海外在住者の有権者活動


公職選挙法は違憲だと思う

私は、日本を1988年に離れ、最後の居住地だった、東京都港区西麻布を最後に住民票は抹消した。

もう9年が経過してしまったが、今でも日本国籍をもち、将来もこれを放棄するつもりは全くない。ドイツでは永住権を得たが、住民登録は抹消した。

戸籍に相当するものはまだ残っている。

現在は、オランダの市民として、一年更新の滞在許可を持っている。

私には、参政権というものがない。過去9年間、自分の政治的信条を反映するべき選挙権の行使がまったく出来なかった。

政治に無関心な人には、どうでもいいかもしれないが、人権を剥奪されているようで、非常に不愉快だ。

日本の現在の選挙権は、住民票にもとづいて名簿が作成されるため、それがない海外在住者は、成人した日本人でありながら、全く日本の政治に影響を与える事はできない。こうした人は世界中に何10万人もいるそうだ。

日本国憲法

第3章 国民の権利及び義務

第15条 公務員の選定及び罷免の権利、普通選挙と秘密選挙の保障

  1. 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

私は、日本国籍を持つ日本国民である。

  1. 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

私は、成年者でもある。

第22条 居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由

  1. 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

私は、この自由権を行使して、合法的な手続きを以って外国に居住している。公共の福祉に反する事はしていないつもりだ。

  1. 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

それみろ、外国に移住するのは自由だと言っているでないか。

第4章 国会

第44条 平等選挙

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人権、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって 差別してはならない。

この「法律でこれを定める」ってのが曲者だな。門地という法律用語を残念ながら知らないが、国外にいるからって差別してはならない筈だ。

第47条 選挙に関する事項

選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

これもちょっと問題だな。はっきりしない。

なぜ、海外にいちゃだめなんだ

しかしだ、参政権は紛れもなく、憲法が保障する基本的人権に属するのは間違いない。私は、日本にいたときに、自慢できる(自慢するほどの事じゃないかも)事がある。

選挙権を放棄した事は、ない。必ず地方選挙も国政選挙も投票に出掛けた。支持したい政治家や政党がなく、殆どの場合白紙投票だったから、無効票扱いになっただろうが、選挙権の行使はちゃんとした。いわば、魅力的政治家、政党がないという、無言の抗議として反映されるから。

私見だが、選挙で投票しない人には、政治を批判する資格はない。自ら権利を放棄した人が、つべこべ言うのはおかしい。

日本に帰国する予定がないなら、もう日本の政治がどうなっても、関係ないでしょと言われそうだが、そうでもない。

日本の外交力が、私のオランダでの居住ヴィザ、就労ヴィザの取得に大きく影響しているし、パスポートに関する法改正は非常に重要だ。私は、オランダで、年金制度に加入している一方で、今でも日本の国民年金を非居住者扱いで払い続けている。老後をどの国で過ごすか、決めていないし、今考えても答えが出ないからだ。この年金の受給システムや、資格の変更は、非常に関心が高い。

今一番の関心は、日本政府が将来二重国籍を認める可能性があるかという点だ。私の息子は、現在、日本とドイツの二重国籍だ。

両国の戸籍法は二重国籍を認めていないため、成人するまでに彼は、国籍の選択をする必要がある。

社会人としての十分な分別がつかないうちに、この選択を迫るのは、かなり酷だ。

だから、この戸籍法の整備、改正に力を入れる政党や、政治家がいたら、積極的に支持をして、是非実現に向けて欲しい。

しかし、私のこうした声が全く、日本の政治に影響を与えるチャンスがないのは、明らかに基本的人権の侵害だ。

そう思う人は、大勢いるらしく、すでに日本国を相手取って、違憲裁判を起こした人がいるらしい。詳しくはこちら

ドイツを例にとると、国籍=参政権という法解釈が成立していて、国外に居住していても、選挙権は剥奪されない。オランダの事は調べていないが、多分同様だろう。

この違憲裁判の結果は、これからもフォローしていきたいが、「海外在住日本人の権益を守る党」なんてのを作ったら、国会で一議席確保できるんじゃないかな。潜在的支持者が、何十万人もいるんだから。どうして、こんなに美味しい潜在的票田を、各既存政党は放っておくのだろうか。

Aug.27.97



©1997 copyright Hiroyuki Asakura