三月事件【さんがつじけん】
三月になった。
二・二六事件、五・一五事件の陰にかくれて、あまり知られていないが、第二次大戦直前の日本で、二回クーデター未遂事件があった。
三月事件と、十月事件だ。
戦後は、クーデターらしい事件は、日本では起きていない。
渡哲也の主演で、「皇帝のいない八月」という、クーデター未遂事件を扱った映画があった(なぜか、副題がドイツ語だった、Der Kaiser ist nicht in Augustというタイトルがついていた。文法的におかしなドイツ語だと思うのだが、まぁ、いいや)
この中心になった団体が、秘密結社「桜会」だった。
名前が、桜会だったら、三月じゃ早すぎ、十月じゃ遅すぎだという事が判ろうものだが、本人達は結構マジだった。
記録を見ると、なんとも杜撰なクーデター計画だった。
そもそも、この桜会の、主宰者は、橋本欣五郎とう陸軍将校。
海外勤務から、帰国した彼は、まのあたりにした、日本のなさけなさに、憤慨して思想結社として、桜会を結成するのだが、そのうち、民間の右翼団体と結びつき、クーデター計画を指向するようになる。
おなじように、ドイツ駐在から帰国した、陸相に、宇垣一成という人物がいた。
この人物を、首相にしてしまおうという計画だったが、決行直前になり、宇垣自身が、翻意したため、未遂に終わった。
いまでも、こんな事は、国家転覆罪になるだろうに、なぜか、この件、お咎めなしだったとうから、おおらかなもんである。
お咎めなかったので、夢よもう一度と、クーデターを、画策する。
この時は、荒木貞男陸軍中将を首班とする、内閣樹立を目指したが、肝心の、荒木にその計画を伝えておらず、本人に知らせたのが、決行の5日前というから、おめでたいというか、学習効果がないというべきか、、、
ともかく、この計画も頓挫し、橋本は謹慎20日という、随分軽い処分で済んだ。
いまだに、世界各地で内戦が続いている。
ユーゴの和平合意では、コソヴォ側の独立は承認されなかったが、とりあえず、一端停戦合意が出来そうだ。
インドネシアの東ティモールも、独立の兆しが見えつつある。
ベルギーのフラマン語族の独立運動は、まだ続いているが、ここは流血の事態には発展しない。むしろ、EUの統合という大きな波に、呑み込まれた今、フラマン独立分離はあまり意味を持たないのかもしれない。
ティベットの中国からの、独立は、まだまだ遠い未来の事だろう。
スペインのバスクも、独立運動をずっとやっているが、当分このままだろう。
軍事クーデターで、一番不可解なのが、タイのクーデター。
クーデターが起っても、市民生活は普通に続いている。
国王がクーデターを承認しないと、クーデターが成立しないというから、おおらかなもんだ。