猿とストレス【the ape and stress】
最近の週刊文春を、、暇つぶしに読んでいたら、おもしろい記事があった。
猿を使った、ストレス耐性実験。
二匹の猿に、かわいそうだが、電気ショックを、不定期的に、与える装置を取り付 ける。
檻には、ランプを取り付け、電気ショックを与える直前に、点灯させ、事前に猿が わかるようにする。
二匹のうち、一匹だけに、リモコン装置を与える。
ランプが点灯してから、このリモコンのボタンを押すと、電気ショックが来ないようになっている。
暫くすると、この猿は、リモコンの役割を学習し、ランプが灯るのを、みてから、 電気ショックを防ぐ方法を覚え、使いこなすようになる。
但し、いつランプが灯るか、わからないので、リモコンは肌身離さず、持ち歩くよ うになる。
電気ショックに対して、なす術を持たない方の、猿は、しまいには、諦めの境地に 達し、だんだん電気ショックにも慣れてきて、日常生活の一部として、取り入れて しまう。
数ヶ月後、ストレスが溜まって、先にやられてしまうのは、実は、リモコンを持っ た方の猿だ。
リモコンを持った猿は、いつランプが点灯するか、気が気でならず、常にランプを見 る習性がつき、集中力が散漫になり、睡眠も不足がちになる。
人間は、自然界で、唯一道具を発明し、使いこなす動物だという事になっている。
厳密に言えば、象は、てこの原理を知っているし、小枝を道具にして、木の幹に隠 れた虫を穿り出す鳥なんかは、いる。
道具は、生活を楽にするために、必然性から生まれるのだが、生活を楽にすると、 人間はどんどん、だめになる動物でもある。
私は、長い間、携帯電話を持つことを、避けてきたが、時代の流れに逆らえず、専用に電話が支給された。
以前は、出先で要件を早めにすまして、買物したり、昼間から、パブに入って、ビールのんで、帰りの便まで、時間つぶしをする余裕が、あったもんだが、電話を持って歩くようになっていらい、仕事がどこまでも、追いかけてくる。
地下鉄に乗っていて、地上に出る区間で、ぴーぴーかかってくる。話しているうちに、再び地下にもぐり、会話が切れる。
これは、ストレス溜まる。
空港のトイレで、鳴り出したときは、どうしようか、動揺した。
会議中は、スイッチを切っておくが、あとでオンにすると、ボイスメールが一杯入っている。
先週なんか、早朝便で、ロンドンヒースロー空港に降り立った途端、入国審査の前で、「緊急の用あり、そのまま、チケットを変更して、次ぎの便にて、オランダに戻られよ」なんてのが、あった。
これじゃ、リモコンを持たされた、猿と同じですよね。