水【蘭英water/獨Wasser/仏eau】
ヨーロッパに来て、最初に戸惑ったのが、飲料水。
日本の喫茶店では、黙っていても水が出てくるのだが、そのような通例は、当地ではみかけない。
頼んだ飲み物しか、出てこない(まぁ、考えてみれば当たり前だが)。
カフェにいって、炭酸の入っていない水を頼もうとすると、置いていない。
水といえば、炭酸水、ミネラルウォーターといえば、まず間違いなく泡の出る方が出てくる。
これには、日本人は抵抗を示す。ところが、例外なく、一年以上在住していると、嗜好が逆転して、炭酸水の方が欲しくなってくる。
理由は、良く分からないが、気候や料理に左右されてくるのかもしれない。
飲料水にガスが入っていないと、なんだか物足りないのである。
ラテン圏に、お住まいの方は、ここで異論があろうかと思う。
ちゃんとした、食事をテーブルでとるときには、フランスやイタリアあたりだと、炭酸ぬきの水(いわゆる、エヴィアンとか)を大きなボトルで、頼んで皆で分けて飲んだりはするが、それでも、パリやミラノのカフェで、これを所望してもグラスいっぱいでは、なかなか出てこない。
アゴの方は、結構大変だ。
中には、和食通なんかがいて、「ツキジの寿司」が食いたいとか、「シャブシャブ」の美味い店を知らんか、というのもいれば、英国人は、フィッシュアンドチップスは、無いか?となる。
結局、無難なのは、鉄板焼きあたりとなるが、困るのが、「水」。
ヨーロピアンは、"KIRIN BIIRU(ビールはやはり、キリンだ。なぜかと言うと、ラベルのデザインが、格好良いから)","MINERAL WATER"くらいは、自分で頼めると思って、頼むが、ミネラルウォーターは、殆どの場合、普通の水道水に、氷を浮かべたものが出てくる。
予想していた、炭酸水が出てこないのを見て、"SPARKLING, PLEASE"と言うが、この辺から、店の人も困惑してくる。
私の方に、"アポリナリス(ドイツ人の場合)"みたいなのが、欲しいんだけど、説明して、と来る。
おそらく、この部分は、フランス人なら"ペリエ"みたいなの、で、オランダやベルギー人なら、"スパ・ ロート"みたいなの、となるんだろう。
「ソーダ水」下さい、と通訳すると、たまに、ライムやガムシロップを混ぜて、甘ったるくなったのや、サイダーなんかを持ってきてくれたりする。
「そうじゃなくって、、、」これは結構、日本語でも説明が難しい。
結局、一番確実なのは、
「カナダドライの炭酸水を、瓶ごと。それと、グラスに氷を入れて持ってきて下さい。」という注文方法のようだ。
「この国では、水をゲットするだけでも、こんなに苦労する」とブツブツ言い出すのもいる。
こんな時には、私も言い返す、
「パリやアムステルダムに戻ってごらん、水をゲットするどころか、ウェイトレスが注文を取りに来るまで、一体何分間待たなきゃならんと思う?」