バナナ紛争
Apr.11.99

バナナ紛争【Banana war US vs EU】


とうとう、紛争に火がついた。。といっても、ユーゴの話しでもなければ、イスラエルでもない。

アメリカと、EUが本気に、喧嘩を始めるぞ。経済戦争だ。

アメリカは、公正を社会規範にしている割には、米国通商法301条(貿易相手国の不公正取引慣行に対する報復)という、けったいな法律を武器に、日本をいろいろいじめてきた。

これは、ハムラビ法典的な、米国らしからぬ立法で、俗に「経済制裁報復措置」とか呼ばれている。

要するに、「目には目を、歯には歯を」の、報復の論理を経済市場に、持ち込んだ、悪評の高い法です。

今日の、インターネット版朝日新聞、Asahi.comのタイトルに、「バナナ紛争 江戸の敵を長崎で、バッグに関税 」という、表題が出ていた。

実は、私は、バナナ評論家という肩書きを持っている(自分でそういっているだけ)。

このバナナ紛争は、もうかれこれ、十年以上も、論議を呼んでいる長い、話しです。

EUのバナナ輸入政策は、アメリカ系のブランドを締め出す不当な関税障壁である、とうのが、米国の主張。

バナナという、食品は、小麦や大豆には、及ばないが、その世界での需要、市場規模は、とてつもなくでかい産業だ。

このバナナ業界を、仕切っているトップブランドといったら、米系の3大ブランドである。

みなさんも、ご存知の Dole, Del Monte, Chiqitaで、総称して、「ドルバナナ」という名前がついている。

それに、対抗して、「植民地バナナ」という、小振りのバナナがある。

ヨーロッパに在住の方は、たまにスーパーで、見かけるでしょう。

米系ブランドのバナナの脇に、小さ目だが、値段が安い、バナナが置いてあるのを、ご覧になった方も多いはず。これが、植民地バナナです。

これは、カリブ海あたりの、旧欧州諸国の植民地だった地域を、原産地とする、バナナで、このバナナの、輸入にあたり、EUが、不公平な、優遇措置を与えている。というのが、米国側の言い分。

特に、フランスなんかは、このバナナ産地を、多く植民地として、もっていたから、顕著である。

ドイツなんかは、たしかビスマルクの時代から、輸入食品の中で、バナナには特別な位置づけをして、輸入を奨励していた。

多分、ビスマルクがバナナが、好きだったんだろう。


1997年、WTO(世界貿易機構)に提訴して、米国は勝利した。しかし、EU側の対応を不服として、99年から、制裁をするぞと、脅しをずっとかけてきた。

とうとう、今日のニュースによれば、USTR(米通商代表部)は、欧州連合(EU)に対する制裁関税の最終リストを発表。

3月3日にさかのぼって、EUから米国に、輸入される対象商品に、100%の関税を掛ける事になった。

ハンドバッグやコーヒーメーカー、入浴剤、枕カバー・シーツ類、リトグラフ、電池、紙類など関税分類上の9品目で、米国の年間輸入額は合計1億9140万ドルにものぼる。

米国在住の、ご婦人方、エルメスや、シャネルのハンドバッグ。フィリップスのコーヒーメーカー。いずれも、値段が倍になりますから、今のうちに、お店に走っていって、買っておきましょう。

バナナの仇を、ハンドバッグで取るという、まことに変な話し。

WTO側は、米国の主張を一応支持しているが、EU側は、当然この措置を不服として、断固抗議をするであろう事が、予想される。