緊急援助


緊急援助【Emergency help】


NATOの、ユーゴ空爆(敢えて、私はセルビア共和国空爆と書かない)に対しては、私は一貫して、批判的な事を書いている。

考えてみれば、私はNATOの加盟国に住んでいたんだな。
しかし、戦局が長引くにつれて、内部でも疑問を呈する声が、上がってきて、国内世論も、一枚岩という訳ではない。

上述のように、あえて、セルビア共和国空爆としないか、理由がある。

ユーゴ連邦共和国は、二つの共和国と、二つの自治州の構成で出来上がっている。

セルビア共和国と、モンテネグロ共和国、コソボ自治州と、ボイボディナ自治州。

話題の、コソボは自治州は、あくまでも国家主権を持たない、存在なので、独立運動に対して、警戒するセルビアの立場は、むしろ当然。

これを内乱、クーデターの準備と考えれば、コソボへの、セルビア軍派遣自体は、連邦国家の主権保持のために、正当性があると思っている。


空爆には、反対であったが、始まってしまった以上は、事実は事実として、認識した上で、今後の事を考える必要が出てきた。

しかしだ、セルビアの民族問題には、口出しせず、中立を保ってきたモンテネグロ共和国を、空爆しはじめたのは、一体どういう訳だ?

中立国に対して爆撃を加えるなどという、蛮行は、第二次大戦以来の、完全のルール違反ではないか?

セルビアという国は、港を持っていない。

地理的に、モンテネグロで揚げたものを、セルビアへ輸送するルートになっている。

今回の、原油供給のストップをするために、輸送ルートになっているというだけで、モンテネグロの、幹線道路や、橋を破壊している。

セルビア本国での、爆撃も、狂気じみてきた。

最初は、軍事施設の破壊を、お題目に空爆開始をしたが、最近では、やりはじめたら、なんでもあり、見境なく、爆破している(放送局の爆破を契機に、行き過ぎを誰にもとめられないのが、現状)。

誤爆で、民間人の犠牲を出したときの、英国のブレア首相の発言は、まことにひどいもんだった。

「残念な結果だが、それ以上の数の、アルバニア系住民が犠牲になっている状況の打破が必要」

それじゃ、今回の空爆は、犠牲者の数を、競っているゲームか?

いままで、ブレア首相は、一応まともな政治家だと思っていたが、幻滅するコメントであった。


ユーゴの隣国、マケドニアには、大量難民が押し寄せているが、もともと豊かな国ではなく、受け入れるだけの経済的な余裕がない。

このマケドニアについては、前に少し触れた事があるので、参考にしてもらいたい。

空爆を行なっている、NATO諸国は、金持ちの集まりである。

今回、発生した難民の住居、食糧供給程度の金は十分持っている。

ましてや、一ヶ月にわたって、空爆するための、軍事費は、後方支援を含めて、何億ドルという金額になっているのは、間違いない。

この金があれば、数十万人の難民が健康的に避難できる体制の整備をしても、お釣がくる。

国際世論を気にしてか、各国が難民の受け入れを分担する事になったが、人数制限をつけている。

こんなひどい話があるだろうか?

加盟国の中に、無制限の難民受入を表明できる勇気ある国は、ない。

だとしたら、なぜコソボで民族問題が、発生したのかという、根源的な問題を全く理解しないで、NATOは、空爆を開始したことになる。


コソボは、もともとセルビア人の聖地だった。

しかし、歴史的に徐々に、アルバニア系の住民が移住してきて、9割を占めるに至った。

言い換えれば、セルビアは、無制限にアルバニア系の移民を受け入れてきたから、今の状態に行き着いた。

そこで、独立運動が発生したために、セルビアの論理としては、「いままで、寛容に受け入れてきた好意を、仇で返すか?」となる。


今回、私が、セルビア側の立場だったとして、停戦要求を出すとしたら、こうなる。

NATOの即時、停戦を求める。

条件つきで、降伏してもいい。

@コソボから流出した、難民を一人残らず、安全な各国の、施設に収容した上で、受け入れ国での、永住居住ビザと、パスポートを発給する事。

なぜなら、彼等のユーゴスラビアパスポートと、携行金品は、我がセルビア軍兵士が、没収してしまったので、難民は身分証明を何も持っていない。

A人道的見地により、十分な庇護を与えて欲しい。

食糧にも困らないようにし、できれば就職口も確保してもらいたい。
貴NATO加盟国は、平均失業率が、10%未満の経済大国だから、セルビアよりも、ずっと良い条件があるでしょう。

Bアルバニア系住民が、迫害されないように、なるべく居住区を集中して、自治権を与えるよう、配慮していただきたい。

C仮に、自治権だけで、住民が満足しない場合には、独立国としての、分離を認め、武力弾圧や、民族浄化行わない

以上の、四条件を、国連安保理事会の仲介により、公式和平条約とすること。