不慮の事故【accident】
今日の、ドイツのニュースから。
ドイツ中西部の中規模の工業都市、ヴッパータールという市がある。
私が、かつて住んでいた街に、隣接していて、よく私も遊びにいった。
この、ヴッパータールの、シンボルにもなっている、ユニークな交通機関がある。
世界中に、他に例のない電車なので、ドイツ語以外に、訳語が思い付かない。
Schwebebahnと呼ばれているもので、1901年に開通し、あと二年で100周年を迎える、伝統あるもの。
ここにしかないので、文章で説明するのが難しい。
Schwebebahnというのは、直訳すると「揺れる鉄道」。
モノレールにコンセプトは近いが、モノレールがレールの上を走っているのに対し、このSchwebebahnは、レールからぶら下がった車両が、滑走する。
私も、乗ったことがあるが、中に載っていると、床下には、小川が流れているだけで、何もなく、並行移動するロープウェイのような気分だ。
丁度、ブランコのように、「ハ」の字型の、支柱に、客車がぶら下がり、そのブランコが横に走る構造です。
かつての、ドイツ皇帝のヴィルヘルム二世も、乗った事があり、「御料列車」も保存されている。
過去100年、事故らしい事故もなく、安全な交通機関として、文化財指定にもなっていた。
もっとも、1950年に、あるサーカス団の団長が、客寄せの為に、子象を乗車させて、宣伝に使ったところ、詰め掛けた野次馬や、カメラのフラッシュライトに、驚いたこの象が、興奮して、列車から飛び出して、下の川に、落ちた事故はあった。
この子象は、軽い怪我をしただけですんだそうです。
その落ちた現場の、前にある、薬局の名前が、この事故にあやかって、「エレファント薬局」という名前を確かつけていた、と思う。
今朝の、5時半、始発列車が、脱線して墜落。
乗客の3人が死亡、47人が重軽傷を負った。
原因は、週末に、レールの保守取り替えを行ったときに、レールを挟む固定機具を、つけたまま、そのまま忘れてしまったらしい。
保守が終わったときに、無人のテスト走行でもやっていれば、この事故は防げただろうに、それに気付かずに、始発便に乗客を載せて、走り出し、脱線してしまったという。
保守委託を受けていた会社は、当然これから責任の追及を受ける事になるだろうが、交通機関の事故というのは、社会的影響が大きい。
去年は、ドイツの北部で、超特急Intercityの脱線した大惨事があったが、安全で有名だった、ドイツの交通機関も、この所事故続きだ。
自分も使った事のある、Schwebebahnだけに、私もショックでした。
死者の三人は、ドイツ人、ロシア人、イタリア人だったそうです。
犠牲者の、ご冥福をお祈りします。