都市の顔【Scenes in the city】
Scenes in the city というのは、ジャズサキソフォニストの、ブランフォード マルサリス(ウィントン マルサリスの弟、ライブ聞きにいきましたぜ)のアルバム名ですが、今日のお話は、街のもつ顔について。
ヨーロッパに移る前、東京に住んでいた私にとって、最初に感じた事は、ヨーロッパの街は、なぜこんなに、小さいのか?という疑問だった。
東京というのは、とてつもなく、巨大な都市だ。人も多い。
ヨーロッパに来た当初、5年くらいで日本に、戻る積もりでいたので(ところが、ずるずると、はや11年になろうとしている)、ものめずらしさから、連休や、週末は、暇さえあれば、旅行をしていた。
あの有名な、フランクフルトが、東京に比べて、あまりにも小さく、夜になると、人もいないのを不気味に感じたのが、最初。
チューリヒなんか、半日で見終わってしまった。
アムステルダムも、一日見たら、大体見所を回れてしまった。
パリも、中心部は、二日あれば殆ど見れる。ローマもそれほど、驚かなかった。
ロンドンだけは、ちょっと違う。この大きさは、ちょっと桁外れだ。
モスクワも、同様に巨大な都市だ。
だからといって、がっかりした訳ではない。ヨーロッパの街は、大好きです。
余談だが、ヨーロッパの三大がっかりってのが、ある。
ブラッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫、ライン川のローレライ。
一国の人口が、日本に比べて、少ない。
ドイツのように、連邦制だと、地方分散が進み、巨大都市が出来ない。
中世からの、町並みを保存する傾向があるので、拡張工事がしにくいetc..
いろいろ、理由はあるのだろうが、一番の理由は、極端な一極集中で大都市が出来ると、ある程度の規模で、自己抑制効果が効くのではないだろうか。
当然、大都市化が進めば、物価は上昇するし、静かな環境は望めなくなる。
ヨーロッパの人だと、この条件と妥協できる(大都市だと、いい職に付きやすい。便利だ、収入も良い、娯楽も多く、生活が楽しめる。 でも、生活費も高く付くし、渋滞がひどいから、自動車通勤もできないのは、不便だ)臨界点が、日本人の感覚よりも、低いのでは、なかろうか?
日本人なら、無理してでも、毎日片道二時間かけて通勤する人は、いるが、ヨーロッパの人は、その前に諦めて、地方都市に住む方を選択するのでは、なかろうか。
それを裏付けるのが、新しい都市が出来てくる過程だ。
日本の、郊外都市の発展は、大都市への通勤圏として、交通のアクセスを整え、ベッドタウンを建設していくことで、同心円を描くように、どんどん膨張していく。
不動産広告を見ても、「大手町まで90分」とか、「新宿まで100分」なんて広告を良く見かけた。
次ぎに、大都市で成長した企業が、増員などで、手狭になってくると、コストの安いこういう周辺都市に移ってくる。
しかし、今まで都心に通勤していた、従業員が通えない距離になると、困るので、大移動でなく、ちょっとした移動だ。
これを、繰り返して、中規模の都市が、沢山できてくる。
住宅都市を、周辺に開発する日本のやりかたと、発想が異なり、まず企業誘致環境を先に整え、つられて人間が集まってくる順番。
どうも、単純に経済エネルギー効率を考えると、ヨーロッパ方式の方が、最終的には、少ない投資で、社会資本の充実が効率的にできるのでは、ないか?