肴【fishさかな】
私は、酒量は、それほど多いわけではないが、酒は大好きだ。
目の前においてありさえすれば、毎日でも飲む。
そうなると、酒に対してのこだわりと共に、酒の肴にも五月蝿くなる。
やはり、酒の酒類に応じて、旨く飲むための肴は、いろいろ違う。
白ワインの、辛口の時は、サラミソーセージ。
甘口の白ならば、あわせるのは、シュマルツ(ドイツで入手できる、ラードに香辛料を混ぜて、練ったもの)。
赤を飲むときは、GoudaやLeidseチーズか、パルマハム。
ウィスキーには、レーズンバター。
食後酒の、カルバドスを飲むには、ビターチョコレート。
ビールには、ピーナッツ。
日本酒には(あまり呑まないが)酒盗
しかし、酒盗を美味しく食べるために、逆に日本酒をあわせたりする。
塩辛というと、イカがポピュラーだが、酒盗は、鰹のはらわたを、塩辛にしたものだ。
この美味しさは、酒飲みにしか判らない。
酒のつまみ以外の用途には、食べられる品物でない。
鰹といえば、タタキにしたり、かつをぶしにしたりして、はらわたを大量に、捨てられるのだが、このはらわたを、塩辛漬けにしたものが、この酒盗。
高知あたりの、特産らしい。
私は、これが大好きで、日本に行くと買ってくるし、日本に里帰りする人なんかがいると、買ってきてもらっている。
上に、酒飲みにしか判らない味だと、書いたが、見た目は、はらわただけあって、グロテスクで、とても食欲をそそる物ではない。
ニオイも、臭気を放ち、とても常人が受け付ける風味ではない。
でも、旨いのである。これを食すと、酒がガンガン呑みたくなる。
すると、一歳半の娘が、それを見て、食べたいというしぐさをする。
ようやく歯が生え揃ったくらいで、ようやく親と同じような、食事を食べられるような年頃。
日本人ですら、人によっては、受け付けないこの、酒盗を欲しがるので、面白くて小さく取り分けて、食べさせてみた。
どうせ、吐き出すだろうと、たかを括っていたが、本人は、喜んで食べている。
美味しいらしい。それどころか、もっとくれと催促する。
この娘は、将来酒豪になるなぁと思い、やはり、半分は日本人の血が流れている事を、確信した(当たり前か)。
彼女が大きくなったら、夜の街で、酒の呑み方を指南してやろうと、思った。
将来、息子と酒を呑みにいくのも楽しみだが、息子相手だと、どうも「男子の本懐」などを説教して、煙たがられる自分の姿が今から目に浮かぶ。
しかし、愛娘と一緒に、グラス傾け、バーで飲み明かすなんてのも、いいなと思う、酒飲みおやじの、ささやかな、楽しみが出来ました。