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「「「村を去る」」」
昔二人で見た小川の小石 キラキラ光る水面揺れる
小さい魚の幾匹かが 流れに逆らい泳いでく
自転車で抜ける田んぼ道 春は一面レンゲ畑で
ヒラヒラを舞っている蝶々と 冠を作る女の子
去る
僕はこの村にはもう戻らない
沈む夕日と群れるカラスを見上げ追い越す電車
遊び疲れたら二人で寝てた 神社の木の下で足止める
セミ鳴く木陰があの時よりも 心なしか小さく見えた
行く
僕はこの村にはもう戻らない
駆ける子供とご飯の匂い混じらせ昇る煙
梅の季節は過ぎタンポポ咲いて 野良猫陽だまりで丸くなる
ポカポカした静かな陽気の中で 二人の子供が遊んでる
今
山に囲まれて赤く沈む陽に
心打たれて君が去る前の日々を思い出す
タンポポの綿毛フッっと吹いて 小さな未来達を広げる
昔よりも遠くの方へ 山の向こうへと飛ばしてく
ああ
僕はあの頃にはもう戻れない
揺れる稲穂と赤い光を浴びて飛び交うトンボ
あの頃約束した空き地 来ると願いあの子を待ってみる
何年も前にした約束だから 覚えているはずもないのに
もう
僕はこの村に思い出だけ残し
荷物まとめて夜行列車にまさに乗り込む時間
村を去り都市の中に居ても きっとあの村と君を想う
紅色に染まる夕日が山に ゆっくり沈むのを見るたび
去る
僕はあの村にはもう戻らない
切れた絆と街へ去る君の姿探すために
いつの日か再び会って一緒に夕日とか見たいね・・・
by.【No.78】ぶるげ ('00,12/7 up!)