Apr.10.99

fishさかな】


私は、酒量は、それほど多いわけではないが、酒は大好きだ。

目の前においてありさえすれば、毎日でも飲む。

そうなると、酒に対してのこだわりと共に、酒の肴にも五月蝿くなる。

やはり、酒の酒類に応じて、旨く飲むための肴は、いろいろ違う。

白ワインの、辛口の時は、サラミソーセージ。

甘口の白ならば、あわせるのは、シュマルツ(ドイツで入手できる、ラードに香辛料を混ぜて、練ったもの)。

赤を飲むときは、GoudaやLeidseチーズか、パルマハム。

ウィスキーには、レーズンバター。

食後酒の、カルバドスを飲むには、ビターチョコレート。

ビールには、ピーナッツ。

日本酒には(あまり呑まないが)酒盗


実は、日本酒はあまり呑まないし、それほど好きではない。

しかし、酒盗を美味しく食べるために、逆に日本酒をあわせたりする。


酒盗を、ご存知ない方の為に、解説すると、早い話しが、塩辛だ。

塩辛というと、イカがポピュラーだが、酒盗は、鰹のはらわたを、塩辛にしたものだ。

この美味しさは、酒飲みにしか判らない。

酒のつまみ以外の用途には、食べられる品物でない。

鰹といえば、タタキにしたり、かつをぶしにしたりして、はらわたを大量に、捨てられるのだが、このはらわたを、塩辛漬けにしたものが、この酒盗。

高知あたりの、特産らしい。


読んで字の如く、これを食べると、酒がほしくなり、盗んでも呑みたくなるという事で、この名前が付いた。

私は、これが大好きで、日本に行くと買ってくるし、日本に里帰りする人なんかがいると、買ってきてもらっている。

上に、酒飲みにしか判らない味だと、書いたが、見た目は、はらわただけあって、グロテスクで、とても食欲をそそる物ではない。

ニオイも、臭気を放ち、とても常人が受け付ける風味ではない。

でも、旨いのである。これを食すと、酒がガンガン呑みたくなる。


今日、晩酌に、ロゼワインを妻と呑みながら、この「酒盗」を突ついていた。

すると、一歳半の娘が、それを見て、食べたいというしぐさをする。

ようやく歯が生え揃ったくらいで、ようやく親と同じような、食事を食べられるような年頃。

日本人ですら、人によっては、受け付けないこの、酒盗を欲しがるので、面白くて小さく取り分けて、食べさせてみた。

どうせ、吐き出すだろうと、たかを括っていたが、本人は、喜んで食べている。

美味しいらしい。それどころか、もっとくれと催促する。

この娘は、将来酒豪になるなぁと思い、やはり、半分は日本人の血が流れている事を、確信した(当たり前か)。

彼女が大きくなったら、夜の街で、酒の呑み方を指南してやろうと、思った。

将来、息子と酒を呑みにいくのも楽しみだが、息子相手だと、どうも「男子の本懐」などを説教して、煙たがられる自分の姿が今から目に浮かぶ。

しかし、愛娘と一緒に、グラス傾け、バーで飲み明かすなんてのも、いいなと思う、酒飲みおやじの、ささやかな、楽しみが出来ました。