カノンとでっぴーのカノン、の巻 サガは、洗い終わった夕食の茶碗をふきんで拭いていた。
シャカはもじもじと迷っている様子だ。 暫く恥らっていたシャカは、意を決したように、壁の4次元ポケットから何やら小さな箱を取り出した。
「これ!」 なんてカワイイんだっ!!! 思わず掌をぐっと握り締め、「シャカ、かわいー!」と大声で叫んで、ついでに教皇宮まで、小宇宙を飛ばしたくなってしまうサガなのであった。 シャカは、サガの反応を注意深く観察している。サガは、手渡された箱に視線を落とす。
「これは・・・」
「これは・・・
熟成こくまろカレー、ブーケガルニ入り・激辛・・・」
「シャカ、これって・・・」
「遠慮をする必要はない。君のために、この私が厳選したのだ。さぁ、食べたまえ!」
サガは、そーっと指先で箱を開けてみた。途端、つーんと刺激臭が漂う。普段、視界を閉ざしているぶん、他の感覚が鋭敏なシャカは、その匂いを深く胸に吸い込むと、うっとりと恍惚にも似た表情を浮かべた。 ぱっきんと、ルーを半分に割る。 ぱっきん、ぱっきんと、8分の一の大きさにする。 ぱっきん、ぱっきん、ぱっきんと、16分の1で32分の1で64分の1で・・・もういいや。 シャカは、身を乗り出して、サガが自分の選んだプレゼントを口に運ぶのを、今か今かと待っている。あんまり期待しすぎて、小宇宙が拡大膨張し始めている。 指先でつまんで、あーんと口開いて、目を瞑って、息も止めて・・・・ きっく〜!!!!!!! さすが激辛・・・・(涙)
「おいしい?」
「さ!遠慮は無用。好きなだけ食べてもいいのだぞ?」 軽く添えた手を心持ち引き寄せるだけで、吸い寄せられる様に華奢な身体が寄り添う。微かに黄金の髪が揺れて、甘い香りが匂い立つ。金褐色の睫が震えているのが分るほどに間近にある。サガは、朱をさしたように鮮やかな唇に、そっと自分のそれを重ねた。(お好みのラブソングをBGMとして流して下さい)
サガとシャカの小宇宙が交じり合ってスパークを散らす。黄金製闘士ともなると、ただのキスも交換した互いの小宇宙を重ね合い、溶かし合い、一つに融合する・・・そんな大いなる過程の手段の一つ。 「んん・・・・」 先に離れたのは、シャカのほう。つ・・と、唾液が後を引く。シャカはうっとりとした表情でサガを見詰めている。
そう ---------- 二人の愛の世界はよいとして、彼らの周りではちょっとした天地変動が起り始めて、唯でさえ歪んだ双児宮の空間が、捻れ始めていた。
永劫とも思える見詰め合いの末、シャカの濡れた薄紅の唇がゆっくりと開く。
「今日のサガのキス・・・」 がば!と、シャカはサガに抱きつき、パンパンに膨らんだシャカの小宇宙が弾けた。 ちゅっど−ん!!! と、いうのが、双児宮での小宇宙大爆発のとばっちりで吹っ飛ばされ、パンツ一丁で台所の屋根の穴から俺様ん宮に降ってきたカノンの言い訳だ。
「すまないな、デスマスク、急に邪魔して」
「そうだなぁ・・・」
「そりゃいいけどさ、どうやって、あそこまで行くつもりっぴか?」
「途中、獅子宮を通り抜けないと、魔蠍宮までは行けないぜ。きっと今頃、リアと奥さんも仲良し中だろう。邪魔したら、魔鈴、マンモス怒るッぴよ・・・去年はロスに邪魔されたとかで、今年はパンドラと共謀して、ロスのことエリシオンに鎖で繋いでるってシャイナが言ってたぞ。オンナどもが協力すると、ほんっとこわいっぴ」
「せめてロマンティックな映画でも見るか・・・デスマスク、何がある?」
俺様は、DVDコレクションのロマンス・セクションを、端からタイトルを読んでいった。 それじゃ今夜は、徹夜でロマンチック・ムービー見あかしちゃおう!かわいいデスマスク達っ、カノンを励ますための、ドルビー音響効果は準備おっけいっぴか?! はいっ、一斉に あ〜、う〜♪ カノンの肩を叩きつつメニューに戻る |