FEEDBACK

<注:イベントの内容と絵は関係がありません>
なんか、ひさしぶりにミニマル系のテクノを聴きに行きました。前回いった時、「ああ、こりゃあ小乗仏教だわ」と思って、こっちは趣味できてるのに快楽を得るのにあんなに修行せなあかんのやったらええわ、ということで、最近遠ざかっていたんですが、なんか、こんどTOBYっていう、Mijk van DijkのミックスCDを作ったDJが来るということで、なあんとなく足を運んでみました。そのmulti-mijkというCDはわりと色がついているというか、ストイックすぎるところがなくて、素人の私でも気持ち良くなれるので、一時期良く聴いてました。
行ってみたら、なんか、前よりだいぶサービスがいいというか、私のような門外漢でもわりとわかりやすい音になっていて助かりました。わたし、ミニマル系のテクノを聴く度にいしいひさいちの「B型平次捕物帖」というマンガを思い出すのですが、これが「親分、てえへんだ、越後屋に押し込み強盗が!」ではじまるめちゃめちゃ似たような4コマを102本並べてある本です。これがじつは一つ一つを単品で見るとそんなに面白くない。単行本になって一定のリズムで延々とリピートされることによって、妙に笑えてくる、というものです。ほとんど記号としてしか機能していない絵といい、4の倍数できっちり規格にはまっている点といい、なんだか似たような原理を使ってやがるな、といつも思います。あ、ついでに深夜のテレビショッピングも似てるな。
少し前、アメリカの数学科の修士課程の学生さんで、趣味でsaxを吹いているという人と喋る機会があったのですが、そのとき話題にのぼったのが、グルーブって一体なんなんだ、という話でした。そのひとは生楽器を吹いている立場上、テクノなんてあんな退屈なリズムの音楽のどこがいいんだ、というような話をしていたんですが、私はあれはあれで別の種類のグルーブがあって気持ちいいよ、と主張していました。そういえばStones の satisfaction でも Primal Scream の Rocks でも、うまい人がたたいているドラムというのは単純なパターンでもかっちりタイミングをあわせたドラムマシーンの演奏とはどこか違うところがある。あれはいったい何が違うんだろうか。心拍数なんかは、間隔を取ってフラクタル解析をしたりする方法があるし、ああいう生リズムがいったいどういう特性を持っているのか、解析してテクノとかのリズムに応用できないだろうか、とか、そもそも、今目の前ででかいスピーカーでがんがん音をならすとキックの音にあわせて人間が単振動しているけど、あれはそもそも何をしているのか、PETとか使って頭のどの部分が働いているのか調べられないのか、そもそも、ああいうのは新皮質を使っているのか古皮質を使っているのか、犬とかマウスにJeff Mills の曲を聞かせたらやっぱり踊るのだろうか(早回ししないといかんだろうけど)、とか、取り留めのない話をいろいろしていたのを思い出しました。こういうのをやっている人がいないものかと「コンピュータと音楽」という分厚い本を買ってきて読んだことがあるんですが、リズムに関しては「リズムトラッキング」とか、音楽から拍子を自動的に認識して、ステージの照明制御だとかに使おうという話しかなく、なんだか、踊らない人の発想だなあと思いました。
で、あと、初心者の素朴な疑問なんですが、テクノのDJの人ってCDを使わないのでしょうか。メロディとかに依存するところの少ない音楽だから、一つ一つの音の音質が結構大事になってくると思うんですが、なんでレコードを使ってるんでしょうか。単純に見栄えでしょうか。なんかミックス技を使いたいっていうんだったら、パソコンに取り込んでおいていろいろ処理できると思うんですが...私の知り合いの某Beatles専門(笑)DJは、そのイベントでただ一人CDを使うんですが、変わり目に明らかに音質がクリアになるのでなんだかそれだけで盛り上がることが多いです。(選曲もがんばっているんですが)
肝心のゲストDJの方は...実は、TOBYがどの人だか良く分かりませんでした。すみません。メインのドイツから来たDJの人は、ああ、いろいろと小技を使ってるなあ、というのはわかったけど、素人の私がハッキリと分かる程気持ちいい音でもなかったです。ううむ。まだまだ私は修行が足りないようです。