1988年に出版された、エール大学の、Paul Kennedy教授が著したベストセラー。
丁度、この年、私が銀行員として、ドイツに転勤になった時に、八重洲ブックセンターで、出国前に買いあさった、書籍の中にこれが、有りました。
当時は、日本語のTV放送も、インターネットも無かったから、ひたすら本を読んでいた覚えがある。
便利になった、今はめっきり読書量も、減ってしまったが、不便だった昔は、それなりに知識欲に飢えていた気がする。
そんなノスタルジーに、浸るようになったのも、私が歳をとった証拠だろうか。
この本に、これからアメリカ合衆国が辿るかもしれない、衰退の可能性が記されている。
本書には、かつて、無敵を誇ったスペイン、七つの海を支配した大英帝国、大植民地支配を確立したフランス、未曾有の軍事力を完成させ、ヨーロッパ中を恐怖に陥れたドイツ帝国など、大国が如何にして滅びていったかが書いてある。
いってみれば、近代版の「平家物語」の栄枯盛衰とでもいえようか。
この本に書いてある事を、要約すると、
2.最盛時に引き受けた、安全保障の責任を、経済が下降しはじめた後も、引き続き負担していった為に、衰退が加速度的に、おそいかかり、転落の道を辿る。
私は、今の米国が置かれた立場は、まさに同じ状況はなかろうかと、思う。
軍事力を維持するのは、大変な財政上の負担になる。
その替りに、覇者の特権が与えられ、軍事力を背景に、利権を確保するというバランスゲームだ。
ところが、冷戦が終わってしまった今、米国の軍事負担は、それほど自国に利益還元を見返りできる程の意味を持っていない。
イラクに軍事介入しても、中東和平につとめても、あるいやアフガニスタンや、北朝鮮問題に首を突っ込んでも、経済的には、まったく面白味の無い話なのである。
ところが、世界の保安官バッジをつけてしまった以上、引くに引けない。
本書が、出版されてから、丁度10年。もう一度、読み直してみる価値のある、本だと思う。