほっほっほ、わが国の最新兵器、ミルクティー1000じゃ!」
BGM 『    』危機迫る曲
大統領 「ゆけ!」
ターミネーターゆっくりとシクラメンに近づく
八百屋兵とティッシュ兵は必死に銃を撃つが効果なし
頭を鷲づかみにされて二人ともガツンとやられ、気絶
国王 「甘い!こちらも最新兵器があるのだ!メカニック兵、行け!」
メカニック兵 ターミネーターに近づく
ナレ 「なんとメカニック兵は機械だったのだ!メカVSメカの対決が始まる!」
BGM 『ミッション:インポッシブルのテーマ アレンジ』
二つのメカ どんどん近づき ガッチリ組む
BGM 『オクラホマ・ミキサー』
二つのメカ 踊って退場
国王 「どうやら引き分けのようだな。」
大統領 「そのようですのぉ。」
国王 「こうなったらこの戦争、お互いのナンバー1同士が直接対決するより他はないようだな。」
大統領 「私も今そう思っていたところじゃ。」
国王 「勝負!」
大統領 「勝負!」
二人は退場
ナレ 「ただ今武器を持ちに行きました。しばらくお待ちください。」
二人はビームサーベルを持って入場
BGM 『    』クライマックスティックな曲
照明暗く
激戦の開始
舞台の下も使っての戦い
二人が舞台の下で戦っている時 舞台上では手品ショー
何とか決着がつく
BGM 『    』エンディング
エンディングの大団円
BGM 『お話出てこい』
終わり
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