先日、「欧州の路上で」のタイトルで、エッセイストの戸田さんと、私は知り合いであると、書いたら「きゃー、私ファンなんです。お近付きになりたいわ、紹介してー」というメールをいただいた。( Kさん、あんたの事だよ)
世の中、モテル男、モテナイ男がいる(同様に、女もそうだ)。
戸田さんは、モテルタイプの男の典型である。男から見ても魅力ある人だ。
気障なんだけど、サマになっているとでも言うのか、いい雰囲気である。
これは、努力して得られるものではない。
しかし、自慢する訳ではないが、私は、今までの半生で、めちゃくちゃ持てた時期が、なぜかあった。
なぜだったのか、わからない。もう一度その秘訣を取り戻したいのだが、どうもどこかで、落としてきてしまったのか、使い果たしてしまったのだろうか。
学生時代は、ちーとも女性に縁がなかった。というか、日本にいたときは、駄目だった。
信じられない程、持ててしまった時期は、ドイツにやってきて数年たった頃だった。
ある日突然、仕事の取引先の人が、「君と一度デートしたいという、日本人の女性がいてね。どう?」と言われたのを矢先に、立て続けに、国籍を問わず、ありとあらゆる女性に、デートに誘われるようになった。
職場のドイツ人の、若い女の子からも、(因みに今のヨメサンでは、ない)2人からアプローチを受け、デート三昧、週末の夜には、電話が掛かってくる。
一人で、バーに飲みにいっても、声を掛けられる。
パーティーで出会った、フランス人の女の子が、友人を通じて後日、紹介してくれと言ってきたのもあったし、生まれてこのかた無かった幸福に浸り、毎週助手席に別の女性を乗せて、ドライブしていた。
しかし、それは、ほんの半年くらいの間だった。
そろそろ、20代の終わりに差し掛かり、将来の伴侶も考えなければなぁ、と考え始めた途端、パタリと運が尽きて、突然女性から誘いもなければ、連絡も来なくなった。
それ以来、まったくそんな、贅沢な状況は、後にも先にもない。
一生分のフェロモンを、きっと、大放出してしまったのだろう。
有名なマーフィーの法則で、「人生最大の幸運は、どうでもいいような局面でやってくる」というのがあるが、あれがそうだったのかもしれない。
今では、家庭に収まった私だが、「あわよくば、あの時のツキをもう一度、取り戻せるかもしれない」という、浅はかな希望を糧に、毎日を過ごすのです。