旅ゆかば【on journey】
私は、たまに衝動的に旅にでることが、多かった。
最近はそうでもないが、身軽な独身時代は、結構気のむくまま、連休があると、ヨーロッパ中を旅行していた。
逆に、旅行計画を立てて、代理店に相談して、プランを作るのが、非常に苦手だ。
駅に行って、ボーっと時刻表を見て、いけそうな場所をさがして、売店でガイドブックを買って、着いたら宿を探して、名物料理を食べて、酒を呑む。
これが、最高のシアワセ。
何の予約もなく、週末にパリに行った。
観光シーズンで、中心街のホテルは、どこに行っても「コンプレ(一杯)」。
何軒か、飛込んで聞き続けるうちに、漸く空室をみつけて、オペラ座の近くの、ホテルでチェックイン。
気合を入れて、出掛けてワインをたらふく飲んで、散歩している内に、ホテルの場所がわからなくなった。
普通、自分の泊るホテルくらいは、事前に予約していれば覚えているが、飛込みで、何軒も尋ねたあとだったから、記憶がごちゃまぜになって、思い出せない。
しかも、酔っ払ってますます、思考回路が鈍い。
酔いを醒まそうと、セーヌ川を歩くうちに、深夜になってしまったが、まだ思い出せない。
チェックインした時に渡される、メモも部屋に置いてきたし、地図も持っていない。
途方にくれた後、確実に見つかる方法を思い付いた。
空室を見つけるまでの、過程を再現すれば、必ずたどり着く。
かくして、私は、10軒以上のホテルを、順番にあるいて、自分の泊るべきホテルに、たどり着きました。
教訓:ホテルから出るときは、チェックインメモか、マッチとか、レターセットの便箋をちぎって、ポケットにいれておくこと。