ADAM

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 私最近、肺の発生の研究をしていまして、ちょっと他の種の事も知りたくなったので、人づてで某先生(男性)を紹介してもらいました。で、メールで質問してみると、とても親切に色々と教えてくれました。おお、いいコネクションができた、と喜んでいたのですが、8月の上旬に「このメールアドレスはすぐに使えなくなります。こちらから連絡するまでメールは出さないで下さい」という一行だけのメールが来たのち、音信不通になってしまいました。大学のホームページからも名前が消えていて、別の大学に移ったんだろうか、と、しばらく忘れていたのですが、先日新聞を見ていたら「金沢大学医学部助教授、男子学生にセクハラで解雇」の文字が。あ、と思って、色々と情報を集めてみたら、やっぱりその先生でした。なんということだ。研究室に夜遅くに忘れ物を取りに来た男子学生を全裸にしたとか、飲み会で複数の生徒にキスを強要したとか、新聞に出る前から方々の掲示板で話題になっていました。ううむ、やけに親切だと思ったぜ。同じ学会に所属していたし、「じゃあ、会った時に一度お食事でも」等と誘われていたらヤバい事になっていたかも。まあそれはいいとして、もっと色々と聞いた後で捕まってほしかったな。勿体無い事を。しかしあの人、もうこの世界に復帰するのは難しいかな。学問と人格は関係ないし、不倫がもつれて傷害事件、ぐらいだったら何となく復帰できそうな気がするんですが、この件に関してはちょっと話が面白すぎる。わたしも同情する前に思わず周りに喋りまくってしまったので、まあ、彼の学者としての未来は暗いと思います。

 で、久しぶりに新しいイベントに行って来ました。といっても、ここのDJが出ているイベントには何回かいっていたので、まあ音は大丈夫だろう、という事で、最初から安心しておりました。入ってすぐにスピーカーを背にして音を浴びたら、おお、後頭部に風が当たる。すっかり嬉しくなって、取り合えず酒を呷ってからスピーカーに張り付いておりました。ああ、テクノですねえ。それも、あまり実験的ではなく、きちんと気持ちいいとわかっているスタンダードな音を出しているように感じました。ははは。この間ひさしぶりにVirgin Megastore にいったときに視聴した Technasia のCDを思い出した。ようは中国のテクノイベントなんですが、とにかく煽る、煽る、煽る。私はさすがに体力が続かなくてしんどかったんですが、この手の音を知ったばかりで新鮮な感覚を全力で楽しんでいる様が伝わって参りました。そういう感じで、よう知っている人には刺激が少ないのかもしれませんが、値段の割にきっちり楽しませてくれるということで、お得ではないかと思われます。メインのDJの人がその辺をうろうろしていたのですが、なんか誰かと雰囲気が似ているな、と思ったら、あ、永平寺の坊さんだ。この手の音楽に関わっている人って、どこかストイックな感じの人が多いけど、なぜなんだろうか。音自体は欲望全開なのに。

 VJもついていて色々画像を流しているのですが、これも標準的な感じの絵でありました。べつに悪くはないのですが、一昔前の未来像ですね。音には合っているのですが、なんかどうも既視感が、とおもったら、テクノ自体が「一昔前の新しい音楽」なんだろか、とちょっと寂しくなりました。ちょっと前に、一世代上の人と喋っていた時に、テクノという言葉にロマンを感じていた事が伝わって来て、ああ、私にとっては只のジャンルの名前だ、言葉の風化するのは早いものだ、と無常感を味わった事を覚えております。常に新鮮でありつづけるというのは無理なのかな。学問でも分野のライフサイクルというのがあって、最初は小さいグループで周囲の無関心と戦いながら面白い仕事をどんどん出していくのですが、ある時期を過ぎると老化が始まって、分野が有名になるかわりにあんまり創造力のない人が大量に参入して来て、論文の数は増えるけれども大発見は減ってきます。やがてもうこの分野は美味しくない、という事で人が減って行って、最終的にコアな人たちが細々と続けて行く、という感じなのですが、ある対象が面白い、という動機でサイエンスをしていると必ずこのような波をかぶります。それとは別に、単純に目立つのが好き、というだけでやっている人もいて、そういう人は次は何が来るか、と嗅覚を働かせてそちらに群がって行きます。私は基本的に前者のスタンスが好きなんですが、私が今やっている分野って、現在の所人が少なくてたぶん立ち上げの段階にあります。本人は面白がっているけど、やっぱりあっという間に風化してしまうのかな。それ以前に、流行りもしないかもしれん。ああ。

 一人目のDJが終わった後、フランス人(?)のDJになったのですが、おお、割と上手い。しかし、途中でラテン系の生っぽい曲を挿入していたのですが、そこだけどうも音が悪くて、やはり得手不得手というのはあるんだな、と思いました。そのあたりで1:30頃になって、さすがにあまりかみさんを放っておくとまずいので、結局残りは聴かずに帰ってしまいました。ああ、勿体無い。