ネクタイ【neck tie】
勤め人だと大抵、毎日身につけるもの。
私も自分で何本もっているのか、把握していない。
擦り切れてくると、なんともみすぼらしくて、デザインが気にいってもしないが、 捨てるのも惜しい。
ドイツのライン地方に住んでいた頃は、毎年カーニバルの時に、ネクタイを女性に切られるお祭りがあった。
少なくとも、毎年一本ずつ、古いネクタイを処分できた。(実は、この奇習、ネクタイは、男性のシンボルを象徴しているのである。 ドイツ版の、阿部定、なんとも恐ろしい風習でござります)
買って帰ってもかさ張らないし、必ず使うから、何本あってもいい。
そういえば、デューティーフリーショップは、EUの中では、免税販売を7月から、廃 止するという記事を昨日読んだ。
たしかに、EUの精神のひとつに、域内関税障壁の撤廃があるから、当 然といえば当然。
だが、この産業に従事している人たちの雇用が脅かされるので、ヒースロー空港に は、だいぶ前から、反対運動の掲示が出ていた。
このネクタイという代物。どう考えても、実用的に役に立つ服飾の機能はない。
男の乳首と一緒で、まったく意味のない飾り物だ。
ネクタイで、防寒機能はないし、事務的には、机に向かうと、邪魔になるだけだ。
そのまま、くるりとまわせば、首を吊るのに便利かもしれないが、それには、強度が足りない。
ネクタイの、起りは、クロアチア人のファッションだった、とクロアチアの取引先が教えてくれた。
クロアチアの兵隊達が、フランスのルイ14世に奉仕するために、パリにやってきたときに、この首に巻いてきた、民族ファッションが、大流行して、その後、イギリスにも流行が伝わり、紳士の服飾として、定着したそうな。
ドイツ語で、ネクタイのことを、クラバッテ(die Krawatte)と呼ぶが、語源は、クロアチアを意味する、クロアットだそうです。
今日の、英国のニュース。
このネクタイの結び方が、一体何通り可能であるか?という、何の足しになりそうもないテーマを、ケンブリッジ大学の物理学者が、一ヶ月間かけて、計算したらしい。
結び目を作って、表面を垂らす。
一見、単純な作業なんだが、私は二通りしか知らない。
社会人一年生の頃は、なかなかネクタイの長さが、うまく調節できなくて、何度も蒔き直しをしたもんだ。
さすがに、十数年にわたり、毎日毎日、この作業を繰り返していると、真っ暗闇であっても、簡単に出来るようになる。
この研究結果は、科学雑誌 "Nature"に掲載されるらしいが、85通りのネクタイの結び方が、世の中の男性に幸福をもたらすとは、思えない。
しかし、凡人の頭脳では、さすがに5通りくらいしか、考え付かない。
学者ってのは、まったく不思議な事をやって、飯を食っているもんである。
切った張ったの、商売ばかりしている身には、不可解な努力なんだが、こうやって、人類は進歩してゆくのであろう。