Club K(嘘)



 ちょっと前、バイトの空き時間に近くにあったツタヤに入ったら、ビデオそれぞれに手書きの解説がびっしり細かく書いてあって、なかなか力が入っているので思わず読みふけってしまったのですが、これがもろにrockin' on 文体でした。なんだか、あんまり友達もおらず、汚い四畳半でひたすら自分の感性だけを信じてせこせこと画用紙に細かい文字を書き連ねているさまが想像されて、がんばれよ、と肩をたたきたくなる衝動にかられました。なんか、rockin' onの読者って、対人関係が苦手で、青臭くて、しかし衝動だけは人一倍持て余している、という、なんか若者に特有の類型があるように思うのですが、本日はそのrockin' on のライターの梯 一郎のイベントです。

 rockin' onという雑誌は一種太宰治的な所があって、若い頃の一時期はまるけれども、大体何となく卒業する、という感じがありますが、実は私ごく最近まで毎月買っておりました。しかし、だんだん西原理恵子のマンガと渋松対談しか読まなくなって、ここ数カ月は買っていません。これは自分が変化したのか、紙面の方が編集長が変わってつまらなくなったのか、よく分かりませんが、このようにごく最近まであの文章からエネルギーを補充してもらっていた所があって、あんまり冷静に接することができません。

 しかし、実は私この梯 一郎という人の文章はあまり好きではなく、なんでかなとつらつらと考えた所、肉体性を協調し過ぎて渋谷陽一なんかの魅力であるロジカルな部分がないためかと思っています。渋谷陽一というおっさんは、理屈っぽい癖にアジテーションのオクタン価が高いと言う不思議な文章を書くのですが、それと比較するとどうしてもヤンキーの昔の自慢話っぽく聞こえてしまう。だからといって本人の価値やイベントの質が悪いと言うわけではなくて、実はこれ去年も行ったのですが、選曲と言い運営と言い実に見事でした。さてさて今年もあの盛り上がりを再現してくれるのか、しかし、いまどきニルヴァーナとかストーンローゼズとか言っているのは何とかならないのか、とか、「rockin' on 的洋楽シーン」というのがあって、なんだかそれがちょっと時代から遅れつつあるのではないか、とか、いろいろ考えつつ行ってみたら、日にちを間違えていて、昨日でした。がん。

 しょうがないのでとりあえず今日のイベントに入ってみました。TRIVAL DRIVE っていって、なんかHYPER ASIAN CAFE と書いてあるので、昔やってた亜細亜倶楽部みたいに変な屋台が出てバックにアジアンポップスがかかっているのを想像していたのですが、全然違って、何かシタールの生演奏をしていました。

 とりあえず、チャージの割に妙に人が多かったので、後ろの方のVJブースを覗いてみました。マックを2台つなげて、motion diveとか言うソフトで画像を制御しているみたい(上図)で、取りあえずなかなか質は高いのですが、やっぱりなんかものたりない。なんでか考えていたのですが、 というようなところでしょうか。まあ、この人たちはソフトのエンドユーザーだから、しょうがないんですが、動画のタイミングにあわせて何か目印を入れておいて、ビートトラッキングの技術でリズムを検出して、自動的に音と同期させる、というぐらいのことはできないもんでしょうか。とりあえず、あのMacAmp についてくるデモみたいなのを使ってみたらどうかと思うんですが、まあ、知らないだろうな。

 あと、入った瞬間に気がついたのですが、お客さんがほとんど内輪っぽい。なんでかと言うと、 ということで、取りあえず音とビジュアルの質に引かれて金を払って集まる、と言う健全な市場主義が働いていないように感じ、この人たちは、なんだか敵味方で言うと敵だな、と認定し、あんまりフロアに出ずに隅っこの方でじっとしていました。多分、どこかの芸大の内輪イベントだったのでしょう。次に出てきたDJも、なんか今風は今風だけどその人独自のものがなく、要するに何か表現したいとかお客さんを楽しませたいとかではなく、自分がカッコイイことをしたい、と言うのがメインテーマなんだな、ということで、1時間弱で出てきてしまいました。まあ、文化活動にカンパしたと思ったらいいか。しかし、今日の結論:金返せ。