マイホームパパのひとりごと

私はいままでの人生で12回目の引越をしまして、1996年7月に一番最近の引っ越ししたときに、こんな文章を書いていたのがあったので、引っ張り出してきました。



今回は私に取ってははじめて購入したマイホームでして、しばらくここにすむことになるでしょう(私は引越が大好きで、一所にじっとしているのが性に合わないのだが、持ち家となると そう簡単に引越するわけにもいかなくなるでしょう)。

あと10回くらいは引越して、世界中をさまよう覚悟はあったのだが、、、、

波瀾万丈、流浪の人生を送るつもりでいた私の人生に、マイホームなどとゆう小市民的な持ち物はいらないはずであるが、私の放浪癖を見抜いた妻が私を定住させるために 家を買うように圧力をかけたのも一つの理由です。

こんなプチブル的な生活をしていていいのかと自責しながらも、庭のテーブルにペンキを塗りながらビールを呑み、横で息子が遊ぶのを眺めたりしてると、まあこんな生活も悪くないかと思い直す毎日です。

さて私はマイホームを持った訳だが、なにか物足りないものがある。

はてなんだろうなとおもったが、畳がないことに気が付いた(これも当然だが、ここで畳など入手出来ようはずがない)。

暑い夏の日に窓をあけて蚊取り線香を焚きながら、畳の上でごろ寝するあの快感。枕などは使わずに座布団を二つ折りにして寝るのが良い。

昼寝しておきると頬に 畳の跡がくっきり出てたりしてむずがゆい、あの快感を味わいたい。

哀れなわが妻はこの風流を理解しない。

今から10年くらい前に、小林克也が主演する「逆噴射家族」とゆう映画があった。小林が演ずるサラリーマンパパは郊外に念願のマイホームを買い、新居に入るなり最初にする儀式は畳に頬ずりするシーンであった。
こうなったら日本から輸入してでも、たとえ1畳でも畳を買ってやる!

近頃の日本の若いもんはわざわざ畳を引っぺがして、フローリングなどとゆう洒落くさい板をはるそうだが(説教おじさんみたいになってきたので、このへんでやめとくが)、私に言わせりゃ「何と勿体無いことをするのじゃ」。

畳をかったらやはり、ほしくなるのは、ちゃぶ台である。実際に今の日本でちゃぶ台など置いている家庭はそもそもマイノリティであろうが、日本の父親を演出する上ではなくてはならぬものである。機嫌がわるいときに、このちゃぶ台を「でぇーい」といってひっくり返して漬物が転がってゆく光景を演じてみたい。

それから掛け軸も欲しいな。草書体で誰が見ても読めないような怪しげな文字で、床の間がないから壁につるす。

夏場はあと、ブタの形の蚊取り線香焚きが必須アイテムである。そして定番の南部風鈴がぶら下がる(縁側がないのでバルコニーにつける)。

そしたら冷えたスイカを四つ切りにしたやつをがぶがぶ食う。

こんな夏をあじわってみたいなあ。でもこのなかで当地で入手できるのはスイカだけだな、グッスン。1996年夏