短編小説


短編小説【short story】


旅に出るときは、かさばらない、文庫本や、ペーパーバックを持っていく。

長めの旅だと、少しハードカバーものを持っていったりするが、中身は、短編小説集みたいなのが多い。

旅先の読書は、中断が多いし、読んでいて、疲れない程度の長さが、いい。


以前にも、触れたが、私は少年時代から、結構読書が好きだった。

旅先でも、つい本屋に入ってしまう。

いままで、読んだなかで、長編小説になると、あれこれ迷いがあって、ベストテンが挙げられない。

しかし、短編では、ダントツの、No.1の作品があり、私の中のランキングは、ずっとある一編の作品が、不動の地位を確保している。

アメリカの作家、アンブロージア ビアスの「アウル クリーク橋の事件」という、数ページで終わる、小品は、人間の生と死を短い文章で、ものすごく濃密に描写している。

この作品を面白いと思った人が、多かったのだろうか、短編映画としても、映画化された。

邦題は、「ふくろうの河」というタイトルで、学生の頃、高田馬場のアングラシアターで見た覚えがある。

読んでいないひとに、種明かしをすると、つまらないので詳しくかかないが、絞首刑をうける、反体制ゲリラの話で、ものすごく意外な結末で終わる。

アンブロージア ビアス自身、ユニークな人間だったらしく、彼の一生も映画化されて、数年前に映画館で見た。

タイトルが思い出せないが、「何とかドミンゴ」という題だったと思う。

作家として、ある程度成功した、彼には、「悪魔の辞典」という有名な作品を残しているが、ヘミングウェイのように、突然政治的活動に目覚め、メキシコの内戦軍に身を投じて、そのまま生涯を終えるような、内容だった。


次ぎの、No.2も、ずっと長い間、私のNo.2の地位を動いていない。

ドイツの作家ハインリッヒ ベルの「旅人よ、スパルタの地に赴かば、、」という短編。

戦時中に、爆撃で瀕死の重傷を負い、意識がもうろうとした、兵士の視点で、光景を描写した作品で、これも最後の結末が、結構強烈だ。

ハインリッヒ ベルは、ノーベル文学賞を受賞している巨匠だが、日本では、馴染みの薄い作家。

「カタリーナ ブルームの失われた名誉」は、映画化されて、日本でも結構公開されていた。

ひととき、ベルに私は、かなり傾倒して、随分読んだ。

実は、私のランキングでは、No.3もベルの作品で、短編小説の技量はすごい。

今夜は、ベルを読み直そう。