Immortal Beloved
Illustrated by 華南さま
初春の朧な陽光である。
時折風に吹かれて、宙に舞う花弁も白い。
咲き誇る花の合間から、差し込む光も白いような気すらする。
花房がざわめく音、
底の厚い戦闘靴が地面を踏みつける重い音。
聞こえるのは、それだけだ。
キレーだよなぁ
誰ともなく呟いてみる。
すっげぇ、キレイ
彼の一歩先を歩く男は振返る気配もない。
魔物が潜んでいるなんて信じらんないよ
白い陽光を銀に弾いて、先を歩いていた男が振返った。
そうやって油断していると、モンスターに喰われるぞ
だが、そんな軽口がついて出るほどに、静かだ。
己に絶対の自信のあるソルジャーでもないのに
魔物の噂のある森に踏み込む人間はいない。
だが、モンスターの気配も全く感じられない。
時折ひらひらと蝶が舞っては、白い花に彩りを添えるだけ
こぉんなに綺麗な花の魔物になら、喰われてみてもいいかも
そう言ってみたら、馬鹿か!と、ほとほと呆れた声が返ってきた
だってさぁ、セフィロス
こんなに儚げで、綺麗で、そして、真白で・・・
なんかさぁ、ほら、音楽が聞こえてこない?
なんだ、お前
セフィロスは苦笑する
もう既に魔性に取り憑かれたか
うん、そうかも・・・
ふたつの自分が、セフィロスの魔晄の瞳の中で笑っているのをザックスは認める。
うん、確かに!
俺は取り憑かれているよ
ならば
セフィロスはにやりと唇の片方だけで微笑んだ。
喰われてみろ
はらりと片肌脱げば、肌も艶やかに白い。
一陣の風が花吹雪を散らした。
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