寿司なんかは、あくまでも「寿司」というカテゴリーだし。「おでん、やきとり」は、和食という、定義から除外されていた。
これは、日本にいると、あまりにも手に入る、食べ物のバリエーションが多いので、そうなるのだと思う。
外国に出ると(とくに、似たような食材が入手しにくい、欧州の場合)、 和食、というのは、日本の食べ物の総称であります。
それは、フランス料理よりも、スペイン料理よりも、タイ料理よりも、中華料理よりも、そして言うまでもなく、あのまずい英国料理よりも、はるか高く、横綱の貫禄を持っている(そして、値段も横綱級に高い)のが、「和食」です。
そして、この和食の範疇は、ものすごく広く、カレーライスや、メンチカツ、餃子、ラーメンや、お好み焼きまでを包括する、広いものである。
なぜかというと、大抵欧州の日本レストランは、これらのメニューを全部取り扱っているからです。
経営上、日本食を生まれて初めて食べるような、地元の客を満足させる為には、寿司と鉄板焼き、天ぷらは、出せる体制になきゃならない。
一方で、駐在員サラリーマンの昼食の要求に答えるためには、カレーライスや、かつどん、焼き肉定食は、安定収益を上げる為に、不可欠である。
かといって、昼に比べて、回転率がおちる夜は、そんな単価の安いものでは、採算が会わないので、ビジネス接待向けに、懐石コースも出さなきゃいけない。
でも、昼を食べに来た、駐在員が仕事帰りに、いっぱいやりに、もう一度顔を出すと、さすがに、昼のカレーライスは食わせられない。
やっぱり、おでんや、焼き鳥も必要になる。
厨房の板さんも、外国の日本レストランを、経験すると、本当にいろんなものを、だせなきゃならないから、大変だと思う。
やはり、特別の理由でもなければ、和食を外食する機会は、少ない。
ドイツにいたときに、「毎日、和食を食べないと、死んじゃう」やつがいた。
留学生だったが、アゴアシ付きの、優雅な、企業派遣留学生でなく、自費留学だったので、金がなくてピーピーしていた。
よくそんなやつが、わざわざ苦労を承知で、ドイツくんだりまで、留学にくるもんだと、あきれつつも感心した。
ひもじい思いを、しているのだろうと、食事に誘ってあげた。
寿司でも、天ぷらでもたらふく、おごってやるから、食いたいものを、言ってみろというと、フランス料理と旨い、ワインが呑みたいと、抜かす。
一体どうしたんだ、和食くわないでもいいのか?と問いただすと、
えぇ、日本レストランのバイトをして、渡り歩いています。残り物を、たらふく食えるんですよ、と嬉しそうに言う。
なるほど、そういう手があったのか。こりゃ、私よりも、ずっと充実した食生活を送っているなと、負けた覚えがある。